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ビンディングの性能とは?(解放式 その1)

 さて、次は解放式の話です。前回固定式の性能について解説しましたが、解放式は少し複雑です。

 解放式はまず外れるという機能が必ずあります。これにはいくつものISO規格が定められ、一部のブーツを除いて一般的なブーツは全てこれらの規格によって作られています。
 特にブーツからちょっぴり出ているコバの部分。これはmm単位で形状が定められていて、それによって様々なメーカー、ブランドの解放式ビンディングとブーツの互換性が保たれ、安全に扱われるように出来ています。
※現在ではアルペン規格とグリップウォーク規格が主流となっています。これらの規格はそれぞれに適合するブーツとビンディング同士でないと正常に作動しません。またかつてスキーボード専用ブーツというのがありましたが、一応それらはアルペン規格になっていますが、厳密には適合に保証が無いものもあります

 解放式ビンディングですが、必ず二つの機能が作動するように出来ています。それはつま先側のトゥピースが横方向に外れる事と、かかと側のヒールピースが上方向に外れる事です。これはISOによって厳格に決まっており、解放値と呼ばれる数字はメーカーのほとんどで同じ動作が出来るように決まっています。例えば解放値3ならどのビンディングであっても、その解放値の数字で決まった力がかかった時にリリースされるように出来ています。
※ただし一部このISOの規格によらない独自規格のメーカー、ブランドがありますがほぼ同じと思って頂いてかまいません。

 つまり、同じ数字ならば基本のリリース性能に差はありません。よく「このメーカーは誤解放するから怖い」などの事が言われますが、ビンディングが壊れていたり適切に調整がされていない事が理由の本質で、誤解放というのは正常で調整が正しければしない事になっています。

 で、大事なのはこれ以外の解放機能がある場合です。多くのメーカーのトゥピースは上方向に解放しませんが、トゥピースが上方向にも解放するものがあります。またヒールピースが横方向に解放するものもあります。

 これらはそれぞれ独自のもので、そういったプラスアルファの機能が必要な方には選ぶポイントになります。ヒールピースが横方向に解放するビンディングはより膝を護りやすいと言われているので、強固な解放値が必要で膝を守りたい人は意識したい機能でしょう。ただしこうした機能を持つビンディングは比較的上位の、競技者向けのものが多く、スキーボードに用いるには逆にデメリットになりえます。特にグラトリを好むユーザーにはノーズマニュアルやペンプグラインド、クロスといったトリックで板が外れてしまいかねないので注意が必要です。

 しかしながら通常滑走のみを楽しむ方ならばこれらの機能はメリットになる場合があります。こららは使用する人それぞれで好みが異なるので、一様に性能として優劣を示すのはできないのです。

 解放式の性能として、軽さは大きな注目点です。スキーボードは足下の軽さを楽しむスキーとも言えるので、軽さはとても重要です。みなさんの中にも軽さにこだわって固定式を選んでいる方もいらっしゃるのでは?

 解放式の場合、一般的には解放値の小さいものほど軽くなります。というのは解放式ビンディングのなかには大きなバネが内蔵されていますが、このバネが解放値が小さいと軽く、大きいと重くなるからです。そして大きな解放値が必要なビンディングはそのバネを収めるために構造も強固になり、素材も樹脂より金属が多用されて重くなるからです。

 スキーボードで必要になる解放値はおおよそ3から9で、このビンディングは一般的なビンディングのなかでは普及クラスのグレードのものになります。重さは金属製の固定式より少し重いくらい、ものによっては固定式の方が重いものがあります。

 また、解放式ビンディングにはこの一般向けの他にフリースタイルスキー用のものと、競技者向けのものがあります。フリースタイルスキー用のものは同格の一般的なビンディングにくらべて軽く作られており、デザインも良いものが主流となっています。

 このフリースタイルスキー用のビンディングはスキーボード用としても非常に相性がよく、本格的に楽しみたい方には特にお勧めするものになります。値段も競技者向けよりも安いので選びやすいです。

 競技者向けのビンディングは重く、スキーボードで使うにはオーバースペックなものがほとんどです。高い解放値はスキーボードではあまり必要にならないので、選ぶ方もあまり居ないと思いますが、その重さや強固さが必要なユーザーには逆に唯一無二のスペックになるので、一般向けやフリースタイルスキー用で不安を覚えるならば選択肢に入るかもしれません。※ただ、値段も競技者向けだけあって凄く高いです。

 このように性能と言うよりも構造と種類の話になってしまいましたが、色々とその区別が見えてきたのでは?と思います。長くなるのでこの続きは次回にとなりますが、次回は実際の乗り味に影響する部分の解説をしたいと思います

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