【統率された完勝劇】Arsenalマッチレビュー@PL第7節vsBournemouth(A)/23.09.30
試合前トピックス
・カラバオカップvsブレンドフォード突破
→サゴエJrトップチームデビュー
→エルネニー復帰
→スミスロウ、ジョルジーニョ、ネルソン、CB冨安ら活躍
・突如怪我人多発
→最大8人(ティンバー、トーマス、マルティネッリ、トロサール、ライス、サカ、サリバ、ヴィイエラ)
マッチレポート
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試合トピックス
少しの粗とラヤの左CB化
プレスカンファレンスでは既に離脱している選手に加えスタメンクラス何名かが怪我で戦線を離れているとアルテタは述べていたが、蓋を開けてみればなんのその。サカやサリバ、ライスが順当に名を連ね、IHにはハヴァーツが戻ってきた。
さてボーンマス戦の前半は頭の数分間はホームボーンマスがボールを握る展開。根気よく回し楔を差し込むタイミングを伺い、チャンスとなれば今度は時間をかけずにゴール方向へ最短で向かう速攻をかける。アウェイといえど主導権を握りたいアーセナルの出鼻を少々くじく入りに。
しかしその時間帯をいなしてからは一転、アーセナルが予想通りポゼッションを行う。ここで特徴的だったのは今までの試合以上に見られたラヤの左CB化だった。
ラヤがバックラインに加わることで押し出されたガブリエルが左SB化、そうなるとライスの存在する中盤へジンチェンコがスムーズにコンバートすることが出来る。ラヤの足元の技術、ジンチェンコのゲームメイク能力、そしてガブリエル→ジェズスへの大外パスコースが可変によって生まれることに。ジェズスにはSBが付いてくるがあくまで後追い。背中で受ける状況が得意なジェズスにとってはそこまで苦ではなさそうに見えた。
この昨季4-3-3に更なる進化を施した新生可変スタイルをもってアーセナルは何度も敵陣に迫る。17分という比較的早い時間帯の先制点場面では、その可変により生まれたアーセナルから見て左サイドのズレから右へと展開し、プリアシストとなるウーデゴールの華麗なラインブレイクパスが生まれた。勿論ウーデゴールの卓越したスキルが最終的な得点の決め手となったが、そこに至るまでは緻密に計算されたビルドアップが存在していた。
更に44分にもエディが際どいPKを貰い、サカに譲られたウーデゴールの冷静なゴロ球ゴールにより複数得点でゲームを折り返す。ところどころ連携ミスから相手のカウンターを誘発する粗はあったが致命的な決定機に至る前に摘むことも出来ており、時間と共に固い展開に終始していった。
冷静で淡々とした支配、スミスロウの懸念
前半こそ少々目に付くミスがあったが、後半のアーセナルは試合巧者という表現がぴったりな強豪たるプレーを見せた。
この日のアーセナルがいつもと異なったのは、最小のエネルギーで最大のパフォーマンスを発揮する「コスパの良さ」だった。2-0とある程度余裕を持って迎えた後半。アーセナルにとっては決して無理をする必要が無く、いつものように保持の時間を確保しボーンマスが焦って前に出てくるのであれば空いた後方のスペースを活用して一刺しするだけ。プレッシャーの少ない後方でボールを回す事で時間対労力の効率を最適化させていた。
やってる事はシンプルだが、いつもフルパワー、120%で戦い抜くことはどんなに層の厚いチームであっても難しい。格下とはいえアウェイの地で時計の針を危なげなく進める強者の戦い方を一貫して遂行出来ていたことは、華やかさや派手さはないものの意味のある時間だった。後半にもう2点をしたたかに追加し、完勝と言える4-0勝利を収めた。
ただし1つだけ、スミスロウの得点感覚の鈍りに関しては頭を抱える結果になってしまった。81分というこれまた遅い交代(ここに関しては未だにアルテタの交代策に疑問点)で出場したスミスロウはエリア内で2度シュートを放つも決め切れず。枠外へ逸れていく姿に哀愁を感じずにはいられなかった。
前節のカラバオカップでスタメン出場した際には持ち前のパス&ゴーを駆使しまさしく潤滑油としての働きを見せた。その勢いのままにリーグでも同様に活躍を見せて欲しかったのだが今節は波に乗れず。後はもう決めるだけなのでどうか試合勘を取り戻して欲しい。グーナーとしてはどん底のチームを救った20-21シーズンのスミスロウ完全復活を待ち望んでしまうのだ。
ハヴァーツの初得点から見えるチーム状況
グーナー目線で今節のポイントを挙げるならばハヴァーツの初得点は外せないだろう。内外問わず疑問死されてきたハヴァーツの得点関与問題に関して、明るい兆しが見えてきたのでは無いだろうか。
試合は後半始まったばかりの53分。ウーデゴールのシュートフェイクにたまらずボーンマスの選手がスライディングをひっかけPKを献上。本来キッカーはサカだが、この時はハヴァーツへとボールが渡された。試合終了後にわかったことだが、これは得点に絡めず苦戦していたハヴァーツへキャプテンから復活のきっかけを掴んで欲しいという粋な計らいだった。
そしてそのPKを無事沈めたハヴァーツの元へアーセナルの選手達が後に続くように集まり、頭を叩いたりアウェイに駆けつけてくれたサポーターの方へ背中を押したりと祝福ムード。チーム一丸となってハヴァーツの初得点を喜ぶ姿には胸を大きく打たれた。
未だに無敗なのが分からない程に今季のスタートは上々の滑り出しとは言えなかったが、ハヴァーツを祝福するチームの姿からは良好な雰囲気を感じることが出来た。次節にはトレーニングに復帰したトーマスやトロサールなんかもラインナップに名を連ねるだろう。軌道に乗れなかった選手が活躍を見せ始め、怪我人も戻りつつある今のアーセナルはもっと強くなるに違いない。
ゲーム総評
CS+複数得点+ハヴァーツの今季初得点に加え、裏ではマンチェスターの両雄が少々予想外の敗北を喫しグーナーとしては最高の夜となった。
奮わなかったスミスロウのパフォーマンスとサカの疲労蓄積問題だけが気がかりだが、アウェイゲームにも関わらず完璧に近い結果を残すことが出来た。
次節は中2日でCLvsランス戦。ハヴァーツやスミスロウ、ネルソンと言った準レギュラークラスの選手たちがコンディションを更に高める絶好のチャンスだ。早い時間帯に勝負を決め、プレータイムを分散させるような立ち回りをアルテタには期待したい。
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