スキーの滑走面はなぜPE?

 ワックスのこと書いてたんですが、先にこっちの話を書かないと話ができない感じでしたので、予定を急遽変更してお伝えしております。

 スキーの滑走面はほとんどにおいてPE(ポリエチレン)です。そのポリエチレンの種類としてエクストリューデッドやシンタードなどがあります。

 そもそもポリエチレンはいわゆるプラスチックの一種ですが、なぜスキーにおいてこの素材が広く採用されているかと言うと、最も好都合な素材だからです。
 スキーは5℃~マイナス10℃くらいの気温で使われます。この温度の範囲で変質しにくく、割れにくい素材はなかなか他にありません。そして厄介なのが水の氷る氷点を超えたり下回ったりすることで、0度というのは多くのものがその性質を変化させてしまうのですが、PEはそれの影響があまりありません。水や化学物質に対しても比較的強いと言うのもメリットで、つまりスキーが使われる様々な状況で変化しにくいのがPEの最大の特徴です。

 気温や状況で刻々と変化してしまうような素材を滑走面には使えませんよね。

 割れにくくしなやかで、しかし堅く安定している…そのPEにも弱点はあって、主に熱や紫外線によって劣化してしまうことです。加水分解といって、滑走面は日に晒されたりすると表面から徐々に劣化してささくれてきます。PEは氷点下では強い性質ですが、加熱には弱い弱点があります。したがって高温で使うワックスの使用温度が明示されていて、その温度を超えないようにしないとあっという間に変質させてしまうのです。

 このあっという間がどれほどか?と言うと、一秒です。手を火にかざしてさっと通り過ぎるなら火傷はしませんが、一秒もじっとしていたら火傷しますよね?そのイメージです。

 触るとツルツルなので結構イメージしにくいですが、滑走面のPEは表面にひび割れのような穴が無数に存在しています。スポンジほどではありませんが、思ったよりもデコボコなのです。
 そのデコボコを埋めるのがワックスで、滑走性を高めることが出来ます。じゃあ最初からデコボコが出来ないようにすれば良いじゃん!と言うことで採用されているのがシンタードなどの高級なPE滑走面です。高級な滑走面ほど穴の粗っぽさが無く、素材自体が硬くなるのでより滑りにメリットとなります。しかし普及帯のものよりも成形が難しく、そもそも高価なのでスキーボードではあまり使われません。このクラスの滑走面は競技などに用いられるものなので、仮にスキーボードに使っても少々スペックが会わないでしょうね。
 普及帯の中でも上位にあるのがエクストリューデッド。低位になるのがPEベースと、大まかにはこのように分類する事ができます。ブラックソールやグラファイトソールなどのメーカー独自のものもありますが、これらはPEに添加剤を混ぜたりして作っているものなので基本的なメンテナンスは普通の板と一緒です。

 とPEについてさらっと解説してみました。とりあえず何となくでもこれらを頭に入れておくと、よりワックスの話がわかりやすくなると思います。

 では次回こそワックスの話で!

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