2021年の年の瀬に一年を振り返る

 今年も年の瀬を迎えて、一年を振り返ると早かったという感想が真っ先に頭に浮かぶ。今年の年始に特段の目標を立てていた訳ではないが、今年一年の間にやりたいと思っていたことがどれだけ実現したか振り返ると、なかなか厳しい現実を突きつけられるような思いがする。

 さて、ITエンジニアへの転身を思い立って2年が経とうとしている。どれだけITエンジニアに近付けたか考えてみると、亀の歩みながら実現できたこともいろいろあることが見えてきた。

 まず、ITエンジニアが集まるコミュニティに入ってコミュニケーションを活発に取ってきたことで、現役のITエンジニアと話ができるようになってきた。それ以前にもITエンジニアと話す機会はあったが、どちらかと言うと知識や経験が浅いこちらに話を合わせてもらっていた感じだったのだろう。改めて彼らが普段使っているツールのことや関心を寄せていることに触れてみることで、もっと深いところで話すことができるようになってきたと感じている。彼らが話している内容も「分かること」と「分からないこと」がはっきりと分かれるようになってきた。自分の守備範囲がそれだけ明確になってきたということかもしれないし、この分野に関する知識の素地ができてきて自分が特に知っておかなければならないキーワードや話題に敏感になってきたということかもしれない。いずれにしても、特にこの1年は、ITエンジニアの分野により深く足を踏み入れることができているという実感を持つことができるようになった。

 そして、学ぶだけでなく、自分から知識や知見を発信することにも挑戦できた。今年の5月に、件のコミュニティでお世話になっている人から「技術系同人誌」の頒布会への参加の機会をいただいた。かくして技術系同人誌を執筆するという経験をすることになった。文章を書いて一つの書物にまとめる経験は、大学院時代の論文執筆に始まり、少なくない数の経験をしてきたが、学内で留まったり業務の一環として書いたものだったりして、あまり自分の「著作」という実感はなかった。この度、自分の名前で書いたものを自ら世に出すという経験をできたことはとてもかけがえのないものとなった。特に、IT分野の内容について執筆するという経験は初めてだった。話題の選び方から言葉遣いまで右往左往しながらの執筆になったが、今年中に執筆を手掛けた2冊は、いずれも無事に書けるところまで書き切り、ITエンジニアの皆さんの前に上梓することができた。手に取って読んでくれた人からの感想もいただき、「共感できた」とか「参考になった」と言っていただけたことで「次」への励みになったばかりか、やはり時間と労力を割いても自分の知見やスキルをまとめて世に出して人の目に触れさせてみるということの重要さを実感した。

 この他、IT分野の主要な国家試験である情報処理技術者試験の受験も続けている。今年は春期と秋期の両方を受験した。いずれも高度試験である「ITストラテジスト試験」と「データベーススペシャリスト試験」を受験したが、こちらは思うような結果には至ることができなかった。ただ、採点結果を見ると、あともう少しのところまで得点できているようだったので、来年に向けてもう少し頑張ることにする。高度試験では知識だけでなくそれを生かす現場での経験も採点の範囲に入ってくる。実地での経験が浅い分、本で学習しただけではなかなか合格が難しいところをどのようにカバーするかは課題であるが、そこまで課題が具体的に見えていれば対策の立てようもあろう。次こそはという意気込みを来たる年に繋げたい。

 ITエンジニアへの道はローマと同じく一日にしてならず、一年掛けてもまだまだという感じだが、確かな前進は実感できるものになっていることが幸いしていると思う。件の技術系同人誌でも書いたが、ただ漫然と勉強を続けるよりも、成果を実感しながら進む方が着実に成果につながるように感じている。そして、そうした成果を実感するのに良いのは、やはり同士が集うコミュニティで積極的にコミュニケーションを図ることだと思う。いろいろな会話の中から自分のことを客観的に推し量ることができる。今、そういう環境に身を置けていることを、やはり幸運に思う。このような幸運が他の頑張っている方々にも届いてほしいと思う。来年は今年の続きを淡々と歩んでいくことになるだろうが、今の成長トレンドの直線上を歩くのではなく、常に上向きを狙っていきたい。そして、僭越ながら、このITエンジニアのコミュニティのさらなる盛り上がりに貢献できたらと思う。

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