最高のエンジニアを採用するために。1年間でやったスカウトメッセージを研ぎ澄せる3ステップ
初めまして。カミナシでPMをやっている後藤といいます。
2020年4月から事業の拡大し採用を加速する中で、自分は約1年程エンジニア採用を担当してきました。
優秀なエンジニアの方へ魅力を伝えるのは本当に難しいです。
スタートアップでまだ認知もない企業へ飛び込むことは、少なからずリスクが伴っています。
そんな中で事業が抱える課題とその人の強みが一致させ、カミナシのどこに力を発揮していただくのか。そしてそれが如何に魅力的であることをお伝えするのか。
会社独自の課題/技術の特異性/候補者の方が最大限バリューを発揮できることの3つを自分はうまく伝えられず、1年ほど苦労しました....。
そんな中でもカミナシは、今年正社員の方3名, 副業の方5名の優秀なメンバーと出会い、仲間として迎え入れることが出来ました!
自分当時のエンジニアスカウトを振り返ると
1. 事業, 2. 技術, 3. 候補者の方の強み
の3つが重要だと感じることが多かったです。
そこで今回この3つをステップごとにポイントを紹介させていただきます。
1. 事業との紐付け。組織に何故あなたが必要なのか
事業についてまず整理し、候補者の方にどこを推すべきなのかを考える必要があります。
いろいろとお話しする前に、自分が一番初めに送っていた事業の説明はこんな感じです。ご査収ください。
ホワイトカラーの現場を変えるプロダクトは世の中では多い分野ですが、ブルーカラーの現場を変えるプロダクトはまだまだ少なく、僕らが変えていかないと行けない分野だなと日々奮闘中です。
衛生/品質管理の分野自体はピンと来ないかもしれませんが、エンジニアの力が最も求められている領域だと確信しています。
とても弱い...ですねwお恥ずかしい。強調している箇所を掘り下げていくと
1. 変えていく必要がある分野は何か、そしてそれはカミナシである必要があるのか
2. エンジニアの方が解きたい!と思える、そんなピンと来る課題は何か
などが自分の中でうまく言語化出来ていないことが分かります。
個人の主観による部分ももちろん大事ですが、何よりもサービスの特異性とツッコみ所を減らし、事業に興味を持ってもらうことが大事。
各フェーズにおいてぶつかる課題をイメージしながら、言葉を抽出していきます。
1. 事業はどんな方向へ向かうべきで、そのための最短経路はどこになるのか
=> 「ノンデスクワーカーの才能を解き放つ」というミッションを掲げた時に、それは3100万人のノンデスクワーカーのために才能を解き放つような、N1の個人の価値や能力を最大化する必要がある。
2. 事業としてどんな成長曲線を描き目標を達成する必要があるのか
=> T2D3の成長曲線を描き、2021年6月から始めて7年でARR100億の企業を目指す。
この時直近1, 2年の中で組織的な課題は何になって、それはプロダクトとしてどんなものが必要になってくるか。
3. この事業や課題へ相乗りしてくれる市場、顧客は誰か
=> 市場や顧客の解くべき順番や、どんな広げ方をしていくのが良いのか。
カミナシは「ノンデスクワーカー」でホリゾンタルに急成長を目指すSaaS。
3100万人のノンデスクワーカーの才能を解き放つためにも、サービスの安定性と新規ユースケース開拓の攻守のバランスをとって開発を進める必要がある。
そうなってきた時に、事業の課題の中でも技術によった課題はどんなものがあるのか。課題自体も挑戦的である必要がありますね。
徐々に解像度を上げていくのですが、まずは草案から。
- ずっと安定稼働をする必要がある
- エンプラ企業に対して徐々に導入が始まっていた
- ノンデスクワーカーの大きい市場
これだと前に記載した最初の文とそんな変わりはありません。これを改善するための一つコツがあります。
定量的な数字を含めて、課題を明確にかたどっていくことです。
それらしい言葉であればある程、テンプレ臭は漂ってしまうもの。
候補者の方へ説明する際には、もっと明確に課題を落とし込んでいきます。
実際の数値を当てはめ、解像度を上げてみるとこんな感じになります。
- 24時間365日安定稼働を求められるサービス特性
- IT化率1% & 業界Tier1のエンプラ企業の導入
- 146万社 & SOM2700億円の超巨大ノンデスクワーカー市場
同じ事実だけど、グッと課題の解像度が上がったように見えますね!
事業の課題を明確すること、ここがまず第一ステップとなります。
2. 技術課題との紐付け。開発が抱える課題は何か
事業の課題は見つけられました。次はここから技術的な課題の紐付けを行っていきます。
ここで重要なのは課題が何故求められているのか、背景を明確にすることです。
「24時間365日安定稼働を求められるサービス特性」という課題に着目して説明していきます!
「24時間365日安定稼働を求められるサービス特性」であるのは何故か。
それはカミナシを使うお客さんが業務フローの中でも特に記録が抜けてしまっては困る紙帳票を置き換えるサービスであり、それが夜中にも常時稼働しているためです。
24時間365日安定稼働は実際に実現しようとすることは不可能なため、如何にここに近づけていくのかがポイントになるなと感じていました。
そこで課題と解決策を探索していきます。
「AWS Well-Architected フレームワーク」で書かれたことがとてもイメージが近く、そんな中で課題の解決策が浮かび上がってきました。
1. 勘に頼らない可視化の仕組みをどう実現させていくのか
2. Write Heavyなサービスに対し、如何に落ちないインフラを構築するか
3. アプリの処理ごとに異なる可用性を如何に担保させていくか
ここで解決策を考え、それを元にJobDescriptionへ落とし込んでみます。
上記は今僕らが公開しているSREの方向けのJobDescriptionです。
ここに上記の課題を解決するための打ち手のイメージを書いていきます。
1. 勘に頼らない可視化の仕組み
=> 障害発生時に即時で気付けるような監視体制の強化、死活監視
2. Write Heavyなサービス
=> トランザクション範囲、Lock問題の解決、垂直/水平スケール
3. アプリの処理ごとに異なる可用性
=> バッチ/APIなどにSLI/SLOを定義していくか
課題の大枠が徐々に決まってきたように感じます。
ようやく職種のイメージが固まってきましたね!
この課題を解決してくれる方が多い職種でいうとSREの方なのかなー、とイメージが徐々に形を見せ始めてきます。
ここまで準備した状態で、実際のスカウトへ向かっていきます!
3. 候補者の方の強みと紐付け。どこで活躍いただくか
ここからは、候補者の方を探す探索の旅に向かいます。今の課題を頭の中で整理を行い、疑問点を洗い出していきます。
「カミナシはWrite Heavyなサービス特性を持つサービス。だから、如何にトランザクションの範囲を設定するか、垂直スケールするDBの運用方法はどうしていくのが良いんだろう」
「24時間365日の安定稼働が、今後増えていくお客さんにとっての信用性の担保になる。この守りの部分を勘に頼らない形で今後サービスを提供するためにはどんな部分を可視化していくと良いのかな」
そうすると、課題とどんな部分に強みを持っている方を求めているのかを話せる状態となります。
これまで作ってきた課題をもとに、作成してみましょう!
例えば監視周りでのハックをされており、そこへの文化の向き合い方やアウトプットを継続的に出されている方へスカウトを出す場合を考えてみました。
監視の目的として、「XXXXX」という文化を支えるという理由を元に、監視周りを強化しそれを実際のアウトプットで出されている点を拝見しました。
<<githubのコード, speaker deck/個人ブログなどでのアウトプットを確認させていただいた部分で共感したことをめっちゃ書く>>
僕らのサービスでも24時間365日稼働を最大限活かす仕組みを構築しようと考えています。
そうなった時に勘に頼らない可視化の仕組みを如何に作り込んでいくのかが鍵となってきており、今現時点ではdatadogで監視ログを取れる基盤を進めているものの、それを形とするまでに強化したい部分があります。
障害発生時に即時で気付けるような監視体制の強化、死活監視を行っていくために、ZZZZさんのこの記事を拝見させていただく中で、思想として近いものを感じたことと、そこへの解決策が目から鱗だったためこの問題解決方法を是非聞いてみたいな!と思いました。
ここが最も大変なのですが、必ずアウトプットを一つずつ丁寧に拝見して、それが何故今の会社が求めている課題と紐付くのかをお伝えすることを意識しました。
採用開始当初の自分と比較すると、候補者の方のアウトプットと事業の成長が同期してくる感覚になってきて、面談前にすでに話したいことが浮かんでくるようになりました。
スカウト送信時点で、すでにカジュアル面談は開始してるんだなと感じてメッセージを送っています。
メッセージを作る時間を考えず最高のスカウトメッセージを作ることを目指しましょう!(2時間くらい集中してメッセージを作成することも多々w)
上記3つのステップを経ていく中で変わったこと
実際にメッセージを送った中で、とても優秀な方を副業としてJOINしていただき、slackでこんな嬉しいメッセを頂きました!
泣ける。めっちゃ嬉しい。
候補者の方への思いとそのかける時間は、優秀な方を惹きつける一つの武器となるんだなと感慨深い気持ちになり、エンジニアスカウトがとても楽しいなと思える瞬間を味わうことが出来ました。
技術力もぐんと底上げしていただき、組織のレベルと視座を一つ上げてくれるような最高の仲間です。
こういう方に巡り合えるのだからエンジニア採用、ほんとやめられないですよね。
まとめ
今回エンジニアスカウトでスカウトメッセージを研ぎ澄せる3ステップを紹介させていただきました。
自分もエンジニアだったので分かることは、大きな課題と解きたいと思える技術課題が強みと一致するかどうかが大事だなーと思います。
そこで課題を事業=>技術=>候補者の方へ徐々に絞り込んでき、何故あなたを私たちは求めているのかを明確にしていくことで、より解像度の高いスカウト文を書けるようになりました。
やはり自分よりも優秀な方と一緒に働きたい!とみなさん感じるものです。
自分の中での課題から抜け出し、如何に事業の課題を説明して未来の技術課題へ興味を持っていただくか。意識するだけでも大分違うんだなと感じます。
初めにエンジニアスカウトを行うとなったときにはつまづくことも多いかと思います。一つ目のメッセージは多分誰しもが失敗するものです。
めげずに時間をかけてもいいのでじっくりと、いいスカウトを練って優秀な方を会社へ迎え入れましょう!
ここから少し宣伝。
先日カミナシCOOの河内がPodcastにて「採用・広報戦略のコツ」を公開しています!
また別の視点で採用活動の向き合い方について話しているので、こちらも是非ご覧ください。
また今回説明した以外にも、ブルーカラーの未開拓領域にサービスを展開するとなると、解きたい課題もまだまだたくさんあります。
カミナシのことが少しでも気になるという方は、是非気軽にお話ししましょう!
それでは👋
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