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【TRPGシナリオライターの貴方に】VR×TRPGを作るには【ぐだぐだVRPG】

こんにちは、TRPG・VRゲームサークルぐだぐだぶとん共同代表・シナリオライター・3Dモデラーを務めております逆凪と申します。

本記事では4月4日に行われましたエモクロアTRPG×VRのイベント「地下壕の讃美歌公開テストプレイ」を踏まえて、TRPGシナリオライターの方に向けてお話しようと思います。

本イベント概要

TRPGプレイヤーの方向けの記事で、本イベントの説明をしておりますので、そちらを御覧ください。

LARP寄りかTRPG寄りか

VR×TRPGを作る際に一番最初に決めるのは、それがLARP寄りかTRPG寄りかです。

聞き慣れない言葉だと思うので説明しますと、LARP寄りは全てを3Dモデルで用意し、PLがPCの視点を得るタイプのVR×TRPG、TRPG寄りは画像と3Dモデルを併用しオフラインセッションのように1つの部屋に集まって行うタイプのVR×TRPGです。

弊サークルはLARP寄りとTRPG寄り両方の制作を行っていますが、これからVR×TRPGに参入するシナリオライターの方にオススメするのはTRPG寄りの方です。TRPG寄りならば重要なシーンやNPCだけを3Dモデルにすることでコストカットができます。

また、LARP寄りとTRPG寄りに関して、以下の記事で更に詳しく説明しています。

可能になった演出・シナリオライターの腕の見せ所

VRを使う事で可能になった演出はいくつかTRPGプレイヤー向けの記事で紹介していますが、今回はシナリオライターの視点に立っていくつか紹介しようと思います。

これ以外にも沢山あると思うので、見つけたら是非共有して下さい!

①日常から非日常への移行

地下壕の讃美歌では、共鳴者は松代象山地下壕を観光する所からスタートします。VR×TRPGで日常シーンの没入感も増加する為、ある程度日常シーンの比重を大きくしても良かったのです。

今までDL・PLに任せていた日常シーンが、VR×TRPGではシナリオライターも十分に関わる事ができます。日常は非日常のスパイスと考えると、シナリオライターの腕の見せ所ですね。

また、地下壕の讃美歌では日常の演出としてPLに松代象山地下壕の観光を行わせましたが、観光以外にも日常演出は多々あるでしょう。是非、貴方なりの日常シーンを模索して下さい。

②発狂・感情共鳴の詳しい演出

最近エモクロアTRPGが発表され、処理的に感じる面もあった所の表現の幅が広がったと感じました。更にVRによって視覚・聴覚演出が補強されたのでので、より表現が凝れるようになっています。

以下の画像は怪異の残滓と共鳴しているシーン。共鳴表によるものではありませんでしたが、共鳴の演出として面白い演出ができたと思っています。

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エモクロアTRPGでオリジナルの共鳴表が広く認められた事は非常に良かったです。シナリオライターが感情共鳴演出で魅せる事ができるようになりましたし、PLはRPしやすくなりました。
幣サークルでクトゥルフ神話TRPGを遊んでいた時、発狂にあまり慣れていないPLが多弁症を引いて困る事があったので、感情共鳴表は数あるエモクロアの良さの中で強く推したい要素です。

新たに求められる"可能性を潰す思考"

VR×TRPGはPCの視界を想像するのでなく、PCの視界そのものを得る事になります。ですので、通常のTRPGでは許された「DLがアドリブで作るシーン」が、VR×TRPGでは許されにくくなります。

例えば、電車の屋根に上るという行動を共鳴者が選択した時、電車の屋根に上る事をシナリオライターが想定していないと、ゲームの進行に問題が生じたり、PLがPCの視界を得られずに没入感が失われてしまいます。

これを防止する為には、PLが取るであろう行動を想定してその全てを制限又は描写する事が重要になります。全てを描写したら文量が増えてDLが大変になりますし、全てを制限したら共鳴者の行動の自由度が失われてしまうので、制限と描写の割合は適切である必要があります。

また、制限する際はPLが納得できるようにある程度論理的に行わなければなりません。制限する行動・行動制限の為に必要なゲーム的処理・その処理を行う為のシナリオ設定を考えてシナリオを書くのです。

例えば、誘拐されたPCが牢獄に閉じ込められている時。脱獄イベントが起こる前にPCが脱獄する事を制限する為に、シナリオライターはPCの持ち物を没収する必要があります。そうすると、登場人物の誰かがPCの持ち物を没収した訳ですからその設定を決めた方が良いでしょう。
完全に制限するのでは無く、誘導を行っても良いのです。
例えば、共鳴者が脱出までの最短経路を辿ろうとした時。最短経路上に怪異がいる事を仄めかす描写を行い、最短経路に行くのではなく安全を確保できる部屋に誘導し、その部屋の探索を行わせる事ができます。

更に、描写する際はPLが満足できるように各ルートがある程度充実した内容である必要があります。

例えば、ダイス目が悪くて怪異に捕まった時。捕まったからこそ得られる情報を用意したり、怪異から逃げて他共鳴者に合流できるようにしたりするとPLの満足感が高まります。
勿論、共鳴者が誘導に逆らってお助けNPCを皆殺しするなら、それは共鳴者が悪いのでそのルートを充実させる必要はありません。

以上から何となく伝わったように、この"可能性を潰す思考"でシナリオを書くのは非常に難しいです。1日フルでシナリオを考えて1000字しか進みません。noteの記事ならアホみたいに書けるのに。

では、VR×TRPGのシナリオを書くにはどうすればいいんでしょうか?

まずは、謎の部屋から!

シティシナリオよりクローズドシナリオの方が書くのは簡単で、更に邪神が作った謎の部屋から脱出するようなシナリオはある程度ゲームチックで、設定もそれほど必要ではありません。

ですので、まずは謎の部屋を探索するシナリオから書き始めてみるのはいかがでしょうか。

私は遊ぶなら謎の部屋も好きですが、シナリオを書くとなると謎の部屋系のシナリオはあまり好みでは無かったので書きませんでした。

また、謎の部屋系のシナリオなら3Dモデルもそれほど必要ありません。3Dモデリングをこの際始めても良いでしょうし、UnityAssetStoreで使える3Dモデルを探すのも良いでしょう。

幣サークルがVR×TRPGの為に使わせて頂いているVRプラットフォームClusterで動かすギミックは、ClusterCreatorsGuideClusterCreatorKitドキュメントで分かりやすく解説されている他、noteに様々な記事が上がっています。

更に、VR上でダイスロールを行う為のダイスパネルも、幣サークルがクトゥルフ神話TRPG用とエモクロアTRPG用を制作しており、後日公開予定ですのでご安心ください。

最後に

コミケも冬に延期になり、シナリオを出そうにも中々大きな即売会が無い昨今ですので、コミケに向けてVR×TRPGシナリオの作成に取り組んでみませんか?

以上、お相手は逆凪でした。


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