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青森県立郷土館で縄文の謎に出会う。

青森で青森県立郷土館で開催中の企画展「縄文遺跡群と県立郷土館ー発掘調査の軌跡ー」の後編です。前編はこちら。

前回は亀ヶ岡石器時代遺跡(晩期、つがる市)の途中まで紹介しましたので、その続きから。土偶も少しありました。

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亀ヶ岡といえば遮光器土偶ですが、出土品がバリエーションに富み、謎の多い遺跡ともいわれています。この土偶も、いろいろな時代、場所の要素を持っているように思えます。

続いて、是川石器時代遺跡(晩期、八戸市)。多くの遺物は是川縄文館にありますが、こちらにも多少あるようです。ちょっと珍しいツルッとした小型注口土器。

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大森勝山貝塚(晩期、弘前市)の土偶やツルッとした石棒。

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今回の中で一番訳がわからなかったのが、埖渡(ごみわたり)遺跡(晩期、南部町)のこちら。

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手のようなものがついた袋状の土器。見れば見るほど不思議、でも魅力的。埖渡遺跡の他の出土品も紹介します。

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松原(1)遺跡(晩期、三戸町)

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杉沢遺跡(中期~晩期、三戸町)

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荒谷遺跡(晩期~弥生前期、八戸市)

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剣吉荒町遺跡(晩期、南部町)

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大曲遺跡(弥生前期、鰺ヶ沢町)

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宇鉄遺跡(弥生中期、外ヶ浜町)

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見事なビアマグ

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北東北は日本海側から稲作が入ってきて、弥生と続縄文の文化が混ざり合いながら続いていったという印象があり、この宇鉄遺跡の出土品はまさにそのような感じ。縄文の心を持ったまま弥生時代に順応していった人々の心の動きが読み取れるようです。

今回の展示で印象に残ったのは、青森県という範囲で見ても、その文化は一様でないどころか、本当にバリエーションに富んでいるということ。同じ時代であっても文化が一様になることはなく、クオリティは高いまま様々な様式が併存しているということです。

ひとつひとつの意匠に意味はあるのでしょうが、私たちはその意味を理解することができません。注口土器の注ぎ口の下に丸が2つあれば男性器を象徴していると言いたくなりますが、本当のところはわからないのです。縄文について書くと、いつも最後は「わからない」となるわけですが、今回もそうなりました。

これだけの物量があっても、全体を統一するなにかを見出すことはできない、そうなると縄文文化はもはや一つの文化ではない、青森に限ってみても。そう言いたくなります。でもその多様性こそが縄文文化というものであり、だからこそ現代の私たちがそれに惹かれるのです。

青森の縄文(と弥生)の多様さを見せてくれるこの企画展、ぜひ行ってみてください。青森県立縄文館は常設展と風韻堂コレクションにも素晴らしい出土品がたくさんあり、いつも時間が足りなくなります。時間には余裕を持ってご来館ください。

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(八日町遺跡出土、風韻堂コレクション)

青森県立郷土館の情報はこちら


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