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猫と私 #1 私は「猫を飼いたい」と主張したことがない

我が家には現在、4匹の猫がいる。
4匹となると一般的な感覚で言えば「かなり多い」部類になるが、一昨年(21年9月)に亡くなったチョンマゲ、今年(23年4月)に亡くなったイチコを含めて最大で6匹いた時期もあり、さすがに私も「結構たくさんいるな」と思っていたし、6匹飼っていることを知ると人は「猫がお好きなんですねえ」と呆れたような顔をされることが少なくない。

6匹揃った写真は滅多に撮れない

が、実は私はこれまで「猫を飼いたい」と口に出して主張したことがない。
むしろ大型犬を飼いたいと思い、売れ残った大きな秋田犬の子犬がいるお店に妻と子供を連れていき、「ねえ。どうかな?」とおねだりしてみるも「何が、どうなの?」と一蹴されて枕を濡らしたりもする。
そんな我が家には現在、4匹の猫がいる。

最初に飼い始めた猫は、知り合いがいきなり押し付けてきた2匹の子猫だった。

知り合いの家に遊びにくる猫が子供を産んでしまったらしく、5匹の子猫のうち3匹は貰い手がついたものの、残り2匹は貰い手のアテもなく、困り果てた挙げ句に犬派の私のところへ持ち込んできたのである。

「お前が引き取ってくれないと、保健所に連れて行くしかないんだけれど」

当時は保護猫なんて言葉はなく、保健所に行けばだいたいの場合は殺処分。運が良ければ徳の高い人に引き取ってもらえる。そんな時代だったが、私は幼少期に猫に引っ掻かれたり、噛まれたりした事もあって猫はあまり好きではなかったため「犬じゃないなら俺には関係ないよ」とお断りすると、知人は驚くようなことを口にするではないか。

「薄情なやつだな」

さっき「保健所に連れて行く」と眉ひとつ動かさずに言っていた人間が口にして良い台詞とは思えないが、自分が断れば子猫は処分されるかもしれない。と思ったら目覚めが悪いので「引き取って、貰い手を探せばいいか」となし崩しに受け取ってしまったのが猫との暮らしの始まりだった。

実際に猫と暮らし始めてみると、犬とはまた違った良さがあり「このままウチにいればいいさ」と思えるようになったので2匹は家族になったわけだが、この2匹のほかに猫を飼いたいと思うことはなかった。

はじまりの猫、チャオとルネ

そうして猫を飼っていると何故か外の猫がちょいちょい顔を出すようになる。
なんとなく顔なじみになると「この野良猫を懐かせてみよう」なんて興味が湧いたりもするのだが、家族に迎えたいとは思わなかった。
なにせ、カメラやバイクと違って命のある生き物だけに責任が重い。

自分のテリトリーにやって来るのは良いけれど、最後まで面倒は見る気ないよ。

コワモテ猫のボロシロ

そんな一定の距離感で長いこと外の猫と付き合っていたのだが、距離感をぶち壊す猫が現れる。

(続く)

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