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【不愉快極まりないゲームでPL初敗北】Arsenalマッチレビュー@PL第11節vsNewcastle(A)/23.11.5


試合前トピックス

・ヴィエイラ我が子誕生
・カラバオカップvsウェストハム、1-3で敗退
→スミスロウ数週間離脱


マッチレポート

試合結果

NEW 1-0 ARS
64' ゴードン(ジョエリントン)

https://www.premierleague.com

ハイライト映像

スターティングイレブン


試合トピックス

強度高いがっぷり四つのフィジカル勝負

 ウェストハム相手に不甲斐ない試合展開から3点を決められ、復調したキャプテンの1ゴールで一矢報いるも敗退を喫した先日のカラバオカップ。控え組の出場機会損失と、ウーデゴールが今節は再度フィットしていないということでトーマスら主力数人の離脱と合わせて雲行きの怪しい試合前の雰囲気であった。

 そんな今節は10月MOTMにも選ばれた絶好調の冨安が左SBの座をキープ。ウーデゴールに代わって右IHに入ったのはハヴァーツで、堅い展開を狙うべくライスとのIH同時起用となった。対するニューカッスルは怪我のボットマンに代わりCBにラッセルズが出場した。

 一挙手一投足に大盛況のセントジェームズパークに駆け付けたホームサポーターの声援を背に、まずはニューカッスルが立ち上がりの主導権を握る。

 自陣でギマランイスを介しボールを逃がし続けて保持するのは勿論のこと、シェアやバーンの居るニューカッスル左サイドからロングボールを対角方向へ適度に供給しプレスバックの間に合わないアルミロンへ預けサイドで剥がして前進を狙う戦い方を織り交ぜる。また、反対にゴードンサイドでは列落ちやレーンの移動といったポジショニング技術を土台としたショートパスの連続でホワイトやサリバに大外から仕掛ける動きを行ってきた。

 こうした左右で色合いの異なる振る舞いを見せてきたニューカッスルに対し、試合序盤こそ飲まれかけ対処に苦戦していたアーセナルだったが時間と共に適応。特にアーセナル左サイドのライス/冨安は、現在のエディハウ政権以前からの特徴であるフィジカル勝負に対しがっぷり四つで組み合い互角以上の競り合いを見せる。

 サリバは相変わらず落ち着き払ったいなしと地上戦を高水準で遂行し、ガブリエルやハヴァーツの守備意識の高さも素晴らしかった。ニューカッスルと対等以上にコンタクトが出来る現在のアーセナルからは、以前のテクニカルさと引き換えに少々貧弱だったアーセナルは想像も出来ない。ニューカッスルに傾いていた流れを、「潰し切る」という単純明快な解決策で堰き止めることに成功した所からアーセナルの新たな角度の強さを感じ取れた。

悪くない前半と不足したもう一つ先のアクション

 潰しの利く中央の防波堤が機能してきた開始15分あたりからアーセナル側にも攻撃のチャンスが増え始める。凄まじいスピード感で攻守が入れ替わる時間帯はロングカウンターを継続して発動させ陣形の整いきっていない敵陣へと何度か侵入しシュートアクションまで持っていくし、高い位置での奪取が成功するようになってからはお得意ショートカウンターも併用、圧倒的な個で中盤を蹂躙するライスが目を引く時間帯も長かった。

 前半終了間際にはインテンシティの高いファーストプレスを嫌ったか、互いにショートパスへのこだわりを捨て長い球の併用も開始。ここも安定感健在のサリバが何度も活躍しつつアーセナルの苦手なオープンな展開もばっちこいといった印象で乗り切っていたように思う。

 ただ大荒れだった前半終了間際でリセットがかかったか、後半立ち上がりは試合開始直後の焼き直しと言わんばかりに再度ホームチームが攻勢をかける展開。序盤に背中から落下し腰を痛めたバーンに代わり右SBへリヴラメント投入。これに合わせトリッピアーが左SBへ移動し敵選手間の配置換えによる攻撃方法の変化が起こった影響からか、ニューカッスルの攻撃に対し慣れる時間が必要だったのは選手には少々厄介だっただろう。

 極めつけだったのがゴードンの先制点。疑惑だらけの判定については後述するが、集中力の欠如によるセルフジャッジに端を発し、流れを再度はねのけていたところで関係ない角度から決められてしまったのが付き始めていた勢いを殺され痛かった。

 と書くと後半のアーセナル側にいい所なしという印象を受けるが決してそういう訳ではなく、押し込む展開からポゼッションで様子を伺ったり、使われる側の動きに尽力した冨安や交代に伴い左IHへ移動したハヴァーツの奥行きを狙うランニングが効果的で深い位置まで侵入し、右ファーへのクロスから仕留めきりたいと明確な狙いを見せていた。

 だがこれらは限られたシーンのみ。アーセナルにはゴールを決めきる前段階のアクションが様々な場所で不足していた。

 まず目についたのが大外へ預けてからの展開。両翼へボールが渡ってからは特にサカに常にダブルチェックが付いていたこともありエリア内へ侵入することが出来ずバックパス。大外からのパスコースが遮断されることでIHやトップも同時に封殺されることになり、折角ボールを持ってもキーパスに数えられるようなメッセージ性のあるパスは見られなかった。

 加えて脆弱なセットプレーも大きな課題だろう。昨季のアーセナルはCKからガブリエルらが何度も決めていたように思うが、今季はセットプレーから全くと言っていいほど可能性を感じない。今節もあっさりとニアで跳ね返されるかショートコーナーからちまちまと何本か繋いでからラインが整ったゴール前へ可能性の低いクロスを上げるだけ。こぼれからのミドルが精彩を欠いていたこともあり全くゴールの匂いがしなかった。

サウジ国家所有クラブに対する忖度の数々?

 ここまでアーセナルサイドの問題点に触れたが、この試合をシーズンでも1,2を争う胸糞試合に仕立て上げたのがニューカッスルのラフプレーの横行&判断基準ぶれぶれ審判団の誤審の連続であったことは試合を見た人ならば明白である。たった90分の試合なのに数え上げればキリがないが、まずはラフプレースタイルの不名誉な旗手となったギマランイスから。幼稚な精神年齢からか感情のコントロールを失うシーンが散見され、ジョルジーニョへの背後からのエルボーや危険なタックルで転倒、ヴィエイラへの顔面パンチ、ライスへの不必要な挑発行為から乱闘一歩手前etc…。彼の獲得が失敗に終わってよかったと心から思う程に思い出すだけではらわたが煮えくり返ってくる。

 またジョエリントンやウィルソンら他の選手も劣らず酷かった。ハヴァーツがイエローを貰った前半のタックルは確かに危険だったが足裏の接触などはなくイエローが妥当な判定。にも関わらず審判を〇してしまうんじゃないかと半ば本気で感じる程に憤りを見せるニューカッスル陣には、「それまでにこちらにしてきた暴力行為の数々があったからだろ…」と思わず悪態をつきたくなってしまう。ファールを受けた側のニューカッスルに抗議によるカードが3枚も提示されたのはもう愚かとしか言いようがない。

 サッカーとは別の部分で怪我をさせようなプレーを続け、ファールを取られても勝手にイラつかれ、挙句こちらからの接触にはそれまでの自分たちの振る舞いを棚に上げ激怒する様はまさしく子供そのもの。能力高く将来有望な選手がいることは認めるが、それらを自らかき消すような悪質極まりない態度とそれを正当化する雰囲気がある今のニューカッスルは、はっきり言ってプレミアリーグの恥である。

 そしてそんなニューカッスルに引けを取らない程酷かったのがレフェリング。もうレフェリングに文句を言うのも毎度のことなので疲れた。嫌だ。今節も例に漏れず判断基準ぶれぶれなジャッジと全く機能しないVAR。ニューカッスルの悪い意味での躍動を制御できなかったのは最早言うまでもないが、特に着目すべきはゴードンの先制点。①ウィロックのライン割った疑惑②ジョエリントンのプッシング③ゴードンのオフサイドと3つも評価対象があったのにもかかわらず、①はほぼ同じ条件下でユナイテッドがラインを割ったとゴールを取り消されていたのにもかかわらずオンサイド、②と③に関しては「どの瞬間を見ればいいか、カメラ角度が悪く見えなかった」等と後にほざく怠慢な判定を下しよく分からないまま認められることに。

 前述のジョルジーニョへの背後エルボーに至ってはライブ中継カメラにもしっかりと故意な暴力行為であることがわかるよう抜かれていたのにも関わらず、VARの発動もなければ、試合後発表した見解で「ギマランイスは自分の腕を武器として使っていない」などと発言。…???。もう意味が分からない。

 両者ともに挙げればきりがない、これまでのニューカッスルと審判団のルールを無視した凶悪で卑劣な邪魔を受けると、ニューカッスルを買収したサウジアラビアの国家ぐるみな買収行為を割と真剣に疑ってしまう。「グレーな判定も地力で黙らせてそれ以上の得点を取って勝てばいい」という意見は間違ってはいないが、ここまで健全なフットボールゲームを阻害されてしまうと勝てる試合も勝てない。普段は判定に一切見解を述べないアルテタが試合終了後珍しく怒りをあらわにしていたことからもこの試合が如何に異常だったか容易に想像できるだろう。ホームにとって様々な面で有利に働く謎の力がかかっていなかったことを今となっては切に願う。


ゲーム総評

 アーセナル側の不甲斐ないプレーと、ニューカッスルの理不尽な悪質プレーのオンパレード、審判団の規定ガン無視な判定。グーナー目線だと本当に疲れる試合だった。負け試合は次につながるように課題や改善点を見出す必要があるが、今節に関してはもうさっさと忘れて次に行きたい。思い出したくもない胸糞試合だった。

 これでプレミアでも今季初敗北を喫し、次節はチャンピオンズリーグへと戻りGS後半戦に突入。グループ首位のまま前節勝利を収めたセビージャ戦だ。カラバオの敗退でチーム全体の底上げの機会を失ってしまっている現在、CLGSも重要なプレータイム確保の時間である。選手たちは苦々しい今節からさっさと気持ちを切り替え、どこかのチームとは違いまた純粋に勝利を追い求めるサッカーに邁進してほしいと思う。あとライスはマジで150億でもバーゲンと思えるほどヤバかった。

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