ウッドコアVS樹脂コア

 スキーやスキーボードの板には芯材と呼ばれる最も大事な構造があって、その素材に大きく二つ、ウッドコアと樹脂コアが使われます。
 この二つってしばらくスノースポーツを続けるといつか必ず気になる要素で、多くの方が「上等な板はウッドコア」と感じてらっしゃるので、自分の気に入っている板が樹脂コアと知ると、無意識に「ウッドコア欲しいなあ」となることがよくある話です。

 どちらが優れているんでしょ?

 結論から言うと、優劣は気にしない方が良いです。ウッドコアだから滑りやすくなるとは言えませんし、樹脂コアだから劣っているとも言えません。

 じゃ、なんで高性能をうたう板の多くがウッドコアを採用しているか?と言うと、ウッドコアの方が色々都合が良いからです。

 樹脂コアって低価格の板に多く使われているものですが、作り方が大量生産向きなのと、しっかりと性能を出そうと思って作るとウッドコアよりコストがかかる場合があるからです。

 この辺の細かい話はちょっと知識が必要なので割愛しますが、挟む素材の有無や違いで求める雰囲気の板を作りやすいウッドコアの方が、そのあたりの融通が利きにくい樹脂コアより大量生産向きです。ウッドコアは木なので木の材質を変えたり、組み合わせを工夫することが簡単。この利便性で優位なウッドコアは上級モデルの求める性能を求めやすく、芯材で足りないところを副材で補えばOK。同じ金型で素材を変えるだけでバリエーションも作りやすいのもウッドコアの魅力。
 樹脂コアは作りが簡単にもできるのでコスパ優先の板では頼もしく、均一な性能のものを作りやすい特性があります。この違いが価格に表現されて、低価格=樹脂コア、高価格=ウッドコアのような棲み分けになっている部分もあります。
 じゃ、樹脂コアは低性能なのか?と言うとそうでもなく、無理にウッドコアを選ぶよりも良い場合も結構あります。樹脂コアはヘタリにくい特徴があるので、長年使っていても使用感が変わらない良さがあります。しかしウッドコアは使い方によっては板がヘタリ、芯材しだいではあっという間にフニャフニャの板になってしまうことすらあります。

 またよく言われるのが板の振動。事実、ウッドコアの方が振動の収まりがよく、コントロールしやすいです。樹脂コアは元気な感じ、ウッドコアは落ち着いた感じとも表現されますが、スキーボードではどちらもあまり違いはないと考えます。それにこの部分は芯材に加えて造りの構造の違いやサイド材、副材の選び方も影響するので、一概に「こう違う」と言いにくい部分でもあるんですよ。

 また最近だとこの木と樹脂を二つを組み合わせた構造や、カーボンを芯材として作る板もあります。こうした板はいいとこ取りを目指した板で、ぶっちゃけとても高価な板になる場合がほとんどです。

 このように考えると「優劣」ってあんまりないんじゃないかな?と理解できます。値段の差が性能ではなく、そこで比べたらそれはただの財力の差になりますから、盲目的に「ウッドコアがいい!」と考えない方が板選びのバリエーションは多くなると思います。

 ちなみにGRのスキーボードでは要求する性能に一番良いと考える素材を選んでいます。なので終売にはなってしまいましたがこれまでGRのフラッグシップとして活躍したCrossは樹脂コアですし、Crossはその素材のメリットをうまく表現してスキーボードとしては飛び抜けた無類の滑走性能を与えることができました。

 今後、樹脂コアでもより技術革新が進んでさまざまな副材との組み合わせが簡単になれば、2000年代のスキーのように樹脂コアの方が高性能と言われる時代が来るかもしれません。事実、今は樹脂コアからさらに進化した複合コアやカーボンが注目されていますから、個人的には近い将来で新素材やカーボン+樹脂コアが高性能板の代名詞になるかも?なんて想像もしています。

 え?GRでもフルカーボン板を?って?・・・現在地点だと、気軽に購入を検討できるような価格でなく、とんでもない価格になってしまいますが・・・試作すらためらうほどの・・・w

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