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【アーセナル】PremierLeague/第12節/vsNottingham Forest(H)【ごとこの備忘録】

ARS 5-0 NOF
ARS:マルティネッリ 5'(サカ) ネルソン 49',52'(ジェズス) トーマス 57'(ネルソン) ウーデゴール 78'(ジェズス)

https://www.premierleague.com/match/75041

試合前展望

 前節ヨーロッパリーグでのPSV戦では、9戦無敗記録が途絶えるという悔しい結果となってしまった。

 そんな中PLにて戦うのは、昨季FA杯にて対戦した際に敗北を喫しノックアウトを食らってしまったノッティンガムフォレストである。彼らは主力のローン組が軒並み退団したのと引き換えに、資金の大量投入で今夏大型補強を敢行、前節はリバプール相手に大金星も上げている。

 対するアーセナルは、エルネニーのフルトレーニング復帰等吉報もあるが、ELで欠場したターナーが依然離脱中、ジンチェンコも結局ベンチ入りなしという芳しくない状況である。

 最近の不調に加え直近2戦勝ち無しという疲労が蓄積した結果生まれた嫌な流れを、久々に戻ってきたホームエミレーツにて断ち切りたいところ。

 不調とはいえPL、ELGS共に未だ1位をキープしている今。順位に響く前にここで勝つことがどれだけ大事なことか、選手達にはぜひとも復調のきっかけを掴んでほしい。

各選手の評価

GK アーロン・ラムズデール
 数少ないノッティンガムのチャンスもほとんど全てキャッチングで防ぐことで、ただピンチから救うだけでなく攻守の切り替えの早さにも一役買っていた。

LSB 冨安健洋
 最近は冨安の左SBが微妙で正直ティアニーが見たかったがその考えも90分後には変わっていた。交代でピッチを去るまで、トーマスと共に中盤に鎮座したり大外レーンでマルティネッリとジャカのサポートに徹したりと正確なプレーと適切なポジショニングに終始していた。

LCB ガブリエル・マガリャンイス
 ボックス内でサリバの到着と挟み込みを待つ落ち着いた良い守備に始まり、再度訪れたボックス内での1vs1という難しい状況にも簡単に体を投げ出さず粘り強い対応を見せ試合を通して活躍していた。ただ一点、奪い返したボールをリンガードへパスしてしまうという同点の危機となる痛恨のミスを犯してしまった。

RCB ウィリアム・サリバ
 ボール奪取した後、ラムに戻すという安牌な選択を簡単に取らず相手の裏をかく反転から攻撃開始の狼煙となるプレーが今日も光っていた。またリンガードの決定機をシュートブロックし、空中戦では相手の前に入る体の使い方の上手さを要所で見せるなど、空地問わず1vs1絶対勝つマンとして堂々と君臨していた。私の大好きなウィリアム・サリバがまさしくそこに居た。

RSB ベン・ホワイト
 一本パスミスからショートカウンター発動された場面があったもののそれ以外は完璧と言ってよいプレー内容。本職ではない右SBとして偽SBロール含め未だにボロを出さずスタメン出場できているのが改めてすごいと感じた。また、ガブリエルのミスから起こったノッティンガム側の一番の決定機をフラム戦を彷彿とさせる見事な体の投げ出しで阻止した場面は全世界のグーナーがホワイトに感謝しただろう。更に諸々の交代に伴って後半途中から久々にガブリエルとのCBコンビを形成後もハイレベルな安定感を見せていた。

DMF トーマス・パーティ
 前線のメンバーがスポットライトを浴びがちな試合であったがこの男こそ影のMOTMである事は試合を見た人ならば誰も異論はないだろう。トーマスへのマークがそこまでタイトで無かったこともあり、ノッティンガムのブロックに戸惑いをもたらす持ち上がりで揺さぶっては間を縫う鋭いキーパスを試合を通して迫力衰えることなく差し込み続けていた。更にNLDを彷彿とさせるとんでもないミドルを記録。シーズンベストゴールが早くも決まってしまったと感じてしまうような素晴らしいというしかない軌道のシュートだった。

LIH グラニト・ジャカ
 アーセナルでのPL200試合出場のメモリアルマッチとなった今節、その名誉にふさわしい働きを見せた。深い位置へ走りこんでのアシスト未遂やいやらしいポジショニングから左サイドのビルドアップを大幅に助ける恒例のムーブを披露し続けた。前半途中の足裏タックルをくらったサカジャカ同時離脱の危機には流石にヒヤリとした。

RIH マーティン・ウーデゴール
 右サイドはフィニッシュ成分強めな為組み立ての局面であまり存在感を発揮できないといった前半だった。しかし徐々に迫力を増していき、チームのパス回しのまさしく潤滑油という働きでパス&ムーブの立役者へと進化、密集地帯の突破はお手の物であった。かつ試合を完全に殺した5点目を記録、文句なしの我らがキャプテンである。

LWG ガブリエル・マルティネッリ/Arsenal公式MOTM
 木曜日のELではフル出場で疲労が心配であったが、このヤングスターにはやはり不要な懸念であった。加入当初一番の強みとして触れ込みがあったゴールへの嗅覚と走り込みを存分に生かした先制点を記録。その後もアウトにかけたオシャレなパスをジェズスに供給したりと、伸び伸びと、それでいて獰猛なスタンスでゴールを脅かし続けた。

RWG ブカヨ・サカ
 ノッティンガムの右SBロディの寄せが遅いこともあり、割とサカ劇場で攻撃面でチーム1脅威となっていたサカ。だが前半中頃にて負傷、その後もプレーするが左足首を痛めて倒れこむシーンがあったりとやはり厳しそうで27分に早々に交代してしまった。

CF ガブリエル・ジェズス/PremierLeague公式MOTM
 かなり低い位置までプレスバックを怠らず2回ほど深い位置まで入られたピンチからチームを救った。ただ何よりも、ゴールに近い良い位置から何本もシュートを打っているのに頑なに決められないシーンには頭を抱えた。特に後半の押せ押せムードの中でもジェズスだけは決定機をものに出来なかった。それでもアシストは2本記録するなどチャンスメイクでは未だ存在感を発揮しており、そこまでゴール欠乏症に悩むほどのことではないように思える。

RWG リース・ネルソン(27'~)/個人的MOTM
 この試合を表すならこの男ネルソン、リース・ネルソンである。27分にサカの怪我交代に伴って投入。直後はライン間での良い受けにCKこぼれからのノッティンガムのカウンターを発動阻止、押し込んだ際にはオシャレなヒールパスでブロック破壊を目指したりと良い感触であった。が、真骨頂は後半である。追加点を取れず試合を決められない最近のアーセナルの課題を克服する、貴重な2点目を一度は防がれるものの押し込んで記録、更にその直後ネルソン自身の良いキープから発動したロングカウンターから3点目を記録、更に更にトーマスの4点目もアシストで途中出場ながらG2A1の大活躍。主力の怪我という若手覚醒の典型的なチャンスをこれ以上ないほど活かしての大立ち回りであった。

試合展開

 試合はいつものように冨安がセンターでトーマスと共存しアーセナルがボールを持たせてもらえるという大方の予想通りの入り。

 対するノッティンガムは右IHがジャカ、左IHがウーデゴールを監視し最低限の前進阻害を行ったうえで、アンカーを余らせ気味のリトリートで迎撃する姿勢を取った。

 ただノッティンガム側が甘かったのはトーマスに対して強度高いプレスをかけなかったことである。アーセナルと対戦するチームはほとんどトーマス経由の前進をあれやこれやと色んな手段で防いでくるのだが彼らにはそこをどうにかしようとする意志があまり感じられなかった。そしてそれが試合を通して続き、結果として5発大勝を生み出したと言って過言ではない。

 5分、冨安が良い刈り取りをしたところからガビがサカへ展開、そのままボックスへ走りこみ、サカの巻く低弾道のパスへ頭で合わせたところからアーセナルは早々に先制する。最近の不調を払拭する良い入りであった。

 その後も先制点の起点となった左サイドではジャカ冨ガビ+降りてくるジェズスでの連携が光っており、左で作ってから前述したマークの甘いトーマス中心に右へ展開、ロディの寄せが甘いサカはドリブルで仕掛けたりウーデゴールやホワイトのランニングを使ったりと時間と幅広いプレーの選択肢を与えられ、多角的にゴールに迫り続けた。

 こうして終始アーセナルが支配することとなった前半。それでいて数少ないノッティンガムの半ば無理やりな縦ポンによる前進も冨安サリバ中心にシャットダウン。サカの負傷交代というアクシデントが27分にあったものの、38分時点では相手ボックス内タッチ数20対1という盤石の試合運びを行った。

 だがどうにも追加点が取れないアーセナル。最近の嫌な流れが頭をよぎり、後半のどこかでワンチャンスをものにされ同点に追いつかれてしまうのではないかという不穏な空気が漂った前半の締めであった。

 だがそんな空気も、サカに代わってサプライズ投入された男が変えたのである。49分、フリーでボールを持ったトーマスによる2列まるまる超えるジャカへのハイクオリティな配給からジェズスへ折り返し、上手くポストでクッションしたところからネルソンへと渡り、キックフェイントからシュートを放ち一度は防がれるもこぼれにきちんと反応し、欲しくて欲しくてたまらなかった追加点を決めた。

 更に驚くのはここからであった。その直後52分、再度ロングカウンター発動からウーデゴールとジェズスの良い連携で密集地帯を潜り抜け、一瞬生まれた綻びに再度走りこんできたリース・ネルソンが見事に合わせあっという間に3点目を記録。

 更に更に57分、トーマスの列飛ばしパスをネルソンが収め相手の目線を集めたところから折り返し、再度引き取ったトーマスがNLDの再現のようなスーパーミドルで4点目を叩き込んだ。

 もうこうなったら完全にホームで押せ押せムードのアーセナルである。勝ち越している時の伸び伸びとパスサッカーを繰り広げるアーセナルはどのチームにも止められない。4-0になっても攻撃の手を緩めることなく、多種多様な攻め手によるアタックを仕掛け続けた。

 加えてノッティンガム側が5バックへと切り替えたことも功を奏した。ゴール前の守備が分厚くなる代わりに後ろ重心になるという5バックの欠点を存分に突いたサッカーを展開、よりボールを持つ時間が増えた。そしてただ保持するだけでなく、肝心のフィニッシュへ至る導線もロングボール含め全てのパスが選手から選手へと繋がるようなフィーリングの良い共有を感じられるもので、5バックの壁を苦にせずゴールに迫れていた。

 その後も適宜主力組の温存、特にサリバの累積警告5枚目警戒の意味も込めた交代を行い、ポジティブな雰囲気の中控えにも自信をつけさせようとするアルテタの意向が汲み取れた。

 そうして78分、交代に伴って左に張ったネルソンからトーマスへ、スライドが間に合わない中ジェズスに付けポストを介して受けたウーデゴールが細かいタッチからネット左上隅へ突き刺す強烈な左足一閃で5点目。試合を完全に決定づけそのまま5発完勝の締めくくりとなった。

全体の雑感

 いやー、とにもかくにもまずはネルソンの活躍である。サカの負傷交代の際にはヴィエイラかマルキーニョスが大方の代役予想だっただろう。そんな中入ったネルソンが10分間にG2A1を記録するなど一体誰が予想できただろうか。若手の覚醒というグーナー垂涎の場面をリアルタイムで見ることが出来て感無量である。

 そんなネルソンの活躍もあり、低調っぷりが懸念されていた直近の流れを払い除ける見事な大量得点での勝利である。ケチャドバとはまさにこの事。

 そしてシティを再度追い抜いての首位キープとなった。先に行われたシティの勝利となった試合というプレッシャーにも臆せず勝ち切った若きアーセナルの胆力にも脱帽である。

 ただ、ゴールが一向に決まらないジェズス、それとEL開幕当初の輝きを放っていたヴィエイラがまたも上手く試合に入り込めない点が唯一気になった。それでも前者は得点以外(プレス、チャンスメイク等で今回もA2)での活躍は依然していること、また後者はプレミアでの出場時間が長いとは言えず、プレミアの強度にまだ完全に適応していないという明確な理由がわかるものである為、両名ともそこまで悲観するほどではないと思われる。

 エミレーツスタジアムでの通算勝利数300試合目をこのような清々しい快勝で記録することができ本当に良かった。私含めファンの皆様は試合後久々にぐっすりと眠れたことだろう。

次戦に向けて

 次節は木曜日に行われるELGS最終試合であるチューリッヒ戦(H)。グループ内で最もイージーな相手をホームに迎えるという格好だが、CL敗退組とのプレーオフを避ける為首位通過が必須であり、その為にはしっかりと勝つことが大事な決して軽視できない試合である。

 今節得たポジティブな雰囲気を再度ホームで演出し、控え組中心でも同じような気持ちの良い勝利を期待せずにはいられない。


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