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入澤美時『考える人びと』(双葉社、2001)を読む

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一線で活躍する専門家たちに博覧強記の編集者・入澤美時が鋭く切り込む。 インタビュー集を読んでいきます。
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#伊藤紘生

入澤美時『考えるひとびと』より ー伊沢紘生・”競争の裏側の論理”

白山をフィールドに、ニホンザルの調査・研究を行った伊沢紘生のインタビュー。 サルは社会的な動物であり、グループを作って生活し、そのグループにはボスがいて、そのボスを補佐する役割のサルがいて、そんな有力なサルの周りには、たくさんのメスザルがいてハーレムを作って、のようなイメージがありました。人間ととても類似した組織を構築するのがサルであり、むしろそれはサルの知能の高さを示す一つの指標でもある、という漠然とした思い込みがありました。 しかし伊沢さんは、これとは全く異なるサルの