心からお詫びするのはどんな時か
「本日京浜東北線内で起きました人身事故の影響で、浅草線は10分遅れての運行となっています。列車遅れましたこと、心よりお詫びいたします」
というある日の車内アナウンス。心より?これまでそんなこと言ってたっけ?
本当に申し訳ない、謝らないといけないと思ったのはいつ、どんな時だっただろうか。
幼稚園の頃、近所の守君のミニカーを黙って持って帰ってきてしまった時、小学生の頃、江ノ電の線路に十円玉を置いてぺちゃんこにしたこと(これは江ノ電に対して?お金に対して?)、中学の部活で後輩を怖がらせたこと、高校の頃に友人から借りたベースギターを二十歳過ぎても使っていたこと、大学の頃にバイトで夜中に車移動の道すがら、三浦の畑で球体の果実をせしめたこと、社会人になって、帰省途中に渋滞中の首都高で前の車に追突したこと。
この中で実際に相手に謝ったのは交通事故の時だけだった。(守君のミニカーは母が謝っているかもしれない)
電車内アナウンスは自分のところ(浅草線)ではなく、他社(京浜東北線)のとばっちりによる遅れだ。本来なら謝る必要もない。都心であれば5分遅れようが、10分ダイヤが乱れようが、電車は次々やってくる。1本乗り遅れたからと言って新幹線に乗れなかった、飛行機に乗れなかったという路線でもない。
そうなると、分刻み、秒単位の正確さが求められるのはどういう時だろう。ちなみに時間外労働(残業)は1分単位で計算されなければならないそうだ。知らなかった。
https://www.teamspirit.co.jp/workforcesuccess/law/working-hours.html
企業に求められる正しい「労働時間管理」
他には例えばロケット発射のカウントダウンも1分違いというわけにはいかない。金融取引の世界もシステムのことを考えれば秒単位だろう(もっと細かいか)。
電車が多少遅れても気にかけないが、もし自分の電波時計が狂っていたら気になる。鉄道事業者も「しみついた習性」みたいなものがあるのだろうか。新幹線の時刻も一分の中で00秒、15秒、30秒、45秒があるという。変態的なダイヤとしか言いようがない。
型と割り切っての「心よりのお詫び」などこの際やめて、軽めの提案。
「ただいま京浜東北線人身事故の影響で遅れて運行しています。ご了承ください」
で十二分ではないか。
心からお詫びしたことがない(少ない)のは、幸運なことなのかもしれないな。
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