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入澤美時『考える人びと』(双葉社、2001)を読む

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一線で活躍する専門家たちに博覧強記の編集者・入澤美時が鋭く切り込む。 インタビュー集を読んでいきます。
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#加藤典洋

入澤美時『考えるひとびと』より ー加藤典洋・”今の私”で考える意味

文芸批評を行う加藤典洋は、”私利私欲”という言葉をキーワードに、今の私の地平から物事を考え出すことの重要性を主張します。 私は、文章を読むときに色々書き込みをします。知らない言葉には、脇にその意味を書き込みます。共感できる部分には丸をつけ、最重要だと思ったところには二重丸をつけます。そして自分とは合わない違和感を覚えるところには三角をつけます。実は今日のこの文章は、三角が非常に多かった。例えば次のような部分。 インタビュアーの入澤は、加藤に戦後の日本が背負っている罪や解決