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イカ形土製品を見て縄文にハマる

イカ形土製品、本当の名前は「鐸(たく)形土製品」、北海道の森町で出土したイカ飯にそっくりの縄文時代の土製品(森町鷲の木4遺跡出土、縄文後期前半)。

函館にはほぼ毎年行っていて、函館市というか南茅部には国宝の中空土偶があるということも知っていましたが、市内から遠くて二の足を踏んでいました。

しかし、縄文熱が盛り上がっていよいよ行こうということになり、ついでに森町にも世界遺産候補の遺跡があるようだから行ってみようということになったのです。

向かったのは森町の「遺跡発掘調査事務所」。ものの本によるとそこに土器やら土偶やらが展示してあるということで向かうことに。しかし正確な地図もなく、国道5号線のこのあたりにあるはずだと言いながら車で3度ほど通過してしまい、ついに見つけた調査事務所。とてもわかりにくい場所にありました。

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外観は本当にただの事務所なのですが、入ってみると職員の人が出迎えてくれ、親切にスリッパを出して、電気をつけてくれ、立派なパンフレットやファイルまでくださいました。

展示室の中は土器がぎっしりと並んで圧巻の風景。細かく解説するときりがないですが、触っていいよという土器片が無造作においてあったりして、これはもうパラダイス。

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イカ形土製品があるのは展示室のやや奥まったところ。本物のイカ飯とのツーショット写真なんていうなかなかシュールなものもあって、何をどう売り出そうとしているのかわからないところはありましたが、実際に見るその土製品は本当にイカそのもの。これを「鐸」と呼ぶのはなかなか無理があるのじゃないかと思うほどです。

縄文時代には、いろいろな動植物をかたどった土製品があり、イノシシや猿といった獣だけでなく、きのこや巻き貝などいろいろなものがありました。それならばいかがたくさん穫れるこの道南でイカを象った土製品が作られても何の不思議もないわけです。

そしてこのイカ形土製品が出土したのは国指定史跡の鷲ノ木遺跡。道内最大規模の環状列石と集団墓地を主体とする遺跡であることから、このイカ形土製品も何らかの儀礼に使われたものではないかと考えられています。

調査事務所にはこの環状列石のジオラマも展示されていますが、今度は環状列石が公開されるときに訪れてみたいものです。

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私はこの土製品を見てさらに縄文にハマってしまったわけですが、なぜかと考えると、ここまで写実的にイカを再現しながら、一体何に使ったのかわからないというところがまず魅力的。

そして、儀礼に使われたと言っても、その儀礼というものの様式も意味もおそらく今とは全く違うもので、そこに現れる縄文の人たちの世界観はどのようなものなのだろうと考えることが楽しくなってしまうのです。

「何のためにこんなものを作ったのか」という謎が私が縄文に惹かれる最大の要素なので、このイカ形土製品にも否応なく惹かれてしまうのです。

訪れようかなと思った方は、こちら↓の森町教育委員会の高橋さんが書かれたコラムを読むと場所もわかりやすく書いてあるのでよく読んでから行ってみてください。

次回は国宝の「中空土偶」について書きたいと思います。

イカ形土製品が見られる森町埋蔵文化財発掘調査事務所の情報はこちらから


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