キャンバーとロッカー

 スキーボードでも採用される事が多くなってきたロッカー。あまり聞き慣れない言葉ですが、一時期マストトレンドとして技術革新を起こした新世代のスキー構造です。

 ロッカーを解説するにはキャンバーを説明しないといけません。キャンバーはスキー板が上面側に添っているのは皆さんもお気付きでしょうが、あの反りのコトをキャンバーと言います。キャンバーはスキー板にとってとても大切な構造で、板のグリップや安定感などに大きな影響を与えます。

 このキャンバーで大事なのが雪接点です。無加重状態でスキー板を置くとキャンバーによって前後の二カ所が面と触れている事になりますが、この点を雪接点と言います。

そして前後の雪接点の長さを有効雪接点長(EffectiveEdge)と呼ばれますが、これに大きく関係するのがロッカーの構造です。

 通常、雪接点と板の太いところは大体同じ位置になります。しかしロッカーはわざとそれを一致させずに手前にズラしています。
 ロッカー形状と称されるのはこのような雪接点がオフセットされている板の構造で、元々はバックカントリースキーで進化した構造でしたが、今では色々な板に構造が採用されています。かく言うGRのOverDoseやLovin'NEWにもマイクロロッカーとして採用されているんです。この二機種のマイクロロッカーは元来のロッカー形状の目的ではなく性能の幅を広げる為の構造ですが、ロッカーと言うアイデア無しには実現しなかった構造でしょうね。

 なので、今のロッカーと言う構造は必ずしもパウダーでの浮力確保などの性能のためのものではないのです。ここ重要。

 従来のイメージはこれ。しかしこの限りでないのが今のロッカーの考え方なのです。
 そしてロッカーについて盲点になっているのが、ロッカー形状は板の長さの通りでなく、場合によっては板の長さを犠牲にしている事もあるのです。と言うのもロッカー形状にするとその分の有効雪接点長が短くなります。これにより大きな長板などでは操作感を向上させたりもしていますが、短いスキーボードでは大問題!なので、なかなか思いきったロッカー形状のスキーボードが登場しないのはこういう理由もあるのです。

 OverSize(OverDoseの前のモデル)の設計は苦労したなぁ。

 ロッカー形状はまだまだ進化していくと思われます。浮力確保の為だけでないロッカー形状の新しい世界は、皆さんにもスキーとして新しい世界を見せてくれるかもしれませんね!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?