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PTA「未加入世帯」をどう捉え、どう対応するか

 マスコミなどで、PTAが「PTA問題」=「社会問題」として取り上げられる機会が増えてきています。PTAが「PTA問題」として取り上げられるのは、そのほとんどは「強制加入」と「強制参加」の問題に整理することができます。(「強制のないPTA」とは?)そして、マスコミで取り上げられる時には、「そもそもPTAは入退会自由の団体」という説明が大前提として広く周知・認知されてきています。
 そのような中で、「PTAに入会しない」「PTAを退会したい」という保護者も年々増え、「非加入世帯」が増えるとともに、「非加入世帯」の児童生徒に対して「記念品を渡さない」「登校班に入れない」などの対応が、いわゆる「コサージュ問題」や「まんじゅうプロブレム」といった「PTA問題」として報道されることにもなっています。
 これまでのPTAは「自動入会」「全員加入」が当たり前で、その前提で運営が続いてきたため、PTAを運営する上で困惑している役員さんも多いようです。
 これからのPTAとして、「非加入世帯」をどう捉え、どう対応したらいいのでしょうか。

「入退会自由」は前提

 PTAは「入退会自由」の団体です。もし、これまで「自動入会」「全員加入」が当たり前だったとしても、これからは「入退会自由」を前提とした運営が必要になります。PTAは「入退会自由」の団体なので、入会しない保護者・教職員がいることも前提となります。

「非加入世帯」をどう捉えるといいのか

 これまでの「全員加入」を前提とすると、「入っていない」=「非加入」と捉えますが、これからの「入退会自由」を前提とすると、「入っていない」=「未加入」と捉えることになるでしょう。運営する側として、まだ加入していない人・これから加入してくれる可能性のある人と捉えることで、「どうしたら入ってもらえるだろう?」と、PTAの運営や活動の改善を考えるきっかけにもなるのではないでしょうか。

「未加入世帯」の「保護者」にどう対応するといいのか

 「未加入世帯」への対応は、保護者と児童・生徒を分けて考えることが必要です。
会員資格を持った上で「入会しない」という選択をする保護者に対しては、その意思を尊重することが必要です。その意思を尊重した上で、「入会されませんか?」とお誘いをする程度のスタンスでの対応が良いのではないでしょうか。
 ただし、ここで注意が必要なのは、PTAとしては「どの世帯が『未加入世帯』か」を把握することができない点です。PTAは、入会意思確認のもとで入会した会員の名簿を、適切な個人情報の取り扱いに基づいて作ることができますが、その名簿からは「未加入世帯」を把握することはできません。「未加入世帯」を把握するためには、「PTA会員名簿」と「全世帯名簿」との比較が必要ですが、「全世帯名簿」を学校から貰うことはできないため、比較をすることはできません。
 PTAは「誰が会員か」は把握できても「誰が会員ではないか」は把握できません。そのため、直接「未加入世帯」だけに「入会のお誘い」をしたり、「未加入の理由」を聞いたりはできません。
 PTAとして実際に「未加入世帯」の保護者に対してできることは、全世帯を対象に紙資料を配布し読んでもらうぐらいのことしかありません。
 このようなときに必要なのは、PTAの目的や活動を紹介する広報紙です。「未加入世帯」に広報誌を配布しないという対応をするところもあるようですが、広報誌の役割の一つには「入会のお誘い」もあると考えます。
 また、活動によっては「未加入世帯」の参加も可能なものがあるかもしれません。学校から依頼された「学校行事のお手伝い」を取りまとめる際などに全世帯に声をかけることもできるかもしれません。連絡方法や保険のことなども考慮した上で、参加のお誘いをする工夫もあってもいいのではないでしょうか。

「未加入世帯」の「児童・生徒」にどう対応するといいのか

 PTAは(基本的に)保護者と教職員による会員で構成される団体で、児童・生徒は会員ではありません。学校内で全ての児童・生徒は、保護者がPTAに加入しているかどうかに関わらず、平等な対応が必要です。
 PTAから児童・生徒に対して記念品や景品を贈る場合は、PTAという団体が、お祝いなどの気持ちとして贈るものであって、保護者・教職員それぞれが支払ったPTA会費から積み立てたものが還元される性質のものではありません。お祝いなどの気持ちをモノとして贈るのであれば、全ての児童・生徒に対して平等に贈りたいものです。「未加入世帯」からは実費徴収というのもPTAの趣旨からは外れることだと考えます。
 また、PTAが登校班の編成をしている場合も同様です。PTAという団体として、児童の登下校の安全を守る取り組みとしての登校班編成ですから、一部の児童をそこに入れないということは、一部の児童の安全を守らないということになってしまいます。
 保護者がPTAの会員であるかどうかによって、児童・生徒の対応を変え、子どもたちに嫌な思いをさせることは、子どもたちのために活動するPTAの価値を損なうことだと考えます。


PTA未加入世帯をどう捉え、どう対応をするか

 これからのPTAは「入退会自由」が前提になります。「入退会自由」が前提であれば入会しない保護者・教職員がいることも前提です。この前提のもとに、全ての児童・生徒のために活動することが、これからのPTAのあり方と考えます。

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