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コロナ禍で黒毛和牛とアメリカ産牛肉の価格の逆転現象からの工夫に目からウロコポロリ

大好きな『吉野家』から、新メニュー「黒毛和牛すき鍋御膳」が発売されるというのを知って、黒毛和牛なんて高級牛肉を1,000円以内の998円で出しちゃうなんて、なんて太っ腹!と一瞬喜んだのですが、そもそもなんでそんなことが可能になったの?と気になってこの記事を読みました。

コロナ禍の影響で、国内の牛肉市場における生産と消費のバランスが適正でない状況が続いています。牛肉を主軸にする吉野家は、このような状況だからこそ和牛を使用した新商品を販売し、国内牛肉の消費拡大や和牛畜産農家の方々の支援に貢献できれば」と広報担当者は語る。

ここに書いてあるように、国内の牛肉市場における生産と消費のバランスが適性でない状況だから国内牛肉の消費拡大や和牛畜産農家の方々の支援に貢献しようという『吉野家』の想いからのメニューなんですね。素晴らしい。

でもなんで生産と消費のバランスが適性でない状況だと、黒毛和牛を安く提供できるのか?

この前の『ガイアの夜明け』「牛肉新時代 〜目指すは美味くて安い!〜」の中にその答えはありました。その番組の内容を簡単に書いてみます。( )は、ぼくの感想です。

◉あの激安スーパー『オーケーストア』で、A5ランク黒毛和牛を100g 499円で販売している。
(A5ランクの黒毛和牛と激安という言葉のギャップがすごい!『吉野家』が黒毛和牛を安く提供できていることと関係ありそう)

◉黒毛和牛は、日本在来の牛を改良して作られた真っ黒な毛をした肉牛。
国内の和牛のうち9割以上が黒毛和牛。
(黒毛和牛が多いことは知っていましたが、9割まで多いとは思ってなかった!)

◉高級飲食店やインバウンドの需要が激減してダブついたので安くなった。
元牛(子牛)で高いものは90万円くらいで、今売れている牛が100万円から120万円なので、えさ代が出るか出ないかの状況。
(生産者の状況がそこまで逼迫しているとは思わなかったので、単に安くなったから嬉しいとは言えませんね)

◉土佐あかうし(褐毛(あかげ)和種「高知系」)は、国内で出荷される和牛の0.1%未満の希少な牛。赤牛は1000頭の中の1.5頭なので、好みのある人はそういったものにお金をかけてくれる。黒毛和牛の価格が下がったからこそ今がチャンス。
(ここの「好みのある人」には、いわゆるフーディーな人たちが含まれると思いますが、ぼくくらいの年齢になるとA5ランクの牛肉は美味しいけど脂が多いからもたれちゃって量が食べられなくなっちゃっているので、赤身が多いあかうしを求める気持ちはよくわかります。黒毛和牛の価格が下がっているところで、あかうしの希少価値を売るという戦略もなるほど〜と思いました)

◉黒毛和牛はサシが入りやすいからランクが高くなって、取引価格は他の品種と2〜3倍違う。
(たしかに、あのサシの入ったA5ランクの和牛の断面の美しさが評価基準になるというのもよくわかります。でもそれで2〜3倍も価格が違っていたなんて、他の品種を育てている生産者は苦労しているでしょうね。この結果が、黒毛和牛9割ということなんだと思いますが)

◉「土佐あかうし」を評価するための新たな評価を基準を作った。AランクではなくRランク(Rは赤のRougeから)。「R」格付け(TRB格付け)は、A2、A3ランクの肉を無駄な脂肪が少なく赤身が際立っているかなどで再評価する。
(これはすごく画期的な動きだと思います。「A」の格付けは、サシの脂部分で評価しているけれど、赤身部分で評価し直すというのは、今は赤身ブームということもありますし、こういう戦略は必要なことですよね)

◉沖縄では飲んだ後にシメでステーキを食べる文化。2015年創業の『やっぱりステーキ』は、赤身肉の厚切りステーキ180gを溶岩石で焼いて、食べ放題のライスとサラダとスープで税込1,000円。仕入れ値の安いアメリカ産のミスジ肉を使用しているのですが、筋を取るのに手がかかるので他の店がやらなかった。アメリカ産牛肉はコロナの影響でアメリカ国内の生産が止まり肉の値段が高騰して仕入れ価格が5割以上値上げ。東京初出店の吉祥寺店では、沖縄で出している180gを150gに減らして、価格は同じ1,000円に。
(『やっぱりステーキ』はまだ食べたことないのですが、この価格は魅力的ですね。黒毛和牛は安くなっているのに、アメリカ産牛肉が高くなっているという逆転現象は、『やっぱりステーキ』には激震だと思います。しかし、義元社長の決断でコロナ禍での東京初出店の時に、ステーキのグラムを減らしてでも1,000円という価格にこだわったところが上手くいって、吉祥寺店は盛況なんでしょうね。義元社長は、コロナ禍で東京の空き物件が増えて家賃も下がっていることから、東京23区にこれから出店を増やしていくそうですが、その攻めの決断もすごいですね)

目からウロコポロリ


コロナ禍で、黒毛和牛が安くなったことは消費者には嬉しいことだと思いますが、生産者のことを考えると、適正な価格に戻るまでまずはたくさん食べて応援するということが大切なんでしょうね。


『ガイアの夜明け』の中で、北海道でアンガス種の牛を育てている生産者が出てきたのですが、豆乳の搾りかすやオーガニックのドライレーズンやピーカンナッツをエサとして食べているオーガニックビーフ(えさの85%以上を有機もので育てた牛)とのことで、その生産者は、国産のオーガニックビーフがあることはまだほとんど知られていないので、拡げて行きたいという想いを話していました。

こういう新しいチャレンジ、応援したいです。黒毛和牛が9割という日本の牛の市場はバランスが悪いと思うので、他の品種が増えていくことで、全体の価格のバランスが適性になればいいと思います。


数年前に観て、国によって牛肉の考え方の違いに驚愕したドキュメンタリー映画『ステーキ・レボルーション』めちゃくちゃ面白いので、牛肉好きの人はぜひ!

1位に選ばれた、国と牛の種類と出荷される年齢は、かなり意外だったな〜


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