第2回STEM座談会の報告
7月9日に行われた第2回のSTEM座談会の様子を報告させていただきます。
この座談会は乳幼児STEM保育研究会の研修部会(熊本 城山幼稚園の豊田先生、 長崎 みのりこども園の西村先生)を中心に企画されました。
STEM保育の活動についてや園におけるSTEM環境についての簡単な情報交換会というイメージの研修会になります。
どんな活動をしたらいいか、どんな環境を用意したらいいか、まだまだ多くの園さんで悩んでいることも多いかと思います。さまざまな園さんの実践を共有することで、STEM保育の考え方や活動のヒントになるのではないのでしょうか。
時系列ではありますが、簡単に研修会の様子をご報告させていただきます。
まず大分県の普照こども園さんから質問がありました。
普照こども園さん
「STEMの部屋を作りたいと思っています。新宿せいがさんでは、5歳児で実験を行っていると聞きました。そこで、子どもたちにどのように伝えましたか?また、年長の中でも発達に差があると思うのですが、どのような条件で参加していますか?」
ということで、各施設さんから共有がありました。
新宿せいが子ども園
「実験の時間は年長だけで行っていますが、STEMゾーンは3.4.5歳児が使っています。なので、ぐちゃぐちゃになることが全然あります」
「年長の実験は、週1回グループが週替わりで行っています。ですが、その中でも明らかに興味のない子もいます。そういった子はやれるところまででいいですし、途中でやめてもいいということにしています。きっかけを作ることは大切にしているが、それをやるかやらないかは子どもたちに任せています。ですが、興味を示すようなきっかけ作りはやはり大切にしていきたいことです」
城山幼稚園さん
「特別にSTEMの部屋を作っていたが、今年から室内にゾーンの一つとして移動させました。それに伴い、ルールを子どもたちが話し合い、年長28名を半分ずつ遊ぶように決めた。人数ボードなども導入しました。興味のある子がやるというスタンスにしている」
しんじゅくいるまこども園さん
「STEMゾーンを導入して2年が経ちました。ようやくゾーンに物が揃ってきたように思います。
実験の時間としては、午睡の時間に起きている年長児を対象にしている。
また「博士」という称号を子どもがゲットできる制度を作っている。博士の前段階では「助手」という称号がある。いろいろと博士がおり、博士になるには試験がある。試験の内容として、面接と実技。面接ではどうして博士になりたいのかを聞かれて、実技では、〇〇色の色水を作ってくださいというようなことを行っています。今後の展望としては、年長児全員博士にして卒園したいと考えています」
ここで、普照こども園さんから城山幼稚園さんへ質問がありました。
普照こども園さん
「城山さんと同じように、部屋からゾーンにしたのですが。どんなものを置いていますか?」
ここで、城山幼稚園さんから具体的な写真を見せていただきました。
次に、にのみや認定こども園さんから報告がありました。
にのみや認定こども園さん
「前回のSTEM座談会を踏まえて、新たにSTEM担当としてモジャ博士という実践を行いました」
動画を見せていただきました。
「メントスコーラの実験を行いました。コーラやメントスだけではなく、様々なジュース、お菓子でも実験しました」
新小金井さんよりにのみや認定こども園さんへ質問
「メントスなどの実験はおもしろうなのですが、その先にどういったことがあるのでしょうか?どれも大人主導で、この後、子どもたちはどんな話し合いや活動へつながったのでしょうか?」
にのみや認定こども園さん
「イマイチうまくいっていません。なので、環境設定を見直しているところです。きっかけの一つになれば」
新宿せいが子ども園 森口
「まずは、大人が科学やSTEMについて興味を持つことも大切です。そうすることで、いろいろと大人も興味が広がっていき、それが子どもたちにも伝わっていきます。そういう意味できっかけ作りは大切なのですね」
このようなやりとりをした後、最後に藤森代表から話をいただきました。
藤森代表より
・発達の特性という視点から
「子どもは経験をもとにして、働きかけ、新たな能力を獲得する。なので、様々な経験をしないといろいろな環境に働きかけることができない。そのためには先生がまずやってみせることも大切。そして、環境を用意することが大切」
「そのため、心情、意欲、態度という考え方が大切になる。心情という、おもしろい、不思議という気持ち。それがやってみたい、発見してみたいという意欲につながる。そして、それが態度に表れることで、発達していき、新たな能力を獲得する」
・表現力の視点から
かつての保育指針の表現についての発達過程に、「色、形、手触りなどの違いに気づく」とあった。気づいたことに感動し、自ら発見する喜びを感じ、自ら創造することを喜ぶことは「STEMを通して表現力の発達過程を経験できる」ということにつながる。
★藤森代表より今後の課題として、
最近新聞などでSTEMの特集が多く見られるようになってきた。その中でSTEM分野、理系分野の女性人口の少なさが課題として挙げられている。日本はその分野の女性人口を増やすことが課題になっている。
だからこそ、今後の活動として、女の子が好きそうなSTEMや実験などは何かを探って、実践していってほしい。
STEMに限らず、いろんなゾーンで男女の偏りがないような工夫が必要になる。ドイツではブロックにはキラキラした宝石のような物が埋め込まれ、様々な子が興味を持てる工夫がある。
最後に、理事の大村様(世界文化社代表取締役社長)より感想をいただき、STEM座談会は終了になりました。
参加者の方からは、STEMの取り組み、環境について参考になった。どうしても、STEMは敷居が高いものと思っていたが、身近なものからの興味を伸ばすことなんだと感じ、楽に、楽しく実践していける気持ちになったという感想がありました。
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