トンコ〜第二の故郷〜♯03

タイトル回収なんだけど
トンコってなんなの?って思うよね。そこの施設でしか聞いたことがないので、どこの言葉なのかは分からないけど、無断外出=脱走=トンコって呼んでた。

その時の話

掃除の時間だったかな、全員が寮一面を雑巾掛けするんだけど、その時に同い年の龍二が深刻そうな顔をしてたんよね。「どしたん?龍二」って声掛けたら「なぁ…一緒に逃げへん?」って
龍二は普段モジモジした感じの奴で理由は言わなかったけど何となく同じようなものなんじゃないかと思う。
当時の1年間って今の5年間くらいの感覚だったし、このまま帰れないんだろうなって終わりのないトンネルにいるみたいでさ、何もかんも大人達に自分が今いる場所を決められて…そういうのがもう嫌やったんよね。

そんな訳で2人でトンコを決めるんだけど、基本的に目の届かない所には行けないのでどのタイミングか考えた。当時龍二は野球部に所属していたので、夜に寮の庭に出て2人で素振りをするという事を2週間続けたんよね。夜だからカーテンは閉まっていて、2人なのでトンコの話をしてもバレない。日中着ているグリーンのジャージ(これが物凄く目立つんよ)も着なくてパジャマで行けるし、完璧だ!
そんなバカみたいな浅さで計画を立てて
ついにトンコをするんだけど

「いくぞ!」って言って走り出すんよね。毎日走ってるから体力は充分のはずなのに心臓の鼓動が聞こえてきて上手く息が出来ない。防風林が風でゴゴゴと轟いていて、風が自分達を追い越していく。ハッと寮長先生の顔が浮かぶ。途中で立ち止まり寮に向かって深々と一礼。龍二が自分を呼ぶ声、そしてまた走り出す。
グラウンド前まで来た所で向こうから車のライトが見える、怯えて植木に隠れる2人。車が去っていく。
2人は顔を見合わせて、頷く。
走っている2人の脚🦵。2人、グラウンドを斜めに突っ走る。龍二が転ぶ。手をかしてフェンスをよじ登り、どうにか施設を後にする。

こんな感じで施設を抜け出して真っ先に向かったのが龍二の家。まさかの施設から15分くらい走った所にあるんよね。まあ龍二からしてみれば近くて遠い実家だったって訳でさ、
そこで少量の金を拝借して明石港に向かう。港で1夜を過ごして、朝日を浴びてから
タコフェリー🐙(もう無いらしい)に乗って淡路島へと向かいました。どうやら淡路島には龍二の婆ちゃん家があるらしくて、行くあてもない、自分達には目指すものが必要やったんよね。


んーー。行動力が中1とは思えん笑
今日はこんな所で👋
続きは次回書きます。
では仕事頑張ってまいる📣

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