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板の幅

 スキーボードっていろんな種類がありますが、その見た目の違いとして最もわかりやすいのが「幅」です。
 長さに制限のあるスキーボードで特徴をつけるには幅が最も簡単なのですが、スキーボードにおいて「幅」ってなんなのでしょう?

 試してもらうとわかりやすいのですが、何か細長いもの、足の幅より細い椅子の足程度の太めの角材などで構いませんが、それを前後方向に置いてその上に「靴」を履いて立ってみて下さい。
※転倒する事があるので丸い棒などは使わない方が良いです。

 どうです?バランスが取りにくいでしょ?これが細くなるほどバランスがとりにくく、両足でないと立ちにくくなります。究極的にはスケートになりますが、ともすれば片足で立つことすら難しく感じられます。

 逆に足の幅よりも太いもの。厚手の雑誌や箱の上に立つと全く不安定に感じることはないと思います。

 この足の幅というのがポイントで、足の幅より太いか細いかで、バランスのとりやすさは大きく変化します。

スキーで楽に滑るには「不安定さ」が必要

 なに言ってんの?と思うかもですが、スキーのようなスポーツで安定性と言うのはコントロール性能にデメリットになります。スキーで曲がる、止まるの為には板を傾けなければなりません。※専門用語で「角付け」と言います
 ただしこの角付け、安定するほどに傾けるのが簡単でなくなります。先程の体験で細いほど傾けやすいのは感じていると思いますが、不安定さだから少しの身体のコントロールで角付けを行い、結果的にスキーやスキーボードをコントロールする事が可能になります。
 逆に足元が安定してしまうと角付けが大変になります。意識して角付けするような動き、体重移動が必要になるので、この技術が不完全な方だと足幅より太い板はコントロールしにくい板になってしまいます。

 もちろんこのような太い板であっても技術で角付けさせて細い板のように使うことも出来ますが、その労力は細い板の何倍ものものになります。

 初級者用や子供に太い板があまりないのは、技術的にも脚力的にもコントロールできる現実的な太さに留めていると言う側面があります。まぁもっと単純にはそう言った方々が楽に滑れる太さにしているだけですが。

幅のメリット?

 幅が広いほど安定すると言うのがここまではデメリットのようでしたが、もちろんメリットもあります。不安定なシチュエーションで安定させやすいのです。
 例えば荒れた斜面。細いスキーボードではその凸凹に終始足を取られる事になりますが、太いと安定性が増すので楽になります。そして「浮力」を得やすいので、新雪などで滑りやすく埋まりにくくなります。
 そしてパークで滑る場合、特にジブと言う構造物の上を滑る時にこの安定性は非常に大きく効果が出ます。細いとジブでエッジが取られやすいですが、太いだけでそのリスクがかなり軽減されます。

 つまり、少し特殊な事をする方々には幅は大きな武器になるのです。

スキーボードでの幅とは?

 スキーボードは構造上角付けによるエッジの効きがかなり強く、ともすれば滑りにくく感じるほどです。
 そこで幅を広くする事で短いがゆえに失った安定性を確保し、更に角付けしにくくする事で効き過ぎるエッジの効きをマイルドになるように味付けされています。昔のスキーボードではこの点の気付きがあまりなかったので細いものも多くありましたが、結局自然淘汰された形でスキーボードに適した太さが85mm~95mmで見つかったのでは?と推測しています。

 この85mm~95mmは具体的にはブーツの幅で、これより太いかどうかで使い勝手が随分と変わってきます。海外のスキーボードではこれよりも太いものもありますし、GRではOverDoseなどが太いものになります。OverDoseでは滑りのフィールドを広げるために太く設計していますし、海外などのものはパウダーなどのシチュエーションでの滑りを意識して幅広くしているものがありますね。

 このように幅というのも、着眼点を変えると見えてくる様々な特徴がみえてきます。自分の好みのフィールドにあわせたスキーボードに出会う為にも、「幅」について知っておくと板選びが楽しくなりますよ!

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