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宝石の国11巻を買って読んでみた②

5.返照

金剛はフォスに逆らえないが、致命的な不具合があるためフォスのお願いでも祈ることができないと言う。つまり他の宝石たちが出来ないことをフォスはできるに近い存在だが、それでも完全ではないということ。もしかしたら致命的な不具合とは玫瑰(まいかい)ではないかと思います。もしそれが揃えばフォスの体は七宝と一致することとなります。

月に行った相方を心配するよりも元気でやってると思うと話す宝石たち。みんなポジティブな考えて驚きました。

金剛はフォスの体から欠けたラピスラズリの右目を大事に持っているシーン。やっぱり金剛にとって今のフォスは何か特別な存在なのではないかと思います。

宝石たちが金剛先生をコンちゃんと親しい呼び方をしてて、尊い存在から身近な存在へと心境が変わったからそう呼べるようになったのかなと思います。そしてシンシャも以前は宝石たちを傷つけたくないと孤独を選んでいましたが、今では一緒に過ごすことが出来て、流氷割りをする宝石たちの応援をするシンシャ。彼女の声援に宝石たちが受け入れ、それに対して嬉しそうな表情を浮かべていました。シンシャにしか出来ない価値ある仕事が見つかったように見えます。もし、もっと早くにシンシャがこうして宝石たちと溶け込んでいたらフォスも奮闘することはなかったのかな。でも彼女は好奇心旺盛なのでどの道月人と関わりは持ちそうです。

アンタークチサイトは金剛が宝石たちとは別の生命体だと知っていたらしいですが、他の宝石たちが冬眠している間に何かしらでその事実を知ったのかもしれません。


「気温が上昇している」

個人的に金剛のこの台詞に何かが引っ掛かります。これから間氷期に向かっている、ということになるのか。それともまた何か別の影響で上昇している、ということになるのか。どちらにしても気温が上がれば氷が解けて海水面が上昇していくことに違いはないでしょう。確かフォスがアンタークチサイトと流氷割りをしている際に、悍ましい声が聞こえると言っていたような気がします。もし氷が憎悪などのマイナス感情の塊だとしたら、氷が解けた時、その塊は蒸発してしまうのか、それとも海に交じり何かしら影響が出るのか。もし海と関わることとなればそこで住むアドミラビリス族にも影響がいくと考えられます。


「おまえさえいなければ」

これは宝石たちの本当の思いなのか、それともフォスが自身を攻めすぎた結果空想が生み出したものなのか。恐らく後者だとは思うのですが、アンタークチサイトの台詞が第八十話の三族にてフォスが金剛に向けて言った台詞と繋がっています。やはりこの台詞は金剛に向けた台詞ではなく、フォス自身に向けた台詞のような気がします。もし本当に金剛に対する台詞なら金剛を傷つけようとする仕草があってもおかしくないはず。

兎に角今のフォスには誰の声も届かない状態ですね。一体誰が殻に籠ったフォスフォフィライトを救うのでしょうか。

自分を責め、愛憎に塗れたフォスに対してどういった働きかけをすればいいのか、noteでとても良いお言葉を見つけましたので紹介しようと思います。

私自身HSPな上、どうしても自分を責めてしまうことがあります。みんなの視線が気になり自分は邪魔な存在だ、失敗した時もいなくなりたい、そう思うことがあります。フォスほどではありませんが、フォスの気持ちも分かります。自己受容ってそこまでたどり着くまでに簡単なことではないですが、フォスが自身に気づく日がくることを願っています。

6.前夜

「全ての宝石を砕きたい」

修復中なのに宝石たちを砕きたい思いが強すぎて払いのけるように合金が月人研究者たちを横に真っ二つ。元々は月を退治する側だったのが、今では仲間であった宝石たちを関係なく砕きたい一心。自分がこんなにも頑張っていたのに、宝石たちに静止され粉砕されたらそりゃ憎き存在ですよね。

そんな恐ろしいことを言うフォスに対して上から目線のカンゴーム。カンゴームの肝が据わっててすごいなって思いました。しかもフォスはカンゴームに対して怒りを抑えているように見えます。やはりエクメアのそばにいるカンゴームって特別な存在なのでしょうか。しかも全ての宝石とは地上にいる宝石たちで月にいる宝石たちはまた別なのでしょうか。

ダイヤは少し困惑はしているようには見えますが、フォスの怒りよりもイベントの方が大事みたい。そんなダイヤにフォスの呆れ顔。怒りで目の前が見えないかと思いましたが、まだこんな表情が出来るからちょっとホッとしました。でも”ボルツ”という言葉を引き合いに出しダイヤはボルツと決別することに。その共食い合戦を喜ぶフォス。

アレキサンドライトはクリソベリルを忘れたと言っています。地上で生活していた時にクリソベリルの事を忘れないためにあの日の出来事を忘れないために憎き月の事を研究していたはずが、今では月は悪ではないことを知り、自らの呪縛を説き自由に生活しています。そもそも失ったものをずっと引きずる時ってその本人が追い込まれている状況であって、周りから救われている時は案外その呪縛からは解放されているものです。勿論完全にクリソベリルを忘れたわけではないでしょう。クリソベリルからしたら、ずっと苦しんでいるアレキサンドライトに幸せになって欲しいと思っていたでしょう。もし、それが真逆だったらそれはそれでアレキサンドライトが可愛そうですが。それでも今まで自分を苦しめていた”クリソベリルの存在”から解放されたアレキサンドライトは幸せなのか、と問うと難しいです。クリソベリルの存在があったからこそ生きる証があったかもしれません。

アメシストは金剛が祈った時、宝石たちも無になることを知らないようですね。

いかにもフォスの機動力をコントロールしようとするエクメアの発言。そして立ち上がったフォスの首にはスタッズのような放射光と、頭の後ろには美しい葉の形をした光背が合金で象っていました。葉は美しいのに、それ以外の中身と表面はドロドロになったフォスは今後どうなってしまうのでしょうか。

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