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思想(哲学と宗教)

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価値観の学問そのものといって良い哲学、価値観そのものといってよい宗教を勉強する事で「価値観とは何か?」に迫りたいと思っています。
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2021年8月の記事一覧

「あなたの隣のジェンダー革命」日経ビジネス2104号より

FIREして、はや3年目ですが、35年前の学生時代からずっと定期購読しているのが「日経ビジネス」。 日経ビジネスは、管理職のビジネスパーソン向け雑誌ですが、別にビジネスパーソンでなくても単純に「しっかり深掘りされた記事」が多くて、とても面白い。 ちょっと古くなってしまいましたが、今回の記事(2021年8月23日号)も大変興味深かったので思わずメモがわりに展開。 ■セクシュアリティーは、四つの要素の組み合わせ①体の性   :生物学的な身体のつくりが男か女か ②心の性   

言語ゲームとは何か?「はじめての言語ゲーム」書評

<概要> 哲学者ウィトゲンシュタインの伝記を綴りながら彼の主要テーマである「言語ゲーム」の発想の背景とその内容を紹介した上で、キリスト教・仏教・国学などの思想における言語ゲームの具体的活用方法を例示した著作。 <コメント> 著者の場合「言語ゲームとは、規則(ルール)に従った、人々のふるまい」と定義しています。 ヴィトゲンシュタインは当初「写像理論(picture theory)と言って世界(出来事の集まり)と言語(文章の集まり)は、ピッタリ、ワントゥーワンで対応していると

「推し、燃ゆ」宇佐美りん著 書評

<概要> 軽度の精神障害を持つ少女が、推し(アイドル?)に人生の全てを捧げることで、生きる実感を得ようとする生き様を、文学的表現によって描写した第164回芥川賞受賞作。 <コメント>             *以下「ネタバレ」含みます。 先日読んだ「<普遍性>をつくる哲学」 で「推し、燃ゆ」が引用されていたので、半年前の文藝春秋2021年3月号を電子書籍で再度ダウンロードして、改めて通読。 以下印象的な言葉をメモる。 人間が人間でいることの面倒くささって確かにあるかも

<普遍性>をつくる哲学:岩内章太郎著 書評

<概要>現在進行形の哲学(構築主義や新しい実在論など)をわかりやすく解説した上で、これらを乗り越える最も最先端かつ説得力のある哲学「普遍性をつくる哲学=現象学」を紹介した2021年6月出版の新作。 具体的には、哲学の目的を「暴力による社会から、話し合いによる社会への転換」と位置付け、善の原始契約に基づき、現象学的言語ゲームを展開することによって「話し合いによる社会」は可能と提言。 話し合いによる社会によって自由な社会は維持されるという前提のもとで「関係性の充足」や「ソロ充