コンベックス、コンケーブの補足

先日書かせて頂いた板の盛り上がりや凹み、コンベックスやコンケーブについて少しご質問などありましたので補足させて頂きます。

元記事については

https://note.com/grski/n/n9c2dbbc083bd

をご覧下さい。

フラット(滑走面が平ら)じゃない板は削ってフラットにしたほうがいいの?

メーカーごとに出来る、出来ないなど違いがあるので、まずは購入した販売店に相談して下さい。滑走面が薄いので無理にフラットにすると滑走面が部分的になくなってしまう可能性のあるものや、フラットにするとメーカーの意図した乗り味をそこねてしまう場合があります。
 乗ってみて操作性が悪い、不意にエッジを取られることが多いなどの場合はフラットが有効になる場合もありますが、その前にエッジのチェックとバリ取りを行って下さい。それで緩和したり良くなるのであれば、無理にフラットにしなくても構いません。

なぜフラットではないの?

スキーの板はおおまかに、中にポリウレタンという樹脂を噴入して膨らませるようにして作る方法と、木の板を芯材にして圧力をかけて作る方法があります。前者は樹脂コア、後者はウッドコアと大別できます。これらは制作過程で違いはありますが、どうしても材の膨張や収縮が伴うので、真っ平に成形するのが難しいのです。そしてその修正のために板を落ち着かせ、工程の最終段階で滑走面をエッジと共に削る事になります。(サンディング)
 サンディング加工である程度フラットにしますが、その程度はメーカーやモデルそれぞれで異なります。それが一般的には工業的に製品として十分な程度で仕上げられるため、完全なフラットまで処理することをあまりしません。
 仕上がりやハンドメイドを売りにするメーカーはこの仕上の過程でしっかりと行うため均一な仕上がりになります。ただしその分、価格は高価になります。

コンケーブソール(板の滑走面よりエッジの方が高さが高いもの)のメリット、デメリットは?

 まずメリットとしてはエッジが使いやすくなります。曲がる時、ターンする時に板がしっかり反応してくれて、エッジのズレも少なくなるのでレールに乗ったようなターンや、カービングターンがしやすくなります。
 デメリットはエッジが反応しやすくなるので、適切に仕上げられていないとエッジがひっかかり、不安定な板になります。特に今のスキーやスキーボードの形状であれば直進性を損ねてしまうので、そういった板はエッジ調整かフラット修正が必要になります。

コンベックスソール(板の滑走面よりエッジの方が高さが低いもの)のメリット、デメリットは?

 こちらのメリットはまず走破性能が高くなります。板がずらしやすくなるので違和感が少なく、逆エッジなどの怪我に繋がる急激な板の反応が少なくなり、比較的扱い易い板になります。
 デメリットはエッジが使いにくくなります。エッジをしっかり使う動きがしにくく、板がズレやすいので、仕上がりが悪いとエッジ感がなく怖い板になります。直進性も悪くなるので、この場合はエッジが適切に使える程度にフラット修正が必要になります。

購入後に希望すればコンベックスソールなどの加工も出来るんですか?

 加工としてはコンベックスソールは可能ですが、コンケーブソールは難しいです。ただしスキーの板は滑走を繰り返すと滑走面が徐々に削れて凹んでくるので、そういう意味では可能とも言えなくはありません。
 加工する場合はあまり一般的ではなく、手作業での調整も必要なので工賃は普通のチューン程度に収まりません。また板の滑走面の厚さにもよるので、出来ない場合の方が多いです。

フラットにする場合の注意すべきことは?

 必ずエッジチューンとセットで行って下さい。フラットだけの修正ではまともに滑れない板に仕上がってしまう事もあります。しかし適切なエッジチューンがされていれば、非常に操作性の良い仕上がりが期待できます。
 また、スキーボードではダリング処理も必要になります。エッジのグリップ感を損わないダリングも調整してもらいましょう。
 なお、元からフラットでない構造で調整されている板は出来ればフラット修正しない方が賢明ですが、もちろんその限りではありません。しかしそうした板を一度フラット修正してしまうと、元の乗り味に戻す事は出来ないので十分な検討と、先にエッジ調整で対応出来ないかを検討して下さい。
 そしてフラット修正は何度も出来るものではなく、行っても2、3回までとお考え下さい。物理的にエッジや滑走面を削るので、その分滑走面などは薄くなってしまいます。

フラットでない板のメンテナンス方法は?

 メーカーの調整による意図的なフラットでない板は、実際は極端に凹んでいたり盛り上がっていることはなく見た目には平らで、普通にワックスなど使うことができます。ただしスクレーパーでワックスを剥がす際に滑走面を削ってしまうことがあるので、余り力をかけずにワックスを削るか、リキッドワックスの使用をおすすめします。
 因みに薄めのスクレーパーは、少したわませて使うと使いやすかったりします。

 とりあえず寄せられたお問合せなどからお答えするとこのようでしょうか。もちろんこの他のご質問やご意見も喜んでお伺いしますので、宜しくお願い致します!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?