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【アーセナル】PremierLeague/第22節/vsManchester City(H)【ごとこの備忘録】

試合前展望

 今季異例の快進撃で首位のままリーグ後半戦に突入したアーセナル。22節にてぶつかるのはここ数年優勝候補筆頭として君臨しているシティと一戦である。

 ペップアルテタの師弟対決に関してはもはや触れる必要が無いほど今まで語られてきた。それよりも今までと大きく異なるのはアーセナルの方が順位が上にいる状態での文字通り首位攻防戦という両者の置かれた状況である。

 シティがオイルマネーを手にしペップを招集してからのアーセナルはずっと辛酸を舐めさせられてきた。だが今節こそは王者相手に胸を借りる気持ちで、自分たちの強みを押し付け堂々と挑んでほしい。ライバルを直接叩いての首位保持という結果を期待したい。

試合結果

ARS 1-3 MCI
ARS:サカ 42'(PK)
MCI:デブライネ 24' グリーリッシュ 72'(Aギュンドアン) ハーランド 82'(Aデブライネ)

https://www.premierleague.com/match/75021

スターティングメンバー

左アーセナル、右シティ

試合展開

 アーセナルはトーマスが直前のトレーニングで筋肉系の違和感を感じ大事を取っての欠場ということでジョルジーニョが出場、また、最近コンディションが懸念視されていたホワイトに代わり昨年10月ぶりの先発を冨安がそれぞれ飾ることとなった。

 対するシティは試合前表記では3バックだったもののベルナルドが左SBのように振舞う4-1-4-1のような陣形。ただ試合中絶えず可変を行うシティにフォーメーション表記はあまり意味のないものだろう。

 試合は流石ホームのアーセナルといった攻勢を見せる。開始2分でジャカが良いシュートを放ち、前半10分時点でポゼッションが65%程とシティ相手に互角以上の戦いを見せた。

 これはトーマスに代わり出場したジョルジーニョの攻守にわたる遜色ない活躍も含め、今季続けてきたポゼッションサッカーとハイプレスからのショートカウンターを徹底してシティ相手にも出来たからだろう。熟成させてきたアルテタのプランA戦法が通用している間はどんな相手にも優勢を保つことが出来る。

 特に後者の戦い方はウーデゴールが主導の元サイド圧縮からロングボールを蹴らせ、空中で跳ね返しセカンドボールの回収・キープに尽力。ここに空中戦に強い冨安を起用したメリットが遺憾なく発揮されていたように思う。

 だが棚からぼた餅のようにゴールがシティにもたらされることに。しかもそれがここまで活躍していた冨安に起因してしまう悔しい失点となった。

24' 冨安のバックパス処理をミスしたところを逃さなかったデブライネがかっさらいダイレクトでロブ性のシュート、シティ先制

 ここまで良い流れを継続出来ていたアーセナルにとってはまさに痛恨。しかしエディ、冨安、サカ等様々な選手がそれぞれの関わり方でゴールに迫りシュートを放ち続け依然攻勢をかけるアーセナル。

 驚いたのが、アーセナルの強さに対してのリスペクトという事だろうが、前半の内から露骨な時間稼ぎをシティが行ってきたこと。ウォーカー、エデルソン、ベルナルドに早くもカードが提示された。そのくらい焦るほどカウンター攻撃にしか活路を見いだせておらず文字通りホームチームがゲームを支配していた。

 そしてその攻勢の中から(疑惑の判定であるが)獲得したPKでアーセナルが前半のうちに追いつくことに成功する。

42' ジャカのロブパスに抜け出したエディとエデルソンの接触によりPK獲得、サカが冷静に沈めアーセナル同点

 試合を振り出しに戻し、それでいて時間と共にどんどんアーセナルペースへと傾いていった。最早縦ポンしか出来ていなかったシティに追加点を取れたのではないか、そう感じさせるほどに攻撃の糸口を作らせず強者としての戦い方が行えた素晴らしい出来だった前半。単純なヒューマンエラーで引き起こされた失点ということで構造的な問題は無くまさにチームの地力で打ち勝つことが出来ていた。

 が、後半に入ると空気は一変。勿論逆転の匂いはプンプンしていたが、前半と打って変わって息を吹き返したかシティのプレスが徐々にハマるようになる。

 得点したものの存在感が薄かったデブライネはボールを持つ時間が増え、ハーランドはここまで抑え込まれていたサリバではなくガブリエル側に流れることである程度の自由を得た。ここで踏ん張りがきくため味方の波状攻撃を発動する時間を作ることができ、徐々に巻き返してきた。

 がアーセナルの決定機も継続して演出。まだアーセナル側に試合が傾いていおり、どちらに得点が生まれるのかという中またしても試合の均衡を打ち破ったのはシティだった。

72' ガブリエルの自陣パスミスからハーランド、ベルナルドと丁寧に横へ展開し上がってきたグリーリッシュの放ったシュートが冨安のディフレクトもありゴールへ、シティ再リード

 たまらずアーセナルはトロサールをガビに代わり投入。しかし追いつくことなく無情な3点目を決められることに。

82' はーらんどのごーる…….

 落胆。圧倒する時間は後半も多かったが、訪れるチャンスをしっかり決めきる力、王者として苦しい試合も勝ち点をもぎ取ってきた勝負強さのようなものを見せつけられた。その後特段良いシーンもなく終戦。結果として見れば3失点の惨敗だった。

ピックアップ選手

ウィリアム・サリバ

 負け試合であったがサリバのパフォーマンスは圧巻。前節こそトニーに苦戦していたが、特に後半ハーランドが明確にサリバサイドでのデュエルを避けるようになる程に対地/空両面でほぼ完封していた。また臆せず持ち運びの意識も高く、ファーストライン超えに大きく貢献していた。

ジョルジーニョ

 こちらも負け試合ながら大きなポジティブ要素。大一番でトーマス不在というピンチをその実力で杞憂に終わらせた。元々の武器である配給面では自陣に留まらずファイナルサードでもキーパスをいくつも通すことに成功。加えてネガトラ時には俊敏力というウィークポイントを上手く隠す良いポジショニングと読みの鋭さから前衛守備を成功させインターセプト、即座に攻撃へ転じる助けになっていた。

全体雑感・次戦に向けて

 体感的には試合の7割近くアーセナルがどうゴールを奪おうか探り、ビルドアップで前進し、選手達が関わり合ってブロックを攻略しようと主導権を握っていた。ただそれほど支配してても勝てない、勝てないのか…。

 確かにエディは決定機を3つほど外していたし、ジンチェンコは出し手となることが多いためブロック破壊に明確に貢献は出来ていなかった。また2失点に絡むことになってしまった冨安等選手たちにも改善点があったことも事実。逆にシティは押し込まれる時間でも大きなエラーを起こさずしぶとく粘りその時を待っていた。

 この試合をもってアーセナルは未消化試合が1節あるものの暫定で首位陥落。ここまで来てまだ「シティ相手に学ぶところが多い良い試合だった」などというのは正直もう飽き飽きである。それほど今季のアーセナルは順位に違わず強かった。だからこそ勝ちたかった試合だったのに、ずるずると得点を取られ負けてしまったショックはとてつもなく大きい。どうか選手達だけでも気持ちを切り替えまた目の前の一戦に臨んでくれることを望む。

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