【記事ピックアップ】給与デジタル払い足踏み

こんにちは!

このnoteでは、現役銀行員や銀行出身者の方向けに役立つ情報をお伝えしています。

今日は、以下の記事を取り上げたいと思います。

給与のデジタル払いの解禁時期が遅れそうだ。政府は3月中に制度の内容を固めて今春に解禁する方針だったが、厚生労働省の審議会で連合が反対し月内の決着が難しい状況になった。連合は給与の振込先になる資金移動業者の安全性に不安があると主張する。規制を厳しくしすぎれば利用できるサービスが限られる恐れもある。(前掲記事より引用。全文はリンク先を参照)

以前、このnoteでも解説した給与のデジタル払い(=PayPayやLINE Payなどの決済アプリの、直接給与を振り込める制度)について、その導入が当初予定より遅れそう、との記事です。

以前の解説記事はこちら。

連合は、銀行と比べて、資金移動業者の安全性に不安があることを理由として、反対しているようです。

確かに、銀行を営むには、金融庁から免許を交付される必要がありますが、資金移動業者は金融庁に登録するだけで済みます。そのため、銀行になる方が、安全性も含めてより高いハードルをクリアする必要があります。

加えて、銀行が倒産したとしても、預金保険制度により、一人あたり1,000万円以内であれば全額補償されるのに対して、資金移動業者が倒産しても、(供託金の制度があるとはいえ、)補償の仕組みは現時点で存在しません。そのため、連合がいう「資金移動業者の安全性に対する不安」というのは、合理性があると思います。

厚生労働省としては、供託金の制度に加えて、給与デジタル払いを認める資金移動業者に一定のハードルを設けることや、倒産した場合にもすぐに返金できるような保険への加入を義務付けるなどの対策を考えているようです。

制度がまだ煮詰まっていない段階で、連合側も手放しに賛成することはできない、ということだと思いますので、厚生労働省に対してはできるだけ早い制度設計の提示を希望したいところです。

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