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(終電を捨てたものの女の子には帰られ)逃げる(ように風俗に駆け込むの)は恥だが役に立つ

役に立ちません。
役に立ったことはありません。
役に立つわけがありません。
こんにちは、ぱにおです。

それでは前回の続き、アラサー童貞甘じょっぱ恋物語です。

『ぱにお逃げ恥ストーリー 中編』

ランチ→ネコカフェ→カラオケと初回にしてはガッツリデートを経て、夜ご飯も一緒に食べたいと言われ、あまりの展開に戸惑う僕。
Yちゃんの最寄りの京都駅付近で食べることに。
移動の電車の中では「え?え?これが脈ありというやつ…?」と鼓動が高まる。
初めての連続の動揺、何より話のネタの少なさで一生つまんない話を続けてしまう。
頭上から俯瞰で見てるリトルぱにおの溜め息が聞こえる。「はぁ…もっとユーモアあるウィットに富んだ話はできんかね…」
ただ、Yちゃんは退屈そうな顔をしていなかったことだけが唯一の救いだった。

度々のマッチングアプリ活動により京都駅付近の良さげな店は把握できていた。
勉強代の総額はそれなりだが。
それだけ多くの人と会っておきながら、一度も付き合えていないのだがだが。
1軒目はここ、2軒目はここと算段をつけ、お店に到着。
「いい感じの店やね!」とYちゃん。
よしよし。
お酒も入り、人見知りで緊張しいの僕でも半日以上一緒にいると流石に慣れてきたのもあって、流暢に話せるように。
アイドルとの握手会で推しメンの爆笑をかっさらっていたヲタク全盛期のぱにおさんを彷彿とさせる流暢さ。
いや、そんな期はない。
キモ発言でヒかれたり、サイン会で腹筋したり、ツーショット撮影では床に寝転がったりした底辺期であった…
よく捕まらなかったものだ。アイドル現場が治外法権で本当によかった。

居酒屋では腹筋も寝転がりを披露できるタイミングはなかったが、楽しく飲めた。
そろそろ2軒目誘うかと思っていると…

Yちゃん「写真撮りません?」

ん?写真?料理はもう食べたから撮れない…今さら店内を撮る…?ん?ん?
困惑していると、距離を詰めてきてスマホのインカメラを起動するYちゃん。
…!!僕とツーショットを撮りたいってこと…!?
女の子とのツーショットなんかお金を払ってアイドルとしか撮ったことないぜよ!
ぱにお国の開国を夢見た心の中の坂本龍馬が男泣きしている。
一般女性からの鎖国もついに…その時、歴史がうご……とそんなことより、Yちゃん側のこの鉛のように重くなった右手をどうするかである。
アイドルとのツーショットでよく言われる「アイドル側の手が死んでいる」(不自然な感じで固まっている)状態だけは避けたい…!
右手の重みは増すばかりだが、なんとかYちゃんの肩に手をまわ………そうとしたもののイスの背もたれにのせるのが精一杯であった…
優・良・可・不可で判定するなら、ギリギリ可をもらってもいいのではなかろうか。
いいですね?いいですよね?はい、ありがとうございます。

2軒目への誘いもすんなりOKをもらい、店を出る。
慣れた人ならここでもう手を繋いだりすんのかな…?いや、まだ早いのか…?などウダウダ考えつつ結局何もアクションを起こせないまま2軒目へ。
ここで衝撃の事実を知ることとなる。

一生他愛もない話を続けてきたものの、ここいらで恋愛の話もしなくては。
今までにない手応えを感じた僕は今まで通りではダメだとトイレで「告白 何回目」「告白 流れ」とググっていたのだ。
ご存知の通り、惚れやすい僕は当然Yちゃんにベタ惚れであった。
電車男みたいにリアルタイムで誰かに相談したかったが、そんなみっともないことはできない。
ネットで検索している時点でみっともないのにね。
Google先生によると告白は2か3回目がいいらしい。
また、今までの付き合った人の話とか恋愛トークをするのも大事らしい。
流し読みだったので信憑性は分からないが、とりあえず前に付き合っていた人の話を聞いてみる。
高校生の時に同級生と付き合っていたけど、友達の延長線ぐらいのものだったそう。
僕も小学5年生の時に付き合って交換日記してたぐらいだから同じようなものだな。うんうん。
ただ、話を聞いていくとどうやらそれだけじゃない。
Yちゃんに元カノがいたのである。
男も好きだけど、女の方が好きとのこと。
思い返してみれば仲良い女友達の話をする時のゆきちゃんの熱の入り方に少し違和感はあったかも…

その元カノはエッチな年上のお姉さん。
体の関係はない。
連絡が途絶えたけど、いまだにそのお姉さんのことが忘れられず引きずっている。
忘れるためにマッチングアプリに登録した。

ザッとそんな話であった。
元カノがエッチな年上のお姉さんと聞いた時に「紹介して!」の「しょ」が出かけた。なんとか堪えたけど。

最後になかなかヘビーなネタが飛んできたが、同性愛に偏見はないのでそんなに動揺はなかった。
何より普通に話してくれたのが嬉しかった。
相手によっては話さないけど、僕だから話したとも言ってくれたのが何より嬉しかった。

初回にしては長く、色々なことを知れたデートとなった。
次に会う約束も取り付けた。
首尾は上々。
そして僕は終電を逃していた。
上々ではない。
童貞のくせに期待して終電を捨てる悪い癖が出てるぞ。しっかりしろ。誠実に生きろ。
だが、ここまでの好感触なら今夜はもしかしたら?などと考えながら、Yちゃんを家まで送る。
とりあえずジャブでも打つか…?

僕「ネカフェに泊まるしかないか〜(チラッ)」

ジャブでも何でもない。
キングオブ童貞。
これが童貞たる所以だと言わんばかりの激弱パンチ。いやパンチではなく、ソフトタッチ。

Yちゃん「部屋片付けられてたら泊めさせてあげれたんですけどね〜」

やんわりNG。
「大事にしたい、この恋。」
そういうことだね?
分かるよ、僕も一緒さ。

Yちゃんをマンション前まで送り届け、お別れ。
「僕は必ずこの地に戻ってくるッ!」とマンションを見上げて決意表明し(ダサい)、ネカフェに入る。
女の子とのデート後でここまで晴れやかな気持ちだったことはない。
余韻に浸りつつ、今日のお礼LINEを送る。
すると思わぬ返信が…!

「もうすこし一緒におらん?て言ってくれるのかな〜て期待してました(笑)」

気付いたらネカフェを飛び出していた。
熱かった。胸が。
とんでもなく熱かった。
足は勝手にYちゃんのマンションに向けて走り出していた。


続く

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