影武者

小汚いおじさんになってきたので、若いイケメンとセクシーな美女を影武者として雇うことにする。

数年前に、ある美術作家に盗作の疑いがかけられた。ポップでかわいい女の子のイラストが人気の女性作家だ。正確には女性の名前で活動をしているチームだったのだが、そんなことは誰も知らず、かわいいイラストと名前に引っ張られて、クリクリの目でヘッドホンをつけてオーバーサイズのTシャツを着た150cmの美少女が描いてるんだろうと勝手に想像していた。実際には小太りのおじさんが描いているという事実がsns探偵によって明るみになった。作品の後ろの窓に、反射したおじさんが写ったのだ。期待を裏切られたファンたちは、騙された！話が違う！と発狂した。盗作疑惑の騒ぎから、作家が美少女じゃない問題に発展し、嘘つきだ、盗作してるに違いない、叩いていいヤツ！と連想され、あっという間に炎上した。

炎上はいやだがパクりたい。半分パクるのはどうだろう。つまり「私は女性の名前で活動するおじさんですよ」と公言して活動してみたいと思う。それか、女性の名前で活動するおじさん集団ではなく、おじさんの名前で活動するイケメン美女軍団をつくりたい。私の名前をユニット名にして、表に出るのは私の名前を名乗るイケメンと美女にする。要するに影武者だ。無名の作家が新人賞を獲ったと思ったら、失踪した天才作家が別名で書いた新作で、会見に芸能事務所所属の長身イケメンが影武者として現れ本が売れまくるという物語「騙し絵の牙」のパクりといったほうが正確かもしれない。イケメンだと思っていたのに！美少女だと思ってたのに！こどもだと思ってたのに！騙された！いや騙されてない！？影武者多様性、10人くらいほしい。

今日も、最後まで読んでいただきありがとうございます。盗作とかパクりに敵意むき出しになる気持ちもわかるけど、誰にも影響されず新しいものをつくりだすってできないよなあ。リスペクトしてモディファイしましたって言うのかなあ。