右と左

 よくスキーなどの話をしていて、右は得意なんだけど左が苦手で~なんて話を聞きます。カッコいい滑りをする人はだいたい左右に得手不得手がない様子で、そんな風になりたいなーって気持ち、わかります。

 片足で滑る「ソロ(ワンフット)」があるスキボではこの左右に差もなく滑れれば…と感じることが多くあります。ですが苦手な方って、なかなか上達しません。

 これにはいくつかの要因があるのですが、大きな理由として目の左右差があるのでは?と私は考えています。

 試してみると感じられますが、利き目を覆って歩くとそれだけでなんとなく不安定になる感覚を得られます。利き目でない方を覆うと先ほどよりもあまり不安定さを感じることはありません。
 これが左右でほぼ差を感じなければ左右の得手不得手は少ないタイプだと思います。しかし極端な人ほど左右差はあるようです。

 実は目は鍛えにくい所の一つで、衰えが早いところの一つです。鍛えると言っても反復練習しかなく、その効果も相当長い期間繰り返さないとみにつきません。しかも利き目に左右差があるからと苦手な方の目を鍛えようとしても、ほぼ無理と思って貰っても良いくらいです。またプロスポーツ選手の引退理由に目の衰えがあるくらいスポーツと目は大事なのですが、速度のあるスポーツではそれが顕著なようです。

 案外知られていない話、視力とスポーツに必要な見る能力はちょっと異なります。これは動体視力と言いますが、動いているものを見る能力と単純に把握してください。視力は目のピントを合わせる能力で、いくら視力が良くても動体視力が弱いと特に球技などでは上達が難しかったりします。
 もちろんスキーにはこの動体視力は必要です。流れていく景色の中で瞬時に雪面を判断してコントロールするのですから、気が付かないうちに動体視力は必要とされているのです。

 さて話を戻して。そんな鍛えにくい目の左右差が身体の左右差に影響するとしてどうしたら解決できるか?それは「遠くを見ること」です。

 視力回復のために遠くを見ることは知られていますが、スキーなどのスポーツで左右差を解決するのに、遠くを見る意識は意外と有用です。先ほどの片目を覆う話ですが、これ、少し遠くを見るだけで結構感覚が近づいてくるのです。足元をみるほど不安定で、前を見るほど安定する。そんな感じです。

 苦手意識のある滑りやトリックを行うとき、多くの方が怖さなどの理由で自然に「足元」などの近くを見ます。それはポジションやバランスにも悪い影響を与えますが、目という部分でもデメリットがあります。そういった練習の時に少しだけ遠くを見る意識は、思ったよりもすんなりとできなかったことや怖かったことが出来るようになったり上達したりします。

 まあ、怖いですけどね。できないのに前を見るのは。そんな時に大事なのは無理に遠くを見ることや前を見る矯正ではなくて、そうしてみようという意識です。こういう話を頭に置いておくだけで、練習や習得の際の壁を超える方法の一つになったりします。左右に得手不得手を感じている方、こんなやり方もいかがですか?

 ちなみに今回の話のヒントは実はピアノだったりします。ピアノは左右で違ったことをして弾きますが、できない頃は一生懸命手元を見ていて、できるようになるために先生に指導されて前を向いて弾く練習をしたことを思い出したのです。その経験からいろいろ手繰ってみたらやがてこうした気付きに繋がりました。

 物事って、いろいろと繋がるものですね!

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