専門家を安易に信用しないこと
超予測力(フィリップEテトリック著)を読んで「専門家の予想は当たらないことが多い」という疑いようのない事実が載っているが、その理由というのが専門家の陥りやすい罠としてなるほどと思わせる。
専門家たちは、結局最初に自分の信念を決めてしまうと、その信念に従ってその論理を強化する方向に向かう。哲学の世界ではこれを「信念補強」というらしい。
「人は科学が苦手」(三井誠著)という本では、キリスト教信者は、その信念を強化する方に理論武装するし、共和党支持者は環境問題は懐疑的という方向に理論武装するし、決して「転向」しない。いやむしろ「勉強すればするほどその信念は強くなる」というエビデンスがある。
これは大学教授などの研究者も同じで、一旦自分がたてた説で出世すれば、ずっと自分が主張した説の信念補強をするためにそのあとの研究生活を送ることになる。
途中で「やっぱりこの説はイマイチだな」と思って途中で変える研究者はまずいないでしょう。それで彼らは商売しているわけですから。特に自然科学のような「事実」ではなく「意味と価値の世界」の人文科学系や社会科学系はその傾向が強い。
「自分の説が正しい」とう前提で、将来を予測したり、物事の判断をしていくので、仮に元の説が間違っていたとしても専門家と称する彼らにとっては関係ない。
したがって我々は、一人の専門家に頼ることなく、いろんな考え方を比較検討し、必ずセカンドオピニオン、サードオピニオンを聞いた上で判断しないと判断を誤ることになる。
「超予測力」はまさにこのことを言っており、重要な真理をついていると思う。
*写真:ボツワナ共和国 チョベ国立公園 ザンベジ川 象の群れ
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