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【アーセナル】PremierLeague/第10節/vsLeedsUnited(A)【ごとこの備忘録】

LEE 0-1 ARS
ARS:サカ 35'

試合前展望

 退屈だと揶揄する声も多かった木曜日のヨーロッパリーグvsボデ/グリムト戦から早くもアーセナルが帰ってきた週末。サポーターとしては試合をコンスタントに見れる過密日程の最中で、前節とは見違える快勝にてそのもやもやを早く晴らしたいと心待ちにしている人も多いだろう。

 PL第9節にて脳震盪の疑いがあったジェズスが出場できるか、執筆時点での試合開始約8時間前ではまだ不透明な部分がありつつも、それならばと昨季終盤に覚醒を見せたエディを久々にスタートから見たいという声が結構数上がり、依然ポジティブな雰囲気が流れる現在のアーセナル。

 今季ここまでホームにて負け無しと、警戒するべき対象であるエランドロードのリーズから勝ち点3ptを持って帰りたい。

各選手の評価

GK アーロン・ラムズデール
 ごたついたCKを何とか掻き出したりと前半から仕事をしていたラムズデール。加えて後半はリーズ優勢な状況が続き、サリバのボールコントロールミスとバンフォードの裏抜け決定機のそれぞれにおいて作られた1vs1の局面を気合いの金的ストップで防いだり、PKの局面でシュートこそ外れたもののコースをきちんと読み切り枠内だったとしてもどうにかしてくれたっぽかったりと、ラム神が神たる所以を見せる獅子奮迅の活躍を見せた。公式&個人的MOTM。

LSB 冨安健洋
 リーズのプレスの構造上仕方ない部分もあったが、アーセナルに来て以来ワーストレベルの不安定さを見せてしまった。弱めのバックパスから危機を生みその後も不用意なロストが続いた。ただホワイト交代に伴ってRSBへ戦場を移した後も違和感なく試合に入り込めていたのは高評価。前節サラー対策に倣いアーロンソン対策という意味合いでティアニーを抑えてのLSB起用ということで、依然アルテタからの信頼は厚そうである。早くいつもの安定感溢れる冨安に戻ってほしい。

LCB ガブリエル・マガリャンイス
 ELでの休養明けの試合ということで、他のメンツが軒並み低調だったのに対しバックラインで一番の高パフォーマンスを見せた。逃げ切り狙いの試合終了間際にバンフォードとの小競り合いから赤紙&PK献上シーンで心臓が止まったが、VARにより理不尽な判定ということで覆され事なきを得た。闘志燃える熱い男なのは結構だが、ジャカと同じようなカードの貰い方はやめてほしいものである。

RCB ウィリアム・サリバ
 試合前半は自陣ゴール付近でも余裕あるいなし、アダムズの裏抜けも完全に阻止といつもの活躍っぷりを見せていたのだが、後半からは冨安と同様、一気にチーム全体がピンチになるミスを連発していた。極めつけにハンドからPKを献上、バンフォードが外したことで助かったがこの試合のサリバの印象はグーナーにとって良くなかったものである事は間違いないだろう。

RSB ベン・ホワイト
 いつも通りの精力的なオーバーラップに加え、リーズが明確に狩り場として定めていたSBポジションでも、サカへ一瞬ボールを渡し前進、リターンを受けて推進する形で脱出口となっていた。

DMF トーマス・パーティ
 ビルドアップの要としてハイプレスをものともせず、ボールを持ったCBの出し所を常に作り続ける活躍を見せた。後半に少しロストが多かったのが改善点。

LIH グラニト・ジャカ
 中盤から後ろが軒並み低評価となってしまった試合であったが、ジャカは通常運転の働きっぷりを見せたように思う。また、チャンス時には高い位置で居るべき所にて準備しているため、相手ボックス前にてパスコースとして最善手になっていた。

RIH マーティン・ウーデゴール
 リーズの守備陣形が整っていないカウンター発動時において、間を縫うサイドチェンジがいつも以上に効いていたように感じた。加えて華麗なドリブルでするする抜けていくオシャレさも要所要所にて披露し、攻撃面ではマルティネッリと並んで一番目立っていた。

LWG ガブリエル・マルティネッリ
 冨安にマークがべったり付かれても左サイドにてビルドアップに参加、配給を担っていた。またリーズの守備構造を理解しブロックを切り裂くような中へ突き進む前進を見せ、常にリーズにとって脅威になっていた。

RWG ブカヨ・サカ
 試合開始頭からストライクとの1vs1を制しCKを獲得するなど順調な滑り出しを見せ、その後ロドリゴのサイドチェンジミスからウーデゴールの絶妙なアシストを経て、かなり薄い角度からニアハイを打ち抜く強烈な先制点を記録。あまりに角度がなかった為打った瞬間ボールがネットの横ではなく内側に入ってることを確認して初めてゴールだとわかった。少し前まで昨季と比べ結果が出ないと嘆いていたファンも多かったが、PL直近7試合G4A4と、数字でない問題はどこへやらといった感じのサカである。

CF ガブリエル・ジェズス
 明確にゴールを脅かすシーンが少なくインパクトが薄めであったが、それでも雑なボールを収めてくれる優秀さを筆頭に持ち味を出せていた試合。後半は守備にも奔走しチームを助けていた。

試合展開

 まあまずは何といっても試合開始1分にて起きた機材トラブルだろう。キックオフ直後にエランドロードの部分的な停電により、審判団の扱うVARやゴールラインテクノロジーの機材が正常に作動しなくなり試合は一時中断、更に一度ドレッシングルームへと選手が戻るめったに見ることがない緊急事態に。結局キックオフから計40分経っての仕切り直しということでふわついた入りになることが懸念された。

 イレギュラーな出来事にて選手の精神/身体両面のケアが必要な両チームであったが、再開直後は予想通りホームの後押しにて気合いを入れ直したリーズがいち早くペースを掴み直し押す展開に。対してアーセナル側は引っ掛けが多発しうまく攻撃のテンポが掴めなかった。

 リーズはメリエから繋ぐ意識を頭から見せた。非保持時はいつもの442に少しテコ入れ、冨安がかなり中を取るポジショニングを見せたことで右SHが中央に寄る433守備のような形をもってアーセナルのビルドアップを阻害した。

 効果としては結構あったように思う。狭いパスコースを刺すこと自体はサリバ、ホワイト、トーマスらは得意としているが、それでもかなりタイトにプレスをかけ、高い位置で仕留めきれなくてもミドルプレスをもって攻撃を終わらせることにある程度成功していた。

 攻撃面では主にシニステラが2列目の核となって前進を担っていた。派手さこそないものの、堅実に運べるドリブルと配給の両輪でリーズの攻撃のタクトをふるっていた印象。また後半にはアーセナルRSBに対して裏抜け勝負を仕掛けるシーンも散見され、色んな形で脅威となっていた。

 ただ試合が落ち着いてきた開始20分あたりにはアーセナルのペースに。前述の3人が中心となってリーズのハイプレスを苦にせず突破し、アタッキングサードへとボールを運べるように。

 またアーセナルにとって最も効果的であったのが、ジェズス、ウーデゴール、ジャカらが低い位置に降りボールの引き取り手となる頻度が増えたこと。特にジェズス、ウーデゴールのワンタッチムーブは素晴らしく、リーズの選手3、4人引き付けての突破前進が可能となりその分他が楽になる活躍を見せた。ヴェンゲル時代を彷彿とさせる(筆者はハイライトでしか見た事がない…)パスアンドゴーの連続にて決定機創出、非常にファンを楽しませる試合前半の後半部分となった。

 そんな中ロドリゴのサイドチェンジミスからショートカウンター、結果的に決勝点となったサカの先制点に繋がった。

 ポジティブな前半の締めくくりとなったが、それと対照的に試合後半は立ち上がりから再三決定機を作られる、アーセナルにとっては非常に苦しい展開となった。

 特に途中出場のバンフォードはプレスのコース取りと受け手としての性能の高さでアーセナルのバックラインを脅かしていた。後半はずっとリーズの望む展開、トランジション合戦となり縦に早いサッカーが継続して行われていた。

 加えて選手評価でも触れた各人のミスにより、これが一過性の劣勢状況ではなくコンスタントにリーズのシュートチャンスは訪れ、結局は試合終了まで耐え忍ぶ試合となった。

 ただPKを外したことに代表されるバンフォードのチャンスを決めきれない不調さや、前述したラムズデールの大大大活躍によって救われるアーセナル。ヴィエイラエディの投入でカウンターの担保をしつつも、ロブティアニーの投入で80分頃に5バックへ変更、明確な逃げ切り志向へと舵を切り、無事にサカの得点を守り切っての辛勝という形となった。

全体の雑感

 間違いなく今季1番きつい試合となっただろう。あのスパーズ戦やリバプール戦を抑えてである。リーズは攻撃の手を緩めることなく常にゴールをどん欲に狙う姿勢を見せてきた。

 ただそんな中でもアーセナルにとって流れが来ていた時間は確実にあり、その時間の中で相手のミスからとは言え得点できたのは確実にチームが強くなっている証拠である。

 また逆にどんなに押される状況であっても失点をしない事、これも真の強豪にとっては大事なことでありここもアーセナルは実行できていた。これまたPK失敗といった運に左右された場面もあったが、そういった部分も含めての今季のアーセナルの勝負強さなのだ。

 順位表の上では、苦しい試合でも勝ち切った事&同日開催のシティvsリバプールにて復調ののろしを上げるようなリバプールの勝利のおかげで2位とは4ptでの首位キープである。

次戦に向けて

 次節は金曜日、ELにてPSVとの一戦。3試合消化で7ptの2位と、好調といえるPSV相手の試合は決して簡単なものではなさそうである。またGS1位突破に近づくためにもできれば勝利が欲しい。

 そうはいってもやはりある程度のターンオーバーはして欲しいところ。特に疲労がたまっている主力組である。今節はPL/EL両面で出ずっぱりだったガブリエルをきちんと休ませた結果良いパフォーマンスを見せたという事例がある。疲労は確実に選手の判断とプレーのミスを招く。ホワイトサリバらもそろそろ休息が必要だ。



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