郵便局から見えてきた社会

昨日今日と郵便局に行っては、ムカついている。
「今回は目をつむるけど次回から気をつけて」といった、「大目に見る社会」が消えてしまったことに気づいた出来事だった。

昨日、台湾に送るカレンダーの発送準備をした。プチプチ封筒に入れて家のキッチンスケールで測ったら800gを少し超えた(800gを超えると900g料金が適用される)ので、中の緩衝材を減らして797gにして、郵便局へ持って行った。

郵便局の秤では、799gだった。局員のAさんに「封筒の両サイドのぷかぷかしている部分を留めたほうがいい」と言われた。Aさんは800gを超えないように、透明の薄いテープを持ってきて、ぷかぷかした部分だけを慎重に留めて再計量。「ちょうど800gです」と言われ、2人してニンマリ。

Bさんが料金スタンプシールを出そうとしていたので、「手持ちの切手を貼りたいんです」とわたし。外国に送る郵便物なので日本の切手を貼ってあげたいと思い(いや、もともとこの味気ない料金シールが好きじゃないのだ)、家にある切手を2,000円分ほど持参していた。

作業の手を止められたBさんは何も言わなかったけれど、「もうすぐ就業時間なのに面倒くさい客だなあ」という気配を漂わせていた。本当は送料分すべて(1,820円)を切手にしかったのだけど、閉店時間が迫っていたし、何だかばつの悪さを感じて840円分だけ切手を貼った。
10枚の切手シールを貼って手渡すと、Bさんがさらっと言った。
「切手を貼ったせいで0.5g重くなったので、900gの料金になります」
・・・・・・・「は? 0.5g??」

時計は5時をまわり、入口のカーテンが下げられ、いつの間にか客はわたしひとりになっていた。
「800gになるようにここまで努力したのに!」
ムカついたので、「じゃあ剥がします!」と応戦した。事情を知るAさんとCさんがやってきて、Cさんが「封筒の端を少し切れば800でいけると思います」とナイスな提案。
ハサミを借りて両サイドを2ミリずつ落として一件落着。でも心はざわざわ。

翌日、別の郵便局へ。
今度はクリックポストでの発送なので、すでに料金は支払い済み。サイズもクリアしているし何の問題もないはずだった。
ところが窓口にいたDさんに品物を手渡すと、バーコードをチェックしたあとサイズを測り、「横が2ミリ超えていますね」と言い残してEさんのところへ行き、何かこそこそ話している。
Eさんがやってきて「サイズがオーバーしているのでこの封筒では送れませんね」と言ってきた。
「はっ??」

一瞬、「100円ショップの封筒だから2ミリ大きかったのか」という疑惑が頭を過ぎったけれど、Dさんが測った位置に問題があると気がついた。
メジャーを借りてわたしが計測すると、ぴったり34cm。「封筒の端を測ってもらわないと」と、むっとするオバサン。
再びDさんが計測、34cmであることを確認して受け付けられたが、自身の誤りを認めることばはなかった。

2日続けて、2つの郵便局で嫌な思いをした。それも05gとか2ミリとか、些細な数字に振り回されて。

データ化とマニュアル化が進み、個人が融通を利かせることができなくなった社会。データに人が縛られ、大目に見ることは許されなくなった社会。すべてが規格化され、そっけも味気もない管理社会になってしまった。
そのうち人心が荒んで誠意とか人情なども消失して、ロボット人間がはびこるのでは?
オバサンは日本の未来を憂えている。

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