「個人で生きていく力」は死ね

僕が大学に行かなくなって、引きこもり生活(仮)が始まる中で、やはりバイトは必要不可欠だった。
親からの仕送りで固定費+数万円を送っていただく中で、質素な生活は送れるが、やはり若者、質素にはいられない。

前期が終わって後期から復学!と張り切っていたがあえなく断念。10月ごろからいよいよ「副業」というものに手を出し始めた。
とは言っても、完全に独学。資本金みたいなのも無く、覚悟もなく。
手を動かすより頭が動くタイプなので、クヨクヨ悩んで、それでも知識はついて、アフィリエイトブログを始めようと思った。教材を買った。2ヶ月くらいでやめた。

しかしながら、同時期に始めたYouTube活動(仮)が楽しく、そちらは続いて今でも頑張っている。いや、頑張っていた。

YouTubeで稼ぐことを意識しながら、在宅バイトやせどり、デイトレード、案件モニターなどやったりやらなかったりしながら、サラリーマンではないいわゆる「個人で生きていく力」を身につけようと奮闘した。

YouTubeで収益化の審査が通ってからいよいよ、個人で生きていこうという気持ちは固くなっていった。

ところが、とんとん拍子でうまくはいかないもので、収益化は通っても動画の内容はYouTubeに不適切扱い。9割5分は広告が剥がされているようで同程度の視聴回数を叩き出すYouTuberの収益の1/10〜1/50ほどしか手元に入ってこない。

やはりバイトか。
しかし、バイトだ。
働きながらYouTubeをすればいい。それこそが「副業」だと。

自分の中でルートが見えてきたあたりから登録者も伸び、モチベーションも上がっていった。

バイトを辞めた。YouTubeに専念しよう。


そこからが地獄だった。
今思えば、あれほど鬱にまみれた時期はない。

いろんな交友関係を断ち、タバコを吸い続け、俺が愛するものはピースだけだと信じながら。

でも現実はどこまでいっても甘く無く、いや、もう薄々気づいてはいた。自分のやり方が悪いことくらい。
それが覚悟なのか、適正なのか、情報なのか、分からないが、原因は自分にある。
豊かな大学生活の思い出を切り、人生の唯一神と信じていた人も失い、途方に暮れ、
それでも寄り添ってくれた「友達」に助けられ、

やはり、「正攻法」で働かなくてはいけないんだなと。

僕は派遣バイトを始めた。
短期バイトを始めた。
精神は安定した。
鬱気味なのは今も変わらないけれど、それでも前に進んでいく感じが、そして何より社会の中に居場所を見つけたような、生きる意味というか、死ぬ以外にもきっと道はあるということを、身をもって感じた。

今僕は、バイトをしている。
親からの仕送りを断ち、完全にフリーター。
未来はわからない。

全ては自分で決めなければならない。それが人生。そして、大人になるということ。
そんな気がする。

そして僕は、今、この瞬間は、YouTubeを辞めている。

未来はわからない。
でも今僕は、毎日が充実して、汗水流して働いて、お金をもらって、多少の苦難を乗り越えながら…………

これが、大人になるってことなのかな。
皮肉にも、一年前YouTubeに専念していた頃より心も体も健やかになっている。
どれが正解かは分からないし、もう分かりたくない。

だって、今の自分を肯定すると、昔の自分を否定するような気がするから。

でも、
肯定も否定もできず、ありのままを受け入れることもできず、
僕は今、迷子。

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