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旅行会社の社員から見た、2022年3月のコロナ禍

「今、旅行業界にいる人は何を考えているのか」というお話です。内容としては、データに基づいた分析ではなく、雑感をまとめたものです。

私は、インバウンド旅行者をメインターゲットにしたツアー会社にいます。ポジションとしては、経営層でも管理職でもない一般社員です。現場目線の所感をお届けします。

業務内容としては、ツアーを企画したり、観光地の情報をまとめるライターとして役割があります。

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いつからアフターコロナ?

コロナが始まってから、よく心配されました。「今、旅行業界って大丈夫なの?」と。
全然、大丈夫ではなかったです。それまでの業務をすべて見直す必要がありました。

その後、紆余曲折はありましたが、現在は自治体や観光組織の事業のお手伝いをして、なんとかやっています。

ただ、いつ訪日旅行者が戻ってくるのか。いつからツアーができるのか。この数年ずっと考えています。

2022年はオミクロン株の感染が落ち着いて、秋頃から2023年の春にかけて、少しずつ旅行者が戻ってくる。そんな希望的観測があります。

ただ、昨年も同じようなことが予想されていました。2021年の春ごろも、ワクチンが普及して、秋頃から先が見えてくるはずと期待されていました。

1年経ちましたが、結果として、ほとんど同じ状況です。訪日旅行者は戻ってきていません。むしろ、昨今のウクライナをめぐる国際情勢もあり、悪化しているとも言えます。

外部要因は、ほんとにどうしようもないので、状況に合わせて対応するしかないです。例えば、今年も1月〜2月にかけて計画していたテストツアーやイベントもまん延防止等重点措置で、中止や内容の変更を余儀なくされました。

ただ、昨年との違いもあります。ツアーの予約が増えてきています。興味深いのは、東京や京都などのメジャーどころに限らず、九州や中京圏など地方部への動きが出ています。

ちなみに、私個人としては、昨年末に在留外国人向けに京都を案内しました。状況は微妙ではありますが、ひそかにアフターコロナを感じさせる動きもあります。

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人材流出、人材不足の懸念

旅行業界からの人材流出も実感としてあります。大手の旅行会社や同業他社の方が退職さているのが散見されます。
こんな状況下なので、人が増えるケースはほとんど見られられません。

旅行業界で働く人について。もともと旅行が好きな方が観光に携わるケースはイメージしやすいかと思います。

一方で、コロナ以前の勢いをみて、産業としてのポテンシャルにかけて、業界に入ってきた人もいます。そういう人たちを見ていると、かなりモチベーション失っている印象を受けます。

あとは、人手が足りていないのも感じます。取引先でも1人の方に仕事がかなり集中している場面が頻繁に見ました。
ほかにも、観光庁の事業では運営事務局がかなり多忙であるという話はよく聞きます。

限られた人員でタスクをなんとかこなす、そんな状況がいろんな場所で起きているように見えます。

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ただ、絶望はしてません


コロナ以前、旅行業界の熱量はすさまじいものでした。ツアーを終えた旅行者からは喜びの声が続々届き(中にはトラブルもありましたが)、サービスが拡大していく期待感がありました。

私も、ツアー企画者として、時にはガイドとして、インバウンド業界の熱狂を味わえたのは幸運でした。
多分、バブル経験した世代が当時を懐かしむ感覚と近いのでしょう。

残念ながらこの数年は、停滞感が漂っています。アフターコロナに向けた準備がずーっと続いています。

何のためにやっているんだろうか、本当に旅行者は戻ってくるのだろうかと疑問に思うこともあります。

そういう時には、ほかのガイドの方と交流したり、ウェビナーで同業者の頑張りを見たり、プライベートで旅行をします。
刺激をもらって「よし、まだまだやるで〜」と想いを新たにします。

そんなふうに、旅行業界の片隅で、私は2022年の3月を過ごしています。しばらく業務が落ち着いているので、こういう振り返りの文章をまとめています。

2022年度は会社としても過渡期を迎える予感がするので、また違った意味での刺激的な日々がやってきそうです。

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