ワックスの硬さ、柔らかさ

 今日も前回の続きです

ワックスと滑走面の密な関係|GR ski life @GRskilife #note https://note.com/grski/n/n98fe3979a241

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 ワックスには適正温度があり、その温度にあわせて使うのが一般的です。競技で使用しない限りこの温度は気温を目安にして、ワックスに書かれている温度帯に気温が適する硬さのワックスを選びます。

この場合は気温が0℃から10℃のゲレンデに適している事になります。

 でも、1日を通して気温は変化するし、一体いつの温度にあわせるべき?と悩みますが、簡単にはスキー場のサイトがリンクしている天気予報の気温に合わせれば大丈夫です。リンクが無ければ信用する天気予報の気温のとおりです。

 玄人になるとこれに晴れるから柔らかめにするとか、湿度が高くて雪が降りそうだからフッ素入りにするだとか考えますが、それらは全て経験による勘で、ボビーユーザーであればそこまで意識する必要はありません。
 …バッチリあったワックスで滑ると達成感と満足度が高いですけどね。

 それと地域特性といって、ゲレンデのある地域で雪の様子が異なるのでそこも考える場合があります。この情報の多くは使用するワックスメーカーでそれぞれオススメのものを案内している事が多いので、参考にすると良いかと思います。

 ここまでお話してワックスの硬さについて。ワックスは適正温度が高いほど柔らかく、低いほど硬くなっています。先ほどの黄色いワックスは爪で簡単に痕が付けれるくらい柔らかですが、硬いものになるとプラスチックの固まりのように硬いものもあります。
 なぜこのように硬さに差があるかと言うと、気温により滑走面の微細な隙間は開いたり閉じたりするからです。開くといってこれも目で見てとても判る変化ではありませんが、効果の上では大きな差になります。
 低温ではひび割れの開きは狭く、高温で開きます。滑りのためにワックスを塗っておいてもワックスが堅ければひび割れが開いて隙間ができ、効果はあまりきたいできなくなります。しかしワックスが柔らかいと低温の時に雪との接触で根こそぎ取られてしまうのでこれも効果が期待できなくなります。

 こうした現象に対応すべく、開きやすい高温では隙間を生じにくい柔らかいワックスになり、閉じて摩擦が増える低温は硬いワックスが使われるのです。

 イメージしにくかったら指でグミを摘まんでみて下さい。フニフニと柔らかいので落ちませんよね。しかしチョコレートは硬いので指の動きで落ちてしまいます。

 オールラウンド系のワックスはこの二つの中間の特性だったり、ブレンドしてどちらの効果も発揮できるように配合されています。昔のオールラウンド系はちょっと柔らかい程度のワックスだったので低温に不向きでしたが、今時のオールラウンド系はブレンドされていてけっこう使ってみて不満が無いものになってきています。

 さて、最後にアイロンの話。先におつたえすると、ポリエチレンはだいたい90℃で溶けます。
 え?ワックスは120℃とかで使えって指示されてますよね。これじゃ滑走面を溶かしちゃう!
 でも大丈夫、90℃にならないように動かし続けて使えば表面は90℃になりません。低温の硬いワックスは総じてアイロン温度が高いので、溶かしてポリエチレンのひび割れの隙間に吸わせるにはポリエチレンの溶ける温度以上に加熱したアイロンを使わないといけませんが、スーッと止めないで動かし、連続して加熱しないようにすればだいたい大丈夫です。
 コレを補助するのがアイロンペーパーで、直接滑走面とアイロンが触れない事で加熱のし過ぎを防いで失敗を軽減してくれます。アイロン自身が溶けたワックスを吸うのでやりやすくなり、ついでにゴミや汚れも溶けたワックスと共に吸い上げてくれます。

 そしてこれにも注意点があって、温度のとおりなんだけど溶けにくいな~という経験ありませんか?実はこれ、アイロンペーパーのせいでワックスが適正に加熱できなくなってしまっているからです。厚めのペーパーほど失敗しにくく使いやすいですが、少し溶けにくさを感じるなら5℃程度温度を上げて使うと良かったりします。※加熱し過ぎに注意!

 話としてはこんな所でしょうか?もっとディープな話もできますが、今回の話でもまだ半分も話をしていません。これ以上の話は難しすぎるので控えておきますが…そのうち話題に困ったら話させていただくかも?

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