鳥海山の「山体崩壊」と象潟の「流れ山」
鳥海山の山容は、本来富士山のように美しい円錐状になる典型的な「コニーデ型火山」でしたが、2500年前に噴火し、頂の部分がなくなってしまいました。
*にかほ市観光協会HPより
鳥海山のほか、磐梯山、岩手山、雲仙岳など日本の火山では多数見受けられます。これらは皆「山体崩壊」といって火山が水蒸気爆発を起こして山体の上の部分が瞬時にして消滅してしまった後の成れの果て。
*2003年撮影:磐梯山
山体崩壊は、火山のお腹に岩石に囲まれた水の塊(温泉の源ですね)があって、マグマの熱が加わると一気の水蒸気化して起こります。
山体崩壊の場合は、ハワイのケラウエアのように溶岩流が流れるのではなく、火山灰や火山岩からなる「マトリックス」と「流れ山」というおおきな塊が流れ出て、崩壊後の山麓を形成します。
先日、鳥海山に行ってきましたが、流れ山が秋田県側の象潟に「九十九島」という芭蕉も歌に詠んだ景勝地を形成。ポツポツ田圃に浮かぶ小山は典型的な山体崩壊による流れ山。
「象潟や雨に西施が合歓の花」
かつて芭蕉が歌を詠んだ当時は干潟の海でしたが、文化元年地震(1804年)に伴う隆起活動によって、今は陸地となっています。
*2020年夏撮影:鳥海山ブルーラインより九十九島を望む
こちらは流れ山そのものを現地で撮影。
なだらかで美しい鳥海山の裾野は、そのままにしつつ、頂の部分は九十九島となって鳥海山の北側に流れ着いたのです。
*八木下晃司先生(早稲田大学オープンカレッジ)の2019年講義に基づき作成
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