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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクションを読んだ。


浅野いにお作品を読むのは「ソラニン」「おやすみプンプン」に続いて3作品目だった。

浅野いにお作品にしてはポップな見た目の漫画だが内容はとても複雑で簡単に説明するのが難しい。

今回はTwitterに書くと長くなりそうだからこういう場所で作品紹介というかちょっとした感想を書いて見たいと思う。

以下デデデデのあらすじ

3年前の8月31日、突如東京都に巨大な空飛ぶ円盤、通称“母艦”が襲来。そこから出撃した“侵略者”の攻撃によって多くの死者が出るが、アメリカ軍の攻撃によって母艦は渋谷区の上空で停止。母艦から出撃する侵略者の宇宙船も逐次迎撃された。
上空には母艦が浮き、時折自衛隊と侵略者との戦闘が行われることが日常となった東京で、小山門出は中川凰蘭ら親友たちと共に青春を謳歌していた。人類が終了する日が間近に迫っているとは夢にも思わずに― 
                                  Wikipediaより

とまあこんな感じ、現代が舞台のSFのような作品。こんな非日常の中でも女子高生たちは受験とか好きな先生とかゲームの話でいつも盛り上がっている。デデデデを読んだ人はみんなが誰しもこの異質な光景に違和感を感じると思う。

 しかし自分はこの異質さこそがとてつもなくリアルだと感じた。

現代に生きる日本人は確実にこの光景を自ら体験したことがあるから。

見えてくる3.11そしてコロナ禍

デデデデの世界では“母艦”の襲来した日を8.31と呼んでいる。確実に3.11を意識したものだがこれに対して浅野いにお本人は

「(得体の知れない)誰かに攻められてる状態でも普通の生活は続くんだよ」ということが震災以前なら気づかなかったけど今ならわかると思った。

と「このマンガがすごい!WEB」のインタビューコーナーで語っていた。

 自分はこの状態がコロナ禍にも起きてることだと考えた。

危険なウイルスが蔓延しても炊事洗濯仕事に学校があるし恋も喧嘩もする。

その時々にあわせた新しい生活様式に移っていくだけで人々にとって「日常」は不変なものなんだと再確認した。

 またみんなそう言った非日常のものから目を背けて無意識に日常を保とうとしているのかもしれない。この作品でも少女達は時に敢えて目を背けながら日常を守っていく。

世界の終わりが近づいていようと、気付かないふりをする。

普通でいることが非日常に対する抵抗なのだ

魅力的なキャラ

デデデデのキャラはみんな可愛い。浅野いにおとしては結構珍しいデフォルメの効いた絵が自分は結構気に入ってる。
また性格もかなりぶっ飛んだ人が多い。

主人公の2人の掛け合いも面白いしおんたんの兄ひろしもめちゃくちゃ面白いし良いやつ。主人公の友達はみんな好きになると思う。

 そしてなんと言っても胡散臭いキャラの描き方が本当に上手い。なんでこんなに人に嫌悪感を感じさせるのが上手いのか……

 またそう言った人に騙されてる人の痛々しい描写もかなり上手い。

思わず目を背けたくなるけどこう言う人は意外と身近にいるかも知れない。

浅野いにお作品の魅力

浅野いにおは真面目な人、怠惰な人、群れる人や孤独な人、またモラトリアムに生きる学生やそれを終えた大人、全ての登場人物を風刺的にまたは皮肉っぽく描くところがある。

そしてその根底にはどこか暗く、でも最終的には前向きなニヒリズムがあるのだと思う。

これは「ソラニン」や「おやすみプンプン」にも共通して言えることで、この思想が土台にあるからこそ、浅野いにお作品は救いのない話が多くそれでいて人の心に沁み入ってくるのだ。

「人生何が起きるか分からないし足掻いたって仕方ない、救いなんて無いけどまあ生きて行こうぜ。」みたいなニヒルなメッセージを読者はプラシーボ的に受け取ってしまう。

作者は誰の味方もしないしご都合にそぐわない話の展開が多い。

しかしそれが人生なんだと教えてくれる。これこそが浅野いにお作品の持つ魅力なのだろう。

それでいて多分万人受けはしない

 ここまで複雑な話だと読み続けるのが苦痛な人も多いと思う。

作品内ではラジオやテレビのニュース番組が常に放送されていていて政治的な話なども多い。

 また中盤がだれるので途中で読むのをやめてしまう人もいるかも知れない。

意味不明で支離滅裂な場面が多くこの混沌とした作風が合わない人も多くいると思う。

しかしこれは現代日本そのものを強烈に風刺した現実と虚構のパロディだと思って貰えればいい。

 非日常の中の日常をデデデデを通して是非体感してもらいたい。

 出てくる胡散臭い人々にはどこか既視感があるかも知れない。

 弱くて可愛い"侵略者"にあなたはどう言う感情を抱くか。

 突飛にみえてどこかリアルなこの作品を読んであなたは何を感じるのか。ぜひ一度読んでもらいたい、そう思える作品だった。

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