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文字通りの"THE FIRST SLAM DUNK"

過去にSLAM DUNKを通っていない

スポーツ漫画でこれを知らないヤツはいないだろう、と言っても過言では無い。
自分ももちろん知っている。作品の存在自体は。
だが、漫画を読んだことは一度も無かった。アニメも一切観たことが無かった。
作品自体を拒絶していたわけでは無い。
なんとなく、本当になんとなく、触れたことが無かった。

去年終わりくらいにキャスティングが発表されて、バッシングを受けたりしたニュースもまだ記憶に新しい。
もう一度念押ししておくと、「スラダンが嫌い」とか「バスケが嫌い」とか、そういう感情は全くない。(バスケ自体のプレーは苦手だけど)
むしろ、自身が未経験のスポーツを題材にした漫画を読むことは割と多い。直近ではメダリストにハマったわけだし。

単に、タイミングが合ってなかったような…そんな感じ。
名作であることは疑いの余地もないが、熱烈に勧めてきた人もいない。
自分から探し当てるでも無くもうそこに存在する。皆が皆、名作であるとだけ語っている。
しかし、何かが噛み合わない。「これだ」、というきっかけが無い。

そんなこんなで内容をよく知らず、前情報一切無しの状態で、いきなり映画を観てきたのである。
「多少は予習をしてから観に行くか?」とも思ったが、どうせなら真っ白のまま観てみようと決めた。
大多数は漫画やアニメで何十回何百回と作品に触れ、満を持して劇場に足を運んだ人。
片や、なんも知らん人。

感想

面白かった。先ずそれを言いたい。
勝ったこともそうだし、試合中の空気の流れの表現は身に覚えがある。
特に終盤の、あと数点で追いつける!となってからの展開。
自分の心音しか聞こえない、周りがスローモーションに見える、かと思えば、周囲の風景が一切目に入ってこず、さらにものすごい速さで時間が流れたり。
ああいう経験は、スポーツ経験者なら覚えがあるのでは無いだろうか。
特にタイマーで時間が区切られた競技ならなおさら。
自分は柔道をやっていたが、試合場でのわずか数分の組み合いの中でとんでもなく長い「時間」を感じたことがある。
技をかけてポイントを奪い、あと30秒粘れば優勢勝ちできるような場面。
タイマーの音が聞こえてくるまでのわずか30秒が永遠のように感じた。
あくまで一つの例だが、目の前の試合1つに完全に没入すると、そのような体験をすることがある。
そのような描写が見事で、鳥肌が立った。

宮城リョータの過去の話に思ったほど感情移入できなかったのは、原作を知らないからなのだろうか。
ロン毛の不良が後の三井だと気づいたのは、リョータと殴り合いのケンカをした後に傷だらけの顔で体育館に行って頭を下げたとき。
そこら辺ももっと、細かいドラマがあるんだろうなと思った。

山王が高校最強なんだな、ということは最初に理解し、では誰がどういう強さを持っているんだろう?というのを探りながら観るのも楽しかった。
ゴリと河田のマウントの取り合いとかも良い。河田が完全にゴリ上位互換みたいな選手で、「俺はコイツに勝てるのか」とゴリが葛藤するのも良かった。
沢北の強さには面食らった。高校世代最強の噂はその通りで、でも「さすがにそれはねーよ」みたいなチート能力なんかでは無く、「納得の強さ感」を持っているのが良かった。
言動が刃牙の最強死刑囚たちみたいなのはちょっとだけフフってなった。
神社での願掛けで遠回しに「敗北を知りたい」とまで願うとは思わなかった。

沢北や流川のような「生まれたときからバスケしかしてない」「もうなんでもできまっせ」という万能な強さも良いのだが、湘北の他選手のように「一点特化型」な強さもすごく好きになった。
三井のスリーポイントだったりリョータのドリブルだったり。
「俺にはそれしか無い」と割り切ったキャラクターはどうしてこうも魅力的なんだろうか。

リョータの沖縄の過去話などオリジナルの要素もあるようだが、基本的に山王線はすでに漫画に描かれているお話である(はず)。

本作の世界観に初めて触れた自分は完全に蚊帳の外というか、置いてきぼりを食らっているような印象だった。
各キャラクターの関係性・掛け合い・強くなるための課程などはすでに完成しており、映画開始早々にラスボス戦が始まったような感覚だった。(実際ラスボス戦なのだが)
でも決して悪い気はせず、「こういう楽しみ方もアリだなぁ」と。脳みそ使いながら楽しむことができた。

古参ファンからすれば「そうそうその展開になるんだよね」ってわかりきってる内容でも、知識ゼロの自分からすれば全てが新鮮だった。

"初めてのSLAM DUNK"、なんとも贅沢な体験ができたものである。

結論

前知識なしでも全然問題ない。面白い。
バスケのルールやポジションに詳しくなくても問題ない。

ただ、各キャラのwiki位は読んでおいても良かったかもしれない。
学年なり性格なり。他の人物との関係性もうっすらと頭に入れておくとより楽しめたかもしれない。
あとはもう勢いで大丈夫。

漫画集めるかぁ~

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