解放式と固定式【スキーボードビンディング】

 昔からスキーボード、ファンスキーを楽しまれている方は、スキーボードには二種類のビンディングがあることをご存知でしょう。それは一般的なスキーと同じ解放式ビンディングと、スキーボード独特の昔から使われている固定式ビンディングの二種類です。

解放式ビンディング(アルペンビンディング)
固定式ビンディング

 どちらもメリット、デメリットがありますが、最近では解放式ビンディングが主流になってきています。

 解放式ビンディングはスキーボード独自の呼び方で、一般的にはアルペンビンディング、もしくは単純にビンディングと呼ばれます。スキーボードで特別に呼ばれているのは区別の為で、転倒したときなどにビンディングが自動的に解放されて板が外れ、怪我の程度を最大限軽減してくれるのがこのビンディングの最大のメリットです。
 履きやすく、脱ぎやすいのもいいですよね。

 固定式ビンディングは決まった呼び名はありませんが、簡易ビンディングとも呼ばれます。スキーボードがファンスキーと呼ばれていた時代はほぼすべての板が固定式で、解放式の板はかなり珍しい頃もあったくらい広まったビンディングです。利点は外れない事で、外れてしまうと出来ないトリックなどを可能にします。

 この固定式ビンディングは現在だとかなり手に入れにくいビンディングになっています。と言うのも、現在国内で生産がなく、新品の流通もほぼありません。手に入れるには限られた方法しかなく、念願の固定式ビンディングを手にいれるには運も必要になっています。
 さらに軽量なことでファンも多い樹脂製の固定式ビンディングは、生産から20年近く経過しているものも多く経年劣化が無視できない状態です。他の板から移植するのもこのような問題からあまり現実的でなく、GRとしては樹脂製、いわゆる「プラビン」の移植はおすすめしません。

 では、この2種のビンディングを使用者から見たメリット、デメリットで1点ずつ挙げて見ましょう。

解放式ビンディング>
 メリット=>扱いが楽
 デメリット=>正確な調整が必要
 解放式の最も良い点は扱いの面です。はめて踏むだけで履けて、リリースレバーを押し込めば簡単に外れます。屈んだり力をいれる必要もなく、固定式ビンディングに慣れた人ほどこの楽さは感じられるでしょう。またゴンドラリフトをメインにするゲレンデで滑る場合にこの点は非常にメリットが多く、スキーライフを快適にしてくれます。
 しかしデメリットとしてはその快適さと安全のために正確な調整が必要な点です。一般では簡単と言いにくく、調整の数値なども自身の使い方やレベル、体格で変わってくるため、定期的に調整を確認する必要があります。基本的には購入したお店に相談すれば調整を受けられますが、ネット通販や個人売買などで手に入れた場合は、この正確な調整が受けられないパターンもあるので注意が必要です。
 正確な調整ができていないと、事故や怪我の原因にもなります。解放式ビンディングの調整のことを考えると、信用できるお店での購入をお勧めします。

<固定式ビンディング>
 メリット=>制限がない
 デメリット=>外れない
 固定式ビンディングのメリットは、できることに制限がなくなることです。解放式ではやりにくいトリックも、外れないことで十分できます。乱暴な言い方にはなりますが、解放式でできて固定式で出来ないことはありません。逆に固定式でないとできないこと、やりにくいこともあり、その性能を限界まで引き出したいユーザーにとっては固定式はやはり選択肢に上がるでしょう。
 しかしこのメリットがデメリットにもなります。外れないということは怪我などの可能性が解放式に比べて非常に高くなってしまいます。事実、スキーボードが一時期消えそうになったのはこれが直接的な原因で、しかも簡単な転倒で酷い怪我になるケースもありました。転倒するときの経験や技術でこのデメリットはある程度回避できるとは言え、一般では解放式に比べて危険度が高いのは事実です。

 このように挙げた上での話、現実的にはどちらも優劣はありますが、敢えて申し上げると「中級者未満の方は解放式を使用する」ことをお勧めします。理由はやはり怪我のことで、固定式でないとできない技などの多くはほぼ上級者が行う技であったりするので、無理に最初から固定式を選ばず、自分のレベルややりたいことを見ながらのちの選択肢に含めていくのが良いと私は考えます。
 やっぱり怪我のリスクは無視できませんから。現在は新品価格としても差はなく、重さという部分も選べば違いがあるというほどの差はなくなっています。なので上にあげたメリットデメリットを見てそれぞれのスタイルや考え方で、個々が選んで楽しむのが一番ではないかと思います。

 最後に、固定式を使う場合は必ずリューシュコードをお使いくださいね!

<補足>
 解放式と固定式がどちらも選べる板は世界的にも珍しく、GRでは全ての板が解放式対応、インサートホール実装のモデルのみが固定式に対応しておりますが、他のメーカー、ブランドは対応、非対応が不明です。必ずどちらのビンディングに対応しているか販売店などで確認した上で、安全にビンディングを取り付けて下さい。特に取り付け構造が用意されていない板への解放式ビンディングの取り付けは、滑走中にビンディングが板から外れてしまうなどの事故が起こりえますので、解放式は必ず取り付け構造を有した板のみに取り付けを行うよう十分ご注意下さい。

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