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例えばうまくなったらビンディングの調整をしましょう(解放式ビンディング)

 今年GRからスキーボードデビューされた方も多いのではないでしょうか?ほとんどの場合で解放式ビンディングをご用意させて頂いておりますが、解放式ビンディングはうまくなったら調整が必要って、ご存知ですか?

状態にあった調整が必要

 スキボ界では解放式と呼ばれている一般名称「アルペンビンディング」は、以前お伝えした通りISOの厳密な規格によってその性能が保証されています。
 解放式は前側のトゥピース、後ろ側のヒールピースそれぞれに意味の異なった機能があり、これが適切に調整されていることで本来の性能を十全に発揮することが出来ています。

 前側のトゥピースは横方向の力に対して外れるようになっています。これにより板が引っかかるなどの事があった場合、可能な限り安全に板が外れて怪我の程度を軽くしてくれます。一部のメーカーでは上方向にも外れる仕組みを独自に持つものもありますが、ISOの準じたアルペンビンディングはこのようになっています。
 この調整はブーツの大きさにかなり左右されるもので、一般にブーツが小さいほどその数値は高く設定されます。しかし外れる際の力に対しての解放する機能は解放値が異なっていても、適切な調整がされていれば同じぐらいの受けた力の大きさに対して外れます。詳しい話は物理的な話題となるので割愛しますが、「解放値が高い」からといって「外れない」と言うのは実はあまり正しい認識ではないのです。

 後ろ側のヒールピースは前側と違って上方向に外れるようになっています。これも一部メーカーのものは横方向に外れる仕組みを持つものもありますが、必ず上方向に外れます。ヒールピースは板の脱ぎ履きのしやすさにもつながる部分なので、適切に調整されている方が扱いは楽になります。

 この解放値。基本的には「身長」「体重」「年齢」「スキーレベル」「ソールサイズ(ブーツの大きさ)」の5項目によって算出され、調整されます。そしてこれらがもし変化したら、その都度解放値を再算出する必要があるのです。

体格が変わったら?

 身長が大きく変わるのは成長期の子供でしょう。調整としてはだいたい8cm変わると数値が変化します。※ちなみに私は高校の時に一年に15cmも成長しました
 大人の場合8cmも変化することはそうはないと思いますが、体重も大きく関わります。おおよそ6~10kg変化すると、解放値の調整が必要になります。

年齢?

 実は解放値の算出で10歳以下、もしくは50歳以上の方は数値補正をすることになっています。これらの年代の方々は筋力や体力といった点で体格よりも実際の筋力を参考に調整され、また転倒の頻度も高まるのでこのようになっています。
 ただ、長くスキーをやっている方で50歳以上ですと、解放値を軽くするのを嫌がる方も割と多いです。最終的な解放値の決定はユーザーの決定に従うものになるので無理に軽くすることを進めるわけでもないですが、適切な調整ではない事を十分承知してお使い頂くよう念を押してご確認下さい。

スキーレベル?

 これが最も大事な要素です。スキーレベルで調整はがらっと変わります。例えば購入当初、はじめてスキーをするといった方が1シーズン通してめきめきと上達したとしたら、その解放値は2~2.5も強めなければ適切と言えなくなってしまいます。初心者の時のままの解放値で使っていると不意の時に板が外れるなどのトラブルのきっかけになり、逆に危ないと思われるケースが出てきます。

 具体的に「初心者コースを安定して曲がる、止まるが不安で、中級者コースは降りるのに手間取る」方は「スキーヤータイプⅠ」、競技や急斜面を好んで速い速度で滑る方は「スキーヤータイプⅢ」、それ以外の方は「スキーヤータイプⅡ」になります。このスキーヤータイプは初級、中級、上級に置き換えることもできますが、おおよそのボーダーラインがこのようだと思って頂いて構いません。なおパークでの利用を好む方はⅡ、もしくはⅢでの調整が必要です。

 これが面倒なのはユーザーの自己申告に基づいてのタイプ決定なので、ご自身で「初級」と思っていても実は「タイプⅡ」の調整が必要な方などもいたりするのです。特に初級者はこうした調整の必要も知らないのですから、もし周囲に始めたばかりの方がいて、その方が上達していると思ったらビンディングの再調整を促してみてください。

ブーツのサイズ(ソールサイズ)

 これは以前のブログで取り扱った話題ですね。

 ブーツはだいたい2cmごとに解放値が変化します。この2cmって大きいように感じますが、実は私、普段履いているのは27.0の靴ですが足の実寸は25.2cmなので、普段の靴のサイズでもしスキーブーツを買うと27.0のサイズを参考に買ってしまいますが、実際のブーツは25.5cmくらいのサイズのブーツになっています。

 こうしたケースは実は多くて、上達に合わせてブーツも適切なものを買うとほとんどの場合「小さく」なります。すると解放値も高める必要が出てきたりするので、調整が必要になります。

よくわからなかったら

 ご自身の板の調整でご不明点があるならば、お買い上げのお店に尋ねるのが最も良いでしょう。特に上記の5項目の一つでも変化があったのなら、その時は再調整が必要かもしれません。

 なお、GRオンラインショップでのご購入の方はメールなどでご連絡頂ければ改めて解放値を算出致します。お気軽にお問い合わせ下さい!



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