【アーセナル】PremierLeague/第36節/vsBrighton and Hove Albion(H)【ごとこの備忘録】
試合前展望
前節は強敵ニューカッスルを相手に、少ないチャンスを仕留めきってハイレベルなインテンシティの勝負をものにし、優勝への望みをもう一度繋いだ勝利を収めた。残り3試合を明確な目標もなく戦うようなことにならず、大きな意味を持った試合だったといえるだろう。
さてそんな残り3試合の初戦であるブライトン戦。前回対戦時はアウェイでバタつく展開がありながらも4得点と爆発し、プレミアの曲者から勝ち点3ptをしっかりと持ち帰ることができた。
ただ今節の2チームを取り巻く状況は当時よりも少々異なるもの。ブライトンはデゼルビ監督のもとペースを落とすどころか更に調子を上げており、対するアーセナルは言わずもがな優勝目前で大きく失速してしまっている。
この状況に拍車をかけるようにして、試合前には突如としてジンチェンコのシーズンアウト情報が。代わりに入るであろうティアニーには今シーズン長らく左SBの地位に甘んじていた鬱憤を晴らすようなプレーを期待したい。またチーム全体としては、優勝or2位の可能性しかない今とにかく勝ち点を積み上げるべく全勝を目指して頑張ってほしいという気持ちしかない。燃え尽き症候群にならず、今シーズンを象徴するようなパフォーマンスを望む。
試合結果
スターティングメンバー
試合展開
試合前の予想通りアーセナルの左SBはティアニー。またここまで高パフォーマンスとピッチの統治を見せているジョルジーニョがトーマスに代わりスタメン出場を果たす。
対するブライトンはエンシソ左に三笘を右、カイセドを右SBに置くサプライズ起用を行ってきた。アーセナルの左WGに対して広い守備範囲と奪取力を誇るカイセドを当て守備面を担保しようとする狙いが感じられたが、三笘の右サイド起用は今まで見たことがなくどのような意図があったか正直よくわからなかった。
少々いつもと異なる陣容の両者は、その選出に乗っ取った試合展開からゲームを始める。アーセナルはティアニーが絞らずに開き従来の4バックスタイル。対するブライトンは低い位置までアーセナルの攻撃を耐えてから快速WGを筆頭にロングカウンターで一突きしようとする様相を呈していた。
結論から言うとこういった格好の前半戦は、アーセナル側の圧勝といってよい内容だった。立ち上がりからブライトンの保持局面に対しいつも以上に高い位置から奪いに行こうとするハイプレスを敢行し、ギルモア×グロスの2CHにはジョルジーニョとジャカが付くような形でウーデゴールが1列上がって、ブライトンの4-4-2ビルドアップを同数プレスで阻止。ブライトンはGKとCBのパス交換からマークを外し前進する出口を見つけようとしていたがほとんど失敗に終わり、マンマーク色の強い守備から何度もショートカウンターを発動させることに成功していた。
ただ一つアーセナルにとって痛かったのが前半20分のマルティネッリの負傷交代。直前の三笘への危険なタックルはグーナーの筆者から見ても擁護されるべきものではないが、カイセドの報復行為ともとれるタックルにより足首をあらぬ方向へ捻り、早い時間帯でピッチを後にしてしまうことになってしまった。代わりに古巣対戦トロサールを投入。ただ、強固なブロック攻略を一つ一つ手順を追い連携で崩していく展開ならばともかく、今季特に前半戦でアーセナルの武器となっていたハイプレス×速攻を行う展開であったがためにトロサールの特性をマルティネッリほど生かせるシーンがなく、左サイドが少し機能不全に陥っていたことは否めなかった。
またそれと同時にショートカウンターの締め方にも問題があった。前線のメンバーほぼ全員にシュートチャンスが転がり込んでいたが全員がものにすることが出来ず、敵陣内でのプレーこそ多いものの雑なシュートやロストで無下にし、自ら誘発させられていたブライトンのミスを咎めることが出来ていなかった。
こうして度重なる決定機を逃し続ける甘さを見せたアーセナルがスコアを動かすことなく前半が終了。後半こそは得点を、という締めくくりであった。
そんな後半。立ち上がりこそ前半を踏襲したような流れから継続してアーセナルが決定機を作り出せていたがここでも不発に終わる。不穏な空気が漂い始めていた。
そうこうしている内にブライトンの方に変化が。前半に比べGKとCBに加えて中盤がより近い位置でボール回しをサポートできる体制に入る。こうすることで低い位置のワンツーを演出しファーストプレスを無効化することに成功。更に少々間延びしたアーセナル陣内に位置取っていたスピード溢れるアタッカー陣へと最短でボールを預けることで、ゴールに迫る回数をどんどん増やしていった。
ブライトンが敵陣内でのタッチ数を増やし徐々に試合が均衡化されていく中、まさにこういった展開の中で抜け出したエストゥピニャンと三笘が左サイドを攻略。そして先制点を献上してしまう。
直前にスパイクが脱げるほどの接触を受けたキヴィオルがアピールもせずに蹲ったシーンはもう少しどうにかしてほしかったという背景がありつつも、アーセナルにとっては少ない失点の機会から降って湧いた事故のような先制パンチを食らうことになってしまった。
ここでホームの利を生かせず、逆襲の闘志むき出しで反撃出来なかったのがアーセナル。失点を喫しているのに死に物狂いで得点を取りに行こうとする気概があまり見えず、疲労からか、はたまた気持ちの面で切れてしまったかインテンシティを上げることなく今まで通りの試合運びに終始してしまった印象があった。
それからは60分にジャカとジョルジーニョに代えトーマスとネルソンを、77分にはジェズスとウーデゴールに代えエディとスミスロウを投入。ネルソンはまたしてもスパサブとして合格点といえるパフォーマンスを発揮したものの、トーマスやスミスロウは試合の流れを変えるような違いを見せられず。また、プレー/メンタルで主柱であり、一発で形成を変えられるミドルをも持っているウーデゴールを下げる判断は個人的にはあまり良い交代カードの切り方とは言えなかった。
対するブライトンはウェルベックを投入し前線の補強に取り掛かる。ここまで一人でファーガソンを抑え込めていたガブリエルに対し収まるウェルベックも追加で挑むことで、大きな負荷がかかってしまっていたことは明らかであった。
こうして交代を切りつつも明確な変化が見られず時間が推移。そんな、何としても優勝のチャンスを次節に繋ぎ続けるんだという意思が感じられないアーセナルに対して、ブライトンによる絶望の追加点が挙げられてしまう。
試合終了間際にダメ押しの失点を食らったアーセナルが逆転の兆しを見せることなく試合はそのままフェードアウト。正真正銘、優勝が絶望的となる敗戦を喫してしまった。
ピックアップ選手
なし。
全体雑感・次戦に向けて
試合終了直後の感想としては、チームから優勝に値する実力や気迫が見られずとにかく悔しいという一言に尽きる。今までの30試合近く継続してきた好調っぷりがどこかへ消えて行ってしまったのか、残念極まるパフォーマンスであった。
考えてみれば若き監督が率いる勢い溢れる若きチームが快進撃を続け、異例の成績を維持し続けるというここまでの嬉しいサプライズに正直舞い上がっていたところに直近の大失速。今節は前半得点のチャンスを仕留めきれなかったところから後半もっさりとした展開を自ら作り出し3失点を喫してしまう内容で、特に終盤は気持ち/体力両面でガス欠気味とチーム全体としての地力がやはりまだシーズンを通して行われる優勝争いのレベルに到達していなかったと感じざるを得なかった。正直今節のパフォーマンスでは2位フィニッシュすら上出来、そんな暗い内容であった。
こうして、他会場の結果も受けて1位シティに対し1試合消化数が多いながらも4pt差。アーセナルが残り2試合全勝でもシティが残り3試合をD1L2というような結果でもない限り逆転優勝は叶わず、本当の意味での優勝争い脱落となってしまった。せめて残り2試合は、絶好調だった今季の良い締めくくりとなる、そして来季への更なる希望を抱かせてくれるような快勝を挙げてほしいと願ってやまない。
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