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【アーセナル】PremierLeague/第28節/vsCrystal Palace(H)【ごとこの備忘録】

試合前展望

 試合前松葉杖をつく姿が目撃された冨安と背中の筋肉系トラブルにより一部で数週間の離脱が報じられたサリバ。一時のCF不足危機が明けたと思ったら今度はバックラインが野戦病院化し始めており、先日のEL敗退と合わせこの試合に臨むアーセナルは不安材料が残る状態。

 だがそれはクリスタルパレスも同様。開幕当初こそ絶好調で数多くの難敵を倒してきたパレスを率いたヴィエラがついこの間解任されチーム状況はばたばた。解任ブーストの心配こそあれどパレスも現在慌ただしい事になっている。

 このように両者懸念点が残る中での試合。アーセナルは悲願のPL優勝を果たすためにも選手の離脱というピンチを乗り越えなんとか勝ってほしい。

試合結果

ARS 4-1 CRY
ARS:マルティネッリ 28'(Aサカ) サカ 43'(Aホワイト),74'(Aティアニー) ジャカ 55'(Aトロサール)
CRY:シュラップ 63'
PL公式,Arsenal公式MOTM:サカ
個人的MOTM:ホールティング

https://www.premierleague.com/match/75181

スターティングメンバー

左アーセナル、右クリスタルパレス

試合展開

 少し霧がかるエミレーツスタジアムで行われた今節。サリバ冨安不在に対してアルテタが出した答えはホールディング右CB×ホワイト右SB起用という一番の安定策であった。またトップはジェズスではなくトロサールがスタメン出場。最近のCFトロサールの好調さを考慮しての起用となった。

 試合は監督解任直後+アウェイという事でべた引きが予想されたパレスが思っていたよりも積極的な守備を行うところから始まる。アーセナルのバックラインを中心に選手達の自由をある程度制限するようにミドルサードまで順に人が飛び出してくるような恰好。またリトリートしてのコンパクトなブロックもハーフスペースランをケアしてのものと見受けられ、暫定監督ながらアーセナル対策の色が見えた。

 その対策は開始20分くらいまではそこそこ成功していた。現に10分頃のあわやラムズデールのOGというザハが生み出した決定機を筆頭に何度かゴール近くまで迫ってきていた。だが時間と共に徐々にアーセナルがパレスの守備戦略に対応し多角的な攻め手でゴールに迫り始めた。そして30分手前になると両者チャンスが訪れるイーブンな展開に。そこから先制点を獲得したのはアーセナルであった。

28' ホワイトからの楔を受けたサカがファーへクロス、受けたマルティネッリがエリア内で冷静にコントロールし逆足でゴール右隅へシュート、アーセナル先制

 パレスの対策がハマっているうちは耐えて打開策を探り、イーブンな展開に戻すと即座に先制点を叩き込み試合を有利に進めるまさに首位たる貫禄と実力を見せる一連の流れであった。

 そして追い風となるように前半のうちに追加点の獲得にも成功する。

43' クロスが流れたところを回収しサカが一度ホワイトへ預け、オフサイドポジションから受け直す動きを見せたサカがリターンを貰ってゴールへ、左足で冷静に流し込んでアーセナル2点目

 取るべき流れの中で複数得点をきちんと勝ち取れたこと、またその中でもゴール関与が欲しい選手たちにその機会と結果がもたらされたこと。ポジティブ要素が満載な前半戦の締めくくりとなった。

 そして後半。後半も前半の流れを踏襲する形でアーセナル側が優勢といった大局。パレスはザハら前線のタレントで大きく陣地回復するプランが試合序盤よりも機能せず守備により奔走する形から悪循環を招いていた。そこに間髪入れず3点目を叩き込むことに成功するアーセナル。

55' トロサールの降りる動きに連動し上がったジャカがジンチェンコの楔を高い位置で受けトロサールにレイオフ、そのまま飛び出しもう一度受けたジャカがGKの股を抜き流し込んでアーセナル3点目

 好調トロサールが牽引する流動的な攻撃にシーズン序盤に光ったジャカのハーフスペースランが組み合わさり素晴らしい連携から無慈悲な3点目を奪うことに成功する。

 だがこのままでは終われないパレスがセットプレーから1点を返す。

63' ホワイトジャカらコンビの熱い守備でコーナーに難を逃れるも、そのCKからシュラップが合わせクリスタルパレス1点目

 近頃セットプレーの守備に課題があるアーセナル。短いインターバルで試合が連続し対策を練る時間がなかっただろうが、今節もその課題により痛い目を見ることに。CS達成を逃したラムズデールが直後酷く怒っていたのも無理はない。

 得点直後にはジェズスに加えティアニーを投入。EL敗退に伴い更にプレータイムの縮小が懸念されたティアニーを試合の1/3が残った早い段階で投入する事を決めたアルテタ。そしてそんなティアニーが起点となり再度パレスを突き放す4点目がアーセナルにもたらされる。

74' ジェズスの展開からゴール前に送られたボールはカットされるも、こぼれに反応したティアニーが丁寧にマイナスのクロスを送り合わせたサカが叩き込んでアーセナル4点目

 最近はELですら出場機会に恵まれず来季の放出は免れないかと戦々恐々としているファンも多かった中で、ティアニーらしい迫力あるオーバーラップを何度も披露しトレードマークである鋭いクロスからアシストも記録。得点直後のサカがまずティアニーを労うように駆け付けたのが印象的だった。

 その後は83分にホワイト、マルティネッリに代わりスミスロウとジョルジーニョを、また86分にはガブリエルに代わりキヴィオルの投入に踏み切ったアルテタ。アトレティコ時代に見せたことがあるトーマスの右SB起用や、最終的に左からティアニー、キヴィオル、ホールディング、トーマスと珍しいバックライン総とっかえが行われたりと試合のトピックが尽きなかったアーセナル。3点差を守り切りそのまま試合をクローズさせることに成功した。

ピックアップ選手

ロブ・ホールディング

 G2の大活躍をしたサカがMOTMで文句は無いが、個人的には起用が不安視されていた中久々のリーグ戦スタメン出場から素晴らしいパフォーマンスをし健闘したホールディングにMOTMを送りたい。サリバの不在を感じない内容で回収率の高さとセーフティなプレーは勿論のこと、カードを貰わずにザハを抑え続けた。パス関係に加え対地/空のスタッツも軒並み高得点をたたき出し、隙のないプレーを見せた。

ブカヨ・サカ

 チームが4発大勝という結果で候補が沢山いる中、各所からのMOTM獲得も納得のこのヤングスターであった。先日市場価値がリーグ2位の€110mに到達したサカがその実績に恥じないG2を挙げリーグ戦G12A10を達成。10試合を残して16/17のサンチェス以来となるリーグ戦2桁ゴール&アシストを成し遂げアシストランキングも暫定2位につけるなどサカを称える記録がいくつも打ち立てたられた。

ベン・ホワイト

 マルティネッリやサカが主役ならばこの男もホールディングと同様影の主役だろう。先制点のきっかけとなるパスカットに始まり前傾守備から何度もチャンスを生み出したのは勿論のこと、それ以上に右サイドのユニット攻略にて旋回から押し出されるような見事なオーバーラップと的確に差し込み続けた楔の意識が光っていた。そこから2点目も演出し交代で下がるまで高いパフォーマンスを持続した。

全体雑感・次戦に向けて

 今節の勝利をもって、PL28試合で22勝とアーセナル歴代最多勝利数を達成し早くも昨季の勝利数に並んだ。加えてロンドンダービー9勝目はPL史上初の記録という事で快勝にふさわしい名誉ある記録をいくつも獲得。非常に誇らしい勝利となった。

 また試合内容としてもパレスの攻撃に守備陣が晒される機会は結局数えらえるほどで、こちらの攻撃陣が躍動し4発大勝を掲げる素晴らしい勝利を挙げ、清々しい気持ちで代表ウィークへと突入する事に。冨安はシーズンアウトの可能性こそあるものの、サリバは代表ウィークを生かしなんとか戻ってきてくれるのを願うとともに、他の選手たちも終盤戦前最後の休息で心身ともにコンディションをばっちり整えて欲しい。

 夢のPL優勝まで残り10試合を残し2位シティに消化数こそ1試合多いものの8pt差。全選手がフルパワーを発揮して最後の総力戦を乗り切り、悲願の栄光を掴むために1試合1試合を大切に戦って欲しい。

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