【人流データ・活用事例インタビュー】ハウジング×人流の奥深い関係
こんにちは。
技研商事インターナショナルのマーケティング担当、平井です。
先日、当社の人流分析ツール「KDDI Location Analyzer」の導入事例インタビューにて、都市開発やまちづくり、大規模団地の再生などを手掛ける市浦ハウジング&プランニング様にお話を伺いました。
まず最初に、ハウジングとは。
『ハウジングとは、誰もが適切な住まい、
良好な環境に暮らせる社会を作る取り組み』を指します。
ハウジングというと、単に“おうちを作る”的なイメージを持たれる方も少なくないと思いますが、ここでは広域な意味で使っております。
市浦ハウジング&プランニング様は、昨年で創業70年を迎えられました。ハウジング分野のコンサルタントとしては老舗中の老舗企業で、一番歴史が古いのではないでしょうか。創業当初に手掛けたニュータウンを、数十年の時を超え今また再生するというようなこともあるそうで、なんとも壮大な話にくらくらしてしまいます。
また、導入ツ―ルとは関係ありませんが、直近では、団地再生の一環でメタバースとリアルを組み合わせた街のライブラリー空間も手掛けられたりと、新しい領域にも果敢に取り組まれながらハウジングを追求されている、そんなお客様です。(実際にメタバース上で本を借りるといったアクションもできるとのこと。特殊なイベントではなく、メタバース空間が暮らしの近くにある、もうそんな時代なんですね!)
さて、こちらの会社では都市構造を読み取るための現況分析に、KDDI Location Analyzerの人流データを活用されていますが、長期間に渡って人々が住み、行き交う、居心地のよい空間を作るというのは、本当に奥が深いんだなあと、しみじみ感じました。
今回、インタビューにお答えいただいたのは「取締役 (住宅事業技術部門総括 新領域未来ラボ総括)の荒井様」と「東京支店 都市計画・設計室の後藤様」のお二人です。そのインタビューの中身を、少しだけご紹介したいと思います。
〇 人流データ活用に興味があり、じっくり読みたい方はぜひ本編へ。
(https://www.giken.co.jp/case-study/ichiura/)
導入ツールについて
KDDI Location Analyzer(長いので、以下KLAと略します)という分析ツールは、知りたいエリアや主な道路にどんな人がどれだけいるか、または、特定のエリアや施設に来る人はどんな人で、どこから来るのかが把握できるようなツールです。1000%文系で、いまだに九九の七の段は途中で言いよどむレベルの私でもサクっと使えるシロモノです。
→サービスサイトはこちら
どんなところに人流を活用するの?
都市を読み解くには、今その街がどういう風に使われているのかをみっちり調べるそうなのですが、その際に“人流”はひとつの重要な要素となるようです。
例えば、どこに人が集まる拠点があり、どういう人の流れがあるのか、景観の軸はどこで、このエリアはどういう人々が住まわれており、どういう人たちが訪問している、といったように都市構造を読み解いていくようなのですが、確かに地図(地理的要素)や公的な統計データ(居住者やエリアの特性)に加え、人流(そこにいる人の動向)の把握も不可欠とのこと。
世の中に人流データのような便利なものが出てくる前は、パーソントリップ調査といって対象エリアの方々へのアンケート調査を取るか、道路でポチポチと何かを押している調査員の方に遭遇したこともあるかもしれませんが、交通量調査といって人力で調べたりと、時間やコストがかかっていました。が、KLAのようなツールがあると机上でパパっと調べられるわけです。
プロポーザル(事業を受注する前の提案段階)時でも気軽に調査できる
分析結果が分かりやすいビジュアルで出力され、そのまま提案資料に使える
性別や時間帯別、曜日別など、複数の属性に分けて、一歩踏み込んだ分析ができる
どんなロジックで人流データを算出しているか明確なので、対外的に納得のいく資料が作れる
というのが主なメリット。
私のように短絡的な人間だと、「ツールで全部できるじゃん、ラッキー」となるのですが、そこはさすがにプロフェッショナル。きちんと現地調査と机上の分析と、両輪で補完しながら活用されていらっしゃいました。
人流以外にも、実に多くのデータを参照しながら、人の目で見た感覚と、感覚を補完するデータと、データでしか見えなかった街の動線と、様々な分析のピースをつなぎ合わせて、どうやったら本当に街に貢献できるような再生や開発ができるのかを様々な方向から検討し、試行錯誤されています。
印象に残った活用エピソード
後藤様:
「以前、駅から商店街が伸びている鉄道の沿線3駅で、どのエリアの人達が、どの商店街を使っているのかを調べたことがあります。単純に距離だけで見れば、各駅から同心円で広げた所を使うという話になりますが、実際は真ん中の駅だけ突出して使われていることが分かりました。
地図上だけだと分かりませんが、主要な幹線道路にでるための高低差があったり、街区の中の道路が入り組んでいたりと、当たり前だと思うような単純な要素だけでは推測できないケースは少なくありません。KLAの主要動線分析と滞在者分析を組み合わせて使うことで、実際の人の動き、というか街の使われ方が浮き彫りになった例です。」
荒井様:
「図面や地図をみて、あるいは実際現地に行って感覚として得ていたような街の読み取りが、客観的なデータとして提供されるようになったことで、今まで見えていなかった動線が浮き上がってきたと感じます。
単純に人の動線というだけではなく、もっと都市スケールでみたときに、ここが都市の軸として機能しているというような感じで、人通りが多いだけでなく人の移動を支える軸として機能しているとなると、再生する際にも活かす方針になりますし、いままで注目されていなかったここに人が良くあつまり、居心地のいい通りになっているというようなことが分かれば、その通りを活かしていく方針になっていきます。そういう解釈ができるようになったことが大きいのではないでしょうか。」
“行き交う人流”と“滞留する人流”を組み合わせて、街の使われ方を読み解いたり、現実や感覚値とのギャップを人流データで埋めたりしつつ、よりリアルな解釈につなげていく。
他にも読み解くべきデータが数多あるなか、人流データひとつとってもこういう丁寧な分析を重ねられている。こういうプロフェッショナル集団の試行錯誤があって初めて、より良い住まい・社会が作られていくのだなと、肌で感じたインタビューでした。
〇他にも、様々なデータやシステムの活用事例をご紹介しています。
事例インタビューページはこちら:https://www.giken.co.jp/case-study/