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【アーセナル】PremierLeague/第7節/vsBrentford(A)【ごとこの備忘録】

はじめに

 前節のELGS1stlegではポジティブな結果を得られたものの、エリザベス女王の死去に伴い約10日ぶりとなったアーセナルの試合。試合前の怪我人情報としては元々判明していたエルネニー、ネルソン、ジンチェンコ、それと慢性的な股関節の痛みが成長痛だということで話題になっていたESRに加え攻守にわたり旗頭となっているキャプテンウーデゴールが欠場ということで簡単な試合にはならないであろうという見立てであった。昨季開幕3連敗を喫した内のアウェイブレントフォード戦を今季こそは勝利で締めくくりたいところ。

各選手の評価

GK アーロン・ラムズデール

・いい意味であまり目立たない試合となった。いつも通りショートパスで繋げる時は繋ぎ、相手CFがハイプレスをかけてきた時や中盤にマークがつかれ出しどころがない時には長短のフィードを使い分けサカorガビへと配給出来ていた。また後半に、スルーパスに反応したダムスゴーアの飛び出しに対しても苦手なニアゾーンでありながら見事な飛び出しの判断を見せ数少ないピンチシーンからチームを救った。

LSB キーラン・ティアニー

・チューリッヒ戦では中盤に組み込まれるシーンが多かったが、今節はトーマスの復帰に伴い少し頻度が減ったように思う。それでも従来の幅を取る動きやCHとしてパスを引き出す動き、時にCFの位置でポストを行ったりとジンチェンコとはまた一味違う偽LSBロールを見せた。前半には一つ目の役割によりダ・シルヴァらの注意を自分に引き付けフリーになったジャカへの戻しから2点目を演出し、後半には三つ目の役割により惜しくもラジャの好セーブに阻まれたサカのシュートに繋がる落としを行っていた。またボックス内でのクロス対応がいつも以上に光っていた印象だった。

LCB ガブリエル・マガリャンイス

・試合開始直後から持ち運びによるガビの決定機創出や相手ロングボールからの前進に対する阻止率の高さ、幾度ものスプリントによるディレイ守備などほとんどすべての局面において存在感を見せた試合であった。ただウォームアップ中から右膝を気にしており試合中にも倒れこむシーンが見られ、ディフェンスラインのリーダーとして奮闘していたガブリエルを欠くことになるのではないかと心配だったが無事90分間走り続けることが出来た。この安定感があるならば次節以降もCSは固いのではないだろうか。

RCB ウィリアム・サリバ

・ローン期間が長くアーセナル帰還を強く嘱望されていた選手なだけあって試合を追うごとにファンからの愛も強まっているように思う(今節は試合前からサリバのチャントが笑)。その期待にまたも応える試合内容で、CKから早くも今季自身2点目を記録。守備面でもガブリエルの対人戦に対しケアを怠らず、前節ラッシュフォードにしてやられた抜け出しの再現となったトニーのそれを見事な帰陣から刈り取ることに成功、持ち前のプレス耐性も遺憾なく発揮しチームを支えていた。ガブリエルと共に運べる・守れる・得点できるCBコンビを形成しており見事と言うほかない。

RSB ベン・ホワイト

・試合前に怪我が疑われ冨安のスタメン復帰かと思われたがこの試合も続投という形になった。サカ、それと今節はヴィエイラとのユニットを形成、ボールの循環に一役買っていた。また、試行回数自体はいつもより少なめだったものの時折見せるオーバーラップから中に差し込む鋭いグラウンダークロスの精度も良かった。

CH グラニト・ジャカ

・ウーデゴールの欠場に伴いキャプテンマークを巻いての久々のスタート。ユニフォームを投げ捨てファンとの亀裂が修復不可能に思われた約3年前からのバウンスバックとなった。プレー内容も見事で、ジェズスのヘディング弾を演出したシーンはキック精度の高さとボックス付近への駆け上がりという彼の得意なプレーを今季左IHで開花させたことを印象づけるシーンであった。また、機動力とスペース管理というジャカの苦手分野も同時に隠すことのできるタスクを課されておりここは流石アルテタというしかない。ただ、ドラマティックなバックボーンを背負い楽しげに躍動している姿に感動していたが、不要なキーパーチャージからイエローを貰うシーンがありそこまで含めてのジャカらしさに思わず笑ってしまった。

CH トーマス・パーティ

・PL延期の最大のメリットとなったのがトーマス不在の試合数の減少であった。そんなトーマスが怪我から回復、ボーンマス戦以来のスタメン復帰となった。怪我明けの影響か有効な楔を打ち込むシーンが少なかったものの、前進守備の判断が良く、また保持時におけるボールの隠し方が圧巻の上手さで、奪取されずに攻撃の継続が可能で相手ブロックを押し込み続けることが出来ていた。わかりやすい派手さはないものの、やはり試合にいるといないとでは試合運びの安定感がだいぶ変わるのでせめてPL30試合ほどは出場してほしいところ。

LWG ガブリエル・マルティネッリ

・ラム神のフィードを拾われても逆サイドまでプレスバック&再奪取につなげる献身力、ライン間で受けた後のターンの正確さとパワフルな運びが特に印象的な試合となった。また堅固なローブロックに対し、右サイドへ出かけていきオーバーロードから最終ラインの突破を図るシーンも散見された。G/Aは今節こそは記録しなかったものの、フィニッシャーとしての側面が強かった以前よりも多岐にわたる役割で様々な角度からゴールに迫るシーンは明らかに一段階上のレベルへと進化した証拠であり、首位を走るアーセナルのメインアタッカーであることはまず間違いないであろうという才能をまたも見せつけた。

CAM ファビオ・ヴィエイラ

・ウーデゴールの怪我に伴いPL初スタメンを飾った。特にポジトラ時にオシャレさを感じさせるパスをいくつも通す姿はまさしくファンが望んでいたシーンであった。守備面でも前プレの連動は悪くなく、コンタクト場面でも細身ながらもプレミアの強度に上手く付いていけてる感触だった。更に、「体の力は抜けリラックスできているが力がボールに伝わった良いシュート」という戸田和幸さん評のミドルが右ポストギリギリに当たるゴラッソで初スタメンながら初ゴールをマークした。このシュート意識の高さがウーデゴールよりも秀でている部分なのではないかと個人的に感じたのと同時に、ビハインド時の交代カードの少なさが問題点の近年のアーセナルにとって、強引に得点を取ることが期待できそうな選手であることが喜ばしい。また、試合後インタビューにて得点シーンをラッキーだと表現したのに対し、ガビが「いつも練習で取り組んでいるからラッキーだなんて言わないでほしいね」と代わりに反抗したシーンにはほっこりとした。

RWG ブカヨ・サカ

・前線4枚中、数字に残るインパクトが少ないと見られがちの最近のサカだが、この試合も実際にはサリバのヘディング弾とヴィエイラの3点目を共にアシストし爪痕を残せていた。他にも、カットインからのシュートをちらつかせることで守備者の意識を集めつつ逆サイドへの展開が非常に効いており、相手ブロックの揺さぶりを意識的に繰り返していた。そもそも昨季までのサカ(+ウーデゴール)頼りな攻撃が異常だっただけで、今季は左右どちらからでも満遍なく攻撃出来る手数を得たのがサカ依存からの脱却の良い証であるのではないだろうか。

CF ガブリエル・ジェズス

・今節はまず守備面での貢献に目がいった。前プレ時にはヴィエイラに指示を出しつつ旗頭となりコース限定を行い、ミドルサードを突破された局面でも自陣ボックス内まで戻り根気よくボールホルダーに付いていく献身性を見せた。勿論攻撃面での存在感も健在で、ジャカのロブパス直前から相手のマークを外すようなバックステップを始め気持ち後ろへ反れたボールにミートする体の使い方の上手さを見せつけた。体格で上回る相手に競り合いで勝てるように、体幹というか重心のずらし方がとても得意なのだろうなと感じさせた。

全体の雑感

 直近数試合を複数得点で終え、勢いに乗った難敵ブレントフォード相手にどこまでやれるか不安ではあったものの、終わってみればほぼ完璧に近い試合運びで前後半共に思い通りにコントロールできた試合なのではなかろうか。

試合展開

 ビーズの戦い方としては、最初こそハイプレス志向であったがバックライン中心に上手くいなすことが出来、諦めてから532でのリトリートしたブロック形成の頻度が試合を追うごとに増えていったように思う。また攻撃面では、主に左方向へのロングボールを多用し起点を作って前進する手はずであったように思うがここも潰しが良く効き、間に合わないシーンでもロブ性のクロスしか上げさせずしっかりと跳ね返すことが出来ていた。攻守両局面でやりたいことをやらせずアーセナルの選手たちは手ごたえを感じたのではないだろうか。
 途中出場組としてはトーマス温存の意味合いのサンビ、締めの冨安は言わずもがなのパフォーマンス。そして19歳マルキーニョス、15歳でベンチ入りしたと試合前から話題であったユース期待の星ヌワネリ君のPLデビューというポジティブなトピックもあった。PLの歴史上は勿論、欧州五大リーグでも最年少のデビューということで才能あふれる若手の更なる活躍を期待したい。中学三年生で名門アーセナルの試合に出場するってどんな気分なんだろう…。

さいごに

 何はともあれ7勝1敗で首位の座を依然キープすることに成功したアーセナル。いい流れのまま代表ウィークへと突入し、10月1日にはノースロンドンダービーが控えている。スパーズもアーセナル同様調子の良いチーム状況だからこそハイレベルなゲーム内容になることが期待できるし、そんな中で掴み取った勝利はきっと格別なものであるだろう。どうか代表戦で怪我人が出ずに、万全の状態で10月のPLを迎えたい。

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