花~語りかけるバリ
❀ 南国スナップ紀行 その7 ❀
ここは花の島
風に乗って
黄色い花びらが降り注ぐ
「あの木は、カンボジアだ」
ガイドに聞くと全部「カンボジア」
本当?
ほのかに甘い香り
朝な夕な
咲いては散り散っては咲く
さっきまでのことは
もう忘れた
夕暮れのビーチに咲く白いハイビスカス
草葺きの屋根のブーゲンビリア
この花と同じ名前の島に
戦争の記憶は深く刻まれている
人間の営みを
見続けてきた
物言わぬ花
強烈な太陽に
白く輝く
そう言えば
この島に来てから
花ばかりを飽きることなく見ていた
やはり
何かを
語りかけているのか
あまりにも
饒舌な
マングローブの茂み
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❀ バリ島を舞台にした「南国スナップ紀行」は、この「花」で終わります。ありがとうございました。近々「小さな迷宮、三つの『バリ島物語』」を投稿する予定です。これはヴィキイ・バウム『バリ島物語』をめぐる歴史と思索の旅です。少し硬派なお話となるかもしれません。
シニアの旅に挑戦しながら、旅行記や短編小説を書きます。写真も好きで、歴史へのこだわりも。新聞社時代の裏話もたまに登場します。「面白そう」と思われたら、ご支援を!