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思想(哲学と宗教)

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価値観の学問そのものといって良い哲学、価値観そのものといってよい宗教を勉強する事で「価値観とは何か?」に迫りたいと思っています。
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2021年12月の記事一覧

民主主義のルーツ「ルソー社会契約論」苫野一徳著 書評

<概要>ジャン・ジャック・ルソー著「社会契約論」を通して、高校生向けの講義録と(自由学園の)高校生との対話録などで、あっという間にルソー哲学のエッセンスが学べてしまう良書。 <コメント>■古典(哲学)を理解するためには、我々との同時代性への翻訳が大切 竹田青嗣の弟子で哲学者・教育学者、苫野一徳の高校生でもわかる、ルソー解説本。私にとって苫野一徳の著作は2冊目の通読ですが、哲学のポイントを誰にでもわかりやすく、現代の言葉や概念に言い換えて説明してくれるので、あっという間に

アリストテレスの愛「フィリア」とは?

アリストテレス著「ニコマコス倫理学」では「フィリア」という概念に多くのページを割いています。 ニコマコス倫理学は、よくよく吟味すると、 ①個人としての善→幸福を紹介してのち ②その幸福の実現のための能力(アレテー)について解説し ③これを実践するための前提となる「意志の強さ」を取り上げ ④意志と実践の結果としての快楽と幸福の関係について論じ ⑤そのうえで他者との間に生じるフィリアについて解説した上で ⑥最終的な幸福論を展開する そして倫理学は政治学に繋がっていく、という