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または『きらきら(2)』 時々、脳みそが揺さぶられて目がチカチカするような不思議な感覚を思い出す。今、目にしているものに誘導されるように、それは思いがけず不意に湧き上がってくる。 ◇ 生まれた街。そこは港のある程々の大きさの街。途中にバス停がある坂道。眩しい午後の日差し。埃っぽいコンクリート道路の白さ。 バスの窓から身を乗り出すようにして手を振る母。泣きじゃくる幼い僕。僕を後ろから抱きかかえる叔母。従弟のコージが生まれる前のおばちゃんだった。 走り去り見え
初夏の晴れ渡ったある日、従弟のコージの家に行った。小学校中学年の頃だった。二つ年下のコージとは時々家を行き来して遊んだ。街の大通りに面して建っている雑貨屋がコージの家だ。脇に車一台がやっと通れるぐらいの小道が通っている。そこを少しまっすぐ行って坂道を登り切るとお寺があった。僕はそのお寺側から歩いて行った。坂の途中できらきらと光るものを道端に見つけた。それは二個のスーパーボールだった。 早速、二階の部屋で拾ってきたスーパーボールを思い切り投げてはキャッチするという他愛もな