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オーディエンス・バックグラウンドをこころがけよ!

皆さん、こんにちは。

さて、ガイドという仕事をする上で必ず最も重要な事柄をお知らせいたします。

タイトル通り、オーディエンスのバックグラウンドです。

この言葉、私がアメリカの大学に留学している時に学びました。大学の教養課程のコミュニケーション・スキルで講師が最初に言い放った言葉でした。

オーディエンス(Audience)とは直訳すると観衆という意味ですが、劇場では観衆を指しますが、出版物であれば読者、学校の講義であれば受講生を指し、ツアーガイドであれば参加されるゲストを指すことになります。

バックグラウンド(Background)は、そのような貴方の提供する情報を受ける人々の背景を指します。つまりのところ、年齢、性別、国籍、民族、志向、人生観、価値観等です。

おそらく、メディアや市場調査をされている方なら既に理解していることだと承知いたします。

オーディエンス・バックグラウンドを考えないと、どんなことが起こるかというと、ガイドとしては大失敗な結果に終わってしまうのです。

例えば、日本のお城を訪ねてガイドをする場合、お城が江戸時代に建てられたものであるのなら、単に「江戸時代」とだけ言うのではなく、日本における「封建時代」や「サムライが国を治めていた時代」というような表し方をすることが分かりやすいのです。

我々であれば学校の歴史で当然知っていることでも、彼らには全くの初耳なことなので、彼らの持つ知識のレベルに合わせて話をかみ砕くと分かりやすい解説になります。

同じように、封建時代における「天皇と将軍の役割の違い」というのもオーディエンス・バックグラウンドを考慮に入れて話すと「天皇はイギリスの国王のようなもので統合の象徴でありながら実権のなかった人。将軍は実際の統治者。現代でいえば大統領か総理大臣のようなもの」という説明をしています。

つまりバックグラウンド、予備知識が明らかに違うのでゲストのレベルに合わせることが大事だということです。日本人でいえば、小学生未満と思った方がいいでしょう。また、海外の方々の出身国の歴史との比較も有効です。

皇居東御苑の入場口の前の私

更に知識以外にも志向という意味でも重要な要素です。いい例が皇居東御苑にあった江戸城の「松の廊下跡」という一角です。

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