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フェイキーなの?スイッチなの?

 スキーボードにはさまざまなトリックがあり、その中でも人気のトリックがフェイキー。
 あれ?それってスイッチって言わない?今日はそんな話題。

後ろ向きに滑る

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 後ろ向きに滑る技術をスキーボードではフェイキーと言います。基礎スキーだとバックボーゲンとか、フリースタイルだとスイッチって言いますね。
 どれが正しい名前だよ?って思いますよね?

スイッチとフェイキーの違い

 こちらの動画が非常にわかりやすく解説されているので引用させていただきましたが、まずはこれをご覧下さい、スイッチとフェイキーの違いが判るかと思います。
 このなんでスキーボードなのにスケートボードの動画なの?と思うでしょうが、元々スキボのトリック名はこのスケートボード由来のものも多く、フェイキーやスイッチもスケートボード由来だからです。
 そして動画で良く確認して頂きたいのが足の乗せる位置。フェイキーはつまりバック滑走なのに対して、スイッチはスタンスの事で前後を切り替えたもの、特に板の本来の進行方向とトリックでの進行方向がフェイキーとスイッチで異なるのがわかるかと思います。動画だとちょうど後ろの足を乗せる場所に線が引いてあるボードを使ってらっしゃるので分かりやすいですよね。

元は後ろ向きに滑る=フェイキーだった

 この動画を見た後でスキボのフェイキー。ああ確かにフェイキーだと納得しますね。後ろ向きに板を進行させるのだからフェイキーです。
 つまり「後ろ向きに滑る=フェイキー」なんです。そしてそのフェイキー状態に変える為に存在したのが「スイッチ」で、「スイッチ」して板の進行方向を変え「フェイキーで滑る」とまあ、こんな流れになるわけです。

 じゃあなぜ「スイッチ=後ろ向き滑り」になったか?と言えば、今度はスノーボードが話に混ざってきます。

 スノーボードでもスイッチはあります。スイッチスタンスというのですが、本来レギュラースタンスの人がグーフィースタンスで滑るとスイッチスタンスになります。
 おいおい、なんのこっちゃ?となりますが、スノボのレギュラースタンスでは左足が前、進行方向になり、その足先の向きはやや進行方向向きになります。右足は板とだいたい垂直くらいな足の向きになるのが一般です。これをこのままの状態で左を前に滑るのではなく、右を前に滑るとスイッチスタンスになります。
 なおグーフィースタンスは右足が前になって進行方向に足先が向き、左足は垂直くらいに足先が向きます。そのまま右が進行方向になりますが、左に滑るとこれも「スイッチスタンス」になります。

 さあ、話がこんがらがってきましたね!

実際の所違いは「ない」?

 ややこしいはなしなので先に結論を言うと違いはありません。スイッチもフェイキーも一緒です。
 スノーボードではスイッチスタンスもフェイキーも同じ滑りになってしまうので区別があいまいになり、さらにフェイキーは後ろ向き滑走であるはずなのにスノーボードでは明確に後ろ向き滑走にも見えない=>スイッチでいいじゃん?そんな流れになっていたようです。特に最近のスノーボードは足先がハの字に開くダックスタンスが一般化したので前後の意味がさらにあいまいになったので、フェイキーという言い方自体がされなくなっていきました。
 そしてその文化がフリースキーにも伝わり、前後を入れ替えて滑る技=スイッチと言うようになったのです。フリースキーのトリックの多くはスノーボードの影響を受けているので、スノーボードで用いられていた言葉がそのまま使われるのは普通の事だったと思います。

 が、そんなフリースキーよりも少し昔からフリースキーな滑りで楽しんでいたスキーボードは、名前の入り口がスノーボードと同じスケートボードだったので後ろ向き滑りは初めからフェイキーであり、入れ替える動作をスイッチと言い分けていたのです。ただフリースキーで名前を知った方はスイッチ以外の名称を知らず、世間的にもスキボよりもフリースキーの方が一般化した中で「後ろ向き滑り=スイッチ」が一般化しただけなのです。

じゃあフェイキーって呼ばない方がいいの?

 そういった背景を踏まえて使い分けるのが良いかと思います。私は後ろ向きのままで滑るのはフェイキーと言い、一時的に前後を入れ替えるのはスイッチととらえ、背中に進行方向の意識があるのか、足の戦後が入れ替わっているだけなのか?を技のポイントとして滑ります。教える場合も滑るのはフェイキー、切り替えはスイッチと教えます。その中に「フリースキーではフェイキーではなくスイッチとも呼んでますよ」と言い添えるのは忘れません。フリースキーヤーでも切り替えと滑りを区別している方はフェイキーの呼び名を知らなくとも「スイッチランディング」などと言い分けてますし、「スイッチして」とか「スイッチから」などの言葉で、どういった状況から何をするのかも別にわかりにくくありません。特にフリースキーヤーと話をするときは「スイッチ」で話は通じますし、スキボダなら「フェイキー」と言い分けたほうが話はしやすいのですから、そんなおおざっぱな感じで認識すると良いかと思います。

 案外良くわかってなかった方多かったんじゃないですかね?フェイキーもスイッチ(ランディング)も後ろ向き滑り、切り替えはどちらもスイッチ。そんな感じで垣根を感じずにスタイリッシュに雪の上で楽しみましょう!

 あ、バックボーゲンは今回の話の中では全く関係ない言葉でしたが、これ、基礎スキーの世界で基礎スキーしか良く知らない方が使っている言葉なので、ただスイッチもフェイキーも言葉を知らないだけなんですよ。一応補足として…。


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