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「スキル獲得の脳科学的アプローチ」11 ウェブってインターネットのことじゃない


はじめに

この「スキル獲得の脳科学的アプローチ」のシリーズもいよいよ佳境です。
前回「冷静な反復」が重要だということについて書きました。

この「冷静な反復」によって新たな神経のつながりを作る。
これが「神経可塑性」
その神経がさらに枝分かれして蜘蛛の巣状になる。
今回はそれについて書きます。

まさにウェブ=蜘蛛の巣なんです

「スキルの獲得」のために神経のつながりを作る場合、まずはベースとなる「基礎の一本」を根本から少しずつ伸ばすイメージを持ってください。
その際には

1. まずスタートする

はじめないで考えているだけではどんなスキルの獲得はできません。
まずは身につけたいスキルについて知り、現状でわかる基礎を「言語化」し、
その言語化したものをなぞるように始めてみる。
それによって得られる感覚をさらに「言語化」し、それをなぞりながら「冷静な反復」を繰り返す。
ですから「言語化」しないままスタートしても得られるものは少ないのですが、かといって重い腰を上げずいつまでも始めなければ「ゼロ」のまま。
このバランスはとても重要で、焦る必要はありませんが、言語化する作業も含めて「まずスタートする」ことを心がけましょう。

2. スタートダッシュよりも「基礎工事」

かといってスタートダッシュでいきなりビッグステップを踏み出しても失敗するだけ。
まず一歩目から確実に基礎の基礎を積み上げて、そう簡単には切れてしまわない強固な網の目を作るように、糸を急激に伸ばさず、少しずつ太い糸にしながら長さを長くしていくイメージです。

3. 何度も同じ糸に信号を通す

ある程度の太さ、長さで神経のつながりを作ったら、同じことを繰り返し、その神経に同じ信号の伝達を行います。
なんだか例え話ばかりで申し訳ないのですが・・・
川のない土地に川を作るとしたら、最初に細くても良いから溝を掘る。
A地点からB地点まで溝が掘れたら、そこに水を流す。
最初は細いので少量の溝しか流れないのですが、少しずつ量を増やしながら水を流すと、溝の内部の土が徐々に侵食され、溝が太くなり、それに伴って流れる水の量も増える。
そんなイメージです。

これが反復練習。
でも最初の細い溝の方向性が間違っていたら、最後まで全く違う神経のつながりができてしまう。
そうならないようにするためにも「言語化」「前頭前野」のコントロール下で「冷静な反復」が重要なのです。

4. 別の糸を作る

上記の方法で最初のつながりができたら、今度は同じ方法で別の糸を作ります。

ギターの演奏を習うなら最初にコード「Aマイナー」を覚えたら次に「C」を覚える、そんなイメージです。(って楽器をやらない人には分かりづらいですね)

こういった場合、最初の神経を作った時よりも2つ目の神経を作った時の方が「時間」も「エネルギー」も短縮されていくのです。

5. 糸同士を繋ぐ

「Aマイナー」と「C」を覚えたら、とりあえずジャカジャカ4回「Aマイナー」と「C」を交互に弾いてみるとなんとなく「曲」が弾けているようで楽しくなってきます。
ボクシングで最初に「左ジャブ」だけを練習するのですが、次に「右ストレート」を覚え、それを連続して「ワンツー」で打つとなんだか強くなった気がします。

結局「スキルの獲得」ってこういうことなんだよなぁ

こんな風にスキルを細分化し、スキルAを言語化するところから始め、「冷静な反復」でそのスキルAを習得したら、そのスキルAと別の関連するスキルBを同じプロセスで学なび、それを繋ぎ、その繋いだスキルを一つのスキルCとしてまた同じプロセスで確実なものとする。

「スキルの獲得」とは結局こういうことなんです。
これを繰り返し、スキルの種類を増やしつなげていくことで、関連する神経のつながりは「ウェブ状」になり、別の場所にある一見関連していない情報同士が実は繋がっていて、それらを関連づけて取り出し、使いこなすこともまた「スキル」になり、それも繰り返すと確実なものになります。

それは確実なだけでなく「楽に」「軽やかに」そして「より速く」なるということ。

ただそれは「ウェブ」そのものが強固でないと実現できず、糸が増えれば増えるほど、情報の量に耐えられず破綻するのも事実です。

だからこそ焦らず、簡単で取り組みやすいことから丁寧に「言語化」し「前頭前野」がコントロールして「冷静な反復」を繰り返すことが重要です。

みなさんの場合は・・・

ここで一度みなさん自身に立ち返って考えてほしいのですが。
過去、そして今現在。
「スキルの獲得」がこのようなプロセスで行われているでしょうか?

脳の仕組みから言うと今回noteに書いた方法はかなり確実性の高い「王道」だと言えます。

もし
・「スキルの獲得」がうまくいっていない
・もっと確実に強化なスキルを身につけたい

そう思う方でここまでのプロセスを経ていなかった方がいたら、次回はこのプロセスを試してみませんか?

もしそれによって一人でも多くの方が望む「スキルの獲得」に成功したとしたら、ここまで書いた甲斐があり、本当に嬉しいです。

これで終わりじゃないんです

でも「身につけたはずのスキルが肝心の時に発揮されない」なんてこともありますよね??

大事な場面で使えないなら、ここまでの苦労も水の泡。
そこで次回のこのシリーズでは「なぜ本番で力が発揮できないのか?」
そして「それを克服する方法は?」
について書きます。

ぜひフォローをしてお待ちいただけたら幸いです。




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